川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

流山おおたかの森でごきぶりポーカーをやる

何本か川を渡りながら冬晴れの平野をつくばエクスプレスは疾走する。最寄駅から流山おおたかの森までシームレスの線路を滑っておよそ20分。先々週、先週と互いの体調不良で日延べしていた約束を果たす日。〈欧米の農場〉をテーマにした結婚式場併設のカフェ…

・串店にて

〈この階段は88段あります〉と上り口横の壁にデカデカ表示している。そのように書かないと地上まで長過ぎるとクレームが来たのだろうし、今後も来ると考えたのだろう。狭い階段はたしかにそこまでの段数があるように見えない。せいぜいその1/3といった風情だ…

談話室にて

29日夕刻、日暮里の談話室にいた。ここのところHさんからの連絡がなく、春節(旧正月)の準備で忙しいのかなと思っていたが、今朝方微信にメッセージが届き、案の定そうだった。向こうは31日から一週間休み。見渡すと広い店内は半分以上の席が埋まっている…

悔しいいちにち

今日はほんとうに悔しいことになった。午前中Sと米国農村の館のようなカフェで昼飯、夕方にMと海底撈火鍋で晩飯という、年間でもそうそうない僥倖のようないちにちが、己の体調不良によりおじゃんになった。今これを打っているとおり体調はいくらか恢復し…

ロングダッフルコート

19日午前。新幹線でパッと目を覚ましたら車窓が雪景色だった。米原のあたりかしら。また少しまどろみ、次に起きたら京都を過ぎていたので、あとは新神戸まで携帯を弄っていた。神戸は快晴。 午前5時半起床。外はまだ暗い。夜中に2回目が覚めて3時間も寝てい…

自由に生きた

今日は阪神・淡路大震災から27年目。その日に神戸の祖母がこの世を去った。 1928年に広島で生まれている。イーストウッドよりも2歳年上だ。少女時代に被爆を経験した。結婚後神戸に移り、以後、その地で暮らした。50台の時未亡人となり、その後は自由に生き…

塵芥

いつからか、ここ2年のあいだに始まったことではあるが、コロナの影響じゃない気がする。それというのが、ほぼ毎晩、夜中に1回は目が覚めてしまう。たまに2回覚めるときもある。眠ってすぐじゃない、だいたい午前3時から5時くらいのあいだ。別にトイレに行き…

エロチカ狂想曲

7日、神戸から東京へ戻る運転。父親と交代で新東名を走る。渋滞らしい渋滞には遭わず、昨晩関東地方で降った雪の影響だけが心配。岡崎SAで昼飯。去年の今頃もこのSAで休憩してこの店に入り、この席に座らなかったっけと僕が言うと、父親がそうだな、そう…

コーヒーとパン

神戸の祖母は、わたしが今まで見た中でもっとも衰弱していた。施設の部屋にまず母親が入って、「あれ、いない。トイレー?」と呼んでいる。中から呂律の怪しい応答があり、後ろのわたしにも聞こえた。「電気消してるの。点ければいいじゃない」と母親がスイ…

ギリシャ型の趾

Tはリモートワークなのかな、会社に通っているような話もしていたが、ほとんど毎日喫茶店には行くという。2軒ハシゴすることもままある。カフェと言ってもいいのだが、僕と最初に行ったのが上野のギャラン、そののち丘だったからこれらはやっぱり喫茶店と呼…

ビンビン

新年あけましておめでとうございます。わたしから中国のHさんにもそのように微信で送ったが、向こうはただの休日で特に新年を祝っているわけじゃない。彼女はわたしの母親にわたしが彼女に送ったのをコピペして新年の挨拶を送ったようだが、鳥居や酒瓶の絵…

過ち

やはりこれを書かなければ年は越せないと思うから書く。24日の夜、Mと会った。上野の千里香に事前連絡したのだが、金土日の2名の予約は受け付けていないという服務員の返答で、僕は定刻より早めに店に行って並ぼうとした。が、クソみたいな仕事が入り、結局…

紫のイルミネーション

22日夜。ミッドタウン日比谷にいた。ここには初めて来たが、都心らしい洒落た空間だ。時節柄人も多く、皆おめかししている。外は寒くてマスクの中で洟を垂らすほどだったが、こうやって見ると紫のイルミネーションはわりかし好き。同い年の女性と話したが、…

174+

M駅でSが黒のダウンコートを着て姿勢よく立っていると、それはもうすぐに目につく。ランフホを停めて、運転席から手を振る。彼女は乗り込み、九州土産の西郷どんの黒豚みそをくれる。 往路で事故渋滞。銚子には昼前に着くはずが、13時に近くなってしまう。…

四合瓶

昨晩はあまりない出来事ですが、仕事で知り合った女性と高架下の店で飲みました。オミクロン株が世界で増殖している中、日本の現状はそれほどでもなく、師走のイルミネーションも華やいでいますし、この機を捉えて行きましょうよとなったのです。業界組織の…

