川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

北関東

174+

M駅でSが黒のダウンコートを着て姿勢よく立っていると、それはもうすぐに目につく。ランフホを停めて、運転席から手を振る。彼女は乗り込み、九州土産の西郷どんの黒豚みそをくれる。 往路で事故渋滞。銚子には昼前に着くはずが、13時に近くなってしまう。…

照らされつづけて

冬は天候が安定するから5日の日曜日が晴天なのは結構前からわかっていた。それにしてもいい天気だった。そのぶん、筑波山頂は人が多かった。老若男女、本格装備、軽装備、ふつうの恰好、ヒール靴、いろいろいる。Mにとっては久しぶりの山だという。 午前8時…

関東平野の夕日

午後4時半、関東平野の道を走る。進行方向に綺麗な夕焼けが見え、助手席からそれを撮る。Hさんの帰国が迫り、その前に一度と両親、犬と一緒に出かけた。脊柱管狭窄症を患う母親が長時間のドライブに耐えられないので、つくばとその周辺。 竜ヶ崎市(人口7万…

文化の日、Tさんの図録は完売していた。

北関東を経巡っているおれだけど、群馬県に最近あまり行ってない気がしていた。藪塚のスネークセンターに行ったのが最後かな。判然とは思い出せない。〈缼けたる鼎談〉の余韻がまだ脳裡に響いており、群馬の神社に行こうと思って最初に浮かんだのは三夜沢の…

サルに長い柄の先のスプーンでエサをやるということ

10、11日とHさんの帰国(これがまた困難なのだが)までに一度温泉へという以前からのリクエストを実現すべく鬼怒川へ。Hさんの妹の娘ルルの婚礼、朋友のモモさんの帰国(嘘かと思うが、上海までの片道航空運賃が20万を超えるという)が10日で、Hさんも家にい…

碧いスーツケース

朝、スーツケースのナンバーロックの番号を忘れたとHさんが騒いでいる。この碧いスーツケースはこのあいだ買ったばかりで、三桁の番号はたしかふたりで決めたのだったが、わたしもまるで思い出せない。彼女はわたしを責め立てる。あなたの記憶力は落ちたわね…

アッシュグレーの休日

散髪に行く。外はからっと晴れて気持ちがいい。いつもの美容院。客はそこそこ入っているが、不思議にどこかがらんとした印象だ。ちょっと考えて、今日は入口に座って待つ客がいないからかもしれない。それと、下町の店だから客のなかにお喋り好きが2人か8人…

豪雨と稲妻のドライブ

土曜日はたしかに夏があふれていた。U駅でMと待ち合わせした時のわたしの第一声がそれだったのだが、聞き返された。ドトールの姿見に映った壮年の額は汗でじっとり濡れている。Mに腕にタトゥーの入った女を見たかと訊かれ、さっき改札で待っている時に目の前…

ふたりのもっとも好きな果実狩り

茨城小美玉へブルーベリー狩り。4年連続で行っていたファームが去年はコロナの影響でやっていなかった。今年は予約制でもやっているから幸い。Hさんも私ももっとも好きな果実狩り。 常磐道を走っていると柏辺りでぱらっときたが、それ以上のことはなく、北上…

やり過ごす

両親とHさん、犬と一緒に大洗へ出かける。ここのところ母親の身体の調子が良く、クルマに比較的長時間乗っていられるとのことで。別にむつかしいことじゃないんだが、あと何回この組合わせで遠出できるのか。まあそれほど多くはないのかもしれない。そうゆう…

3日、4日。

3日、晴天。父親が山梨方面に華さんを連れて行きたいと中央道にのぼったが、案の定、地獄の渋滞に巻き込まれ、脊柱管狭窄症を患う母親がそれ見たことかと怒り、隣りに座る華さんもなんとなく同調、助手席のおれも後部座席のふたりに同調、3対1で勝負あり、山…

ダルメシアン、イカ、ポスター

ある雨の夜、目白駅の周辺をさまよっていた。池袋から歩いてけっこう濡れる。人混みの中をターミナル駅まで戻る気分じゃなかったから、線路づたいにとぼとぼ。帰国の目途が立たず息子の結婚式の準備をしてやれないし、初孫の誕生の場面にも、今のところ成長…

典型とスパイシー

23日。とにかく風が強い。快晴。華(ファ)さんの脚も完治し、ちょっとした遠出、空気の澄んだところに行きたくてうずうずしている。それに湧水汲みと農産物購入を組み合わせたいらしい。僕としても近場以外、老外(ラオワイ)をもう何ヶ月も駆っていない。…

まどろみ電車

2月の中旬でこの暖かさ。海沿いの芝生でフリスビーでも投げたいなあ。そのあと附近の店で海鮮でも食って。ドライブがてらに音楽を聴くというのも久しくやっていない。 虚空をひゅるひゅると回転しながら向かってくる円盤を千住の空に想像することはできなか…

いつかあのハルピンを思い出してきっと泣いてしまう

さきおととい。ハルピンビールを扱っている日本の会社を見つけ、早速注文する。懐かしい、と言っていいのかな。このブログを〈ハルピン、ハルピン、ハルピン!!〉と騒いで始めた僕は、年に三度かの地に飛んだこともあった。あの頃は尖閣諸島国有化の余波で…

最初の字は何かしら

21日、快晴の強風。ひたちなかへ。連休初日なので常磐道でも渋滞を覚悟したがそれほどのことはなく、落ち葉が踊るように舞う高速道路を比較的スムースに疾駆する。筑波山が正面左手に見えた時、ほんとうに紫色をしているなと思った。 予定よりもかなり早く到…

いちにんで

三夜沢から黒保根へ至る途中。今日はいちにん。お天気も良く、のどかなドライブ。ただ、車内に流れる松任谷由実の「コンパートメント」が怖くて、怖いもの聴きたさになぜだか繰り返し聴いてしまう。睡眠薬自殺をテーマにした歌曲だが、こんなに美しくて怖い…

蜜柑狩り

渋滞情報を見ると、昨日は関越道がおばけだった。今日はそれほどのことはないようだが、それでもとにかく時間を早めることにした。午前8時出発。高速から富士山がくっきり見えた。 どろりとした甘めの味噌だれが蜜柑狩りのあとの一服に合う。ファさんが1本、…

いとこん

ファさんが月餅を「げぴん」と発話するのはまだその指示するところのモノを推測できる。それ混ざってるから。「げっぺい」ね。覚えといて。先日、彼女が電話で誰かと話している最中、出し抜けにベッドで横臥する私に「いとこんてどこ?」と訊くから、どこっ…

やすんば

鶴岡抄太郎は建築の門外漢だが、妹島和世の日立