照らされつづけて

冬は天候が安定するから5日の日曜日が晴天なのは結構前からわかっていた。それにしてもいい天気だった。そのぶん、筑波山頂は人が多かった。老若男女、本格装備、軽装備、ふつうの恰好、ヒール靴、いろいろいる。Mにとっては久しぶりの山だという。 午前8時…

ひずむような

或る土曜日。午後4時15分。池袋サンシャイン60の展望台で。ちょうど日の入りが迫っていた。地平線がひずむような日没で、その場に立ち尽くし、しばらく見とれた。途中から涙が滲むのが自分でわかった。 周囲を見回すと、ここは随分と空いている。ほんとうに…

壮年の、夕陽の、

頭の中がグルグル回転しているわりに考えが少しもまとまらない。感情が乱れ飛んで交錯している。だから、土曜日にあったことを時間通りに記すのみだ。 朝、点けっぱなしのテレビの前にふたり座っていた。横浜の新しく開業したロープウェイが映っている。しば…

無題

昨晩、ほんとうに久しぶりに同じ組織の同業者たちと一堂に会して話し合い、そこは割烹料理屋の二階だったから、その後飲み食いもした。ただ、議論の渦中にいるにもかかわらず、皆の声が遠くで聞こえているような感覚が幾度もあった。距離を感じ、親密さを感…

関東平野の夕日

午後4時半、関東平野の道を走る。進行方向に綺麗な夕焼けが見え、助手席からそれを撮る。Hさんの帰国が迫り、その前に一度と両親、犬と一緒に出かけた。脊柱管狭窄症を患う母親が長時間のドライブに耐えられないので、つくばとその周辺。 竜ヶ崎市(人口7万…

ストーリーという名のホテル

『余白のランナー』が届いた。この詩集所収の「下痢の止まらぬ女」「中腰の女」は大学時代の友人KやIと話したことあるなあと思い出した。後者に関してはTさんに心酔していたIがゼミナールの時にTさんがここに中腰の女が見える、とセザンヌの何かの絵画…

映画と詩集に関するメモ

酒量を間違えたか、ウィスキーウォーキングに出る前に自室で寝落ちしてしまう。それでも絨毯に倒れ込んでいた状態からムクリ起き上がり、8時半前にウォーキングに出発する。階上でHさんの電話する大声が聞こえる。 土手沿いを歩く人もまばらだが、時間が少…

強化された湯飲みを

年賀状の早割り25%オフを適用させるため、西新井の行きつけのカメラ店に赴く。正月を意識するのも早いのだが、その店が入る商業施設の入口には高さを変えたいくつもの消毒液とともに大きなクリスマスツリーが置かれている。 夕刻、電車の中からHさんにライ…

オレンジ外灯

書棚の整理をしようとして余計散らかってしまうというありふれた現象。やりながらウィスキーをたいして飲んでいるわけじゃない。WW(ウィスキーウォーキング)の時の方が多いくらいだ。だから途中で怠くも眠くもなっていない。こうしてブログを書いている…

ふたりの恩師

書棚の整理をしようとして余計散らかってしまうというありふれた現象。やりながらウイスキーをたいして飲んでいるわけじゃない。WW(ウイスキーウォーキング)の時の方が多いくらいだ。だから途中で怠くも眠くもなっていない。こうしてブログを書いている…

文化の日、Tさんの図録は完売していた。

北関東を経巡っているおれだけど、群馬県に最近あまり行ってない気がしていた。藪塚のスネークセンターに行ったのが最後かな。判然とは思い出せない。〈缼けたる鼎談〉の余韻がまだ脳裡に響いており、群馬の神社に行こうと思って最初に浮かんだのは三夜沢の…

氷塊

小雨。池袋西口の表記がややこしくなって、Mからそれで何口でしったっけ?とラインが来る。わしもようわからんのだけれども、西口北ですかのお。フクロウのところに立ち、正面ばかり見ていたら後ろからポンと肩を叩かれた。髪の色を黒に戻し、ダーマペンの効…

中年女

高橋揆一郎「伸予」(1978)をペーパーバックで読む。いい小説だった。女教師が昔の教え子の男と30年ぶりに再会する(ふたりはすでに50手前と44歳)。単簡に言ってしまえばそれだけの話なのだけれども、それをこんな風に書けるなんて。伸予というのは女教師…

アンチョビフィレ

昨晩、ウォーキングのあとにひどく腹がすいてしまい、Hさんが3階にいるのをいいことに、冷蔵庫の脇にある階段下の収納スペースからクラッカーの箱を引っ張り出し、中身を開けるとちぎったスライスチーズをのせ、その上にスカーリアさんのアンチョビフィレを…

奇人たち

日曜日はふたりの人物と会い、濃密な時間を過ごした。まず、ひとり目。大学時代の友人K。神保町はすずらん通りの東京堂書店1階で正午に待ち合せする。彼とは学生当時、働き始めてからも、しょっちゅう神保町で会って、その辺の喫茶店でお喋りしたものだ。コ…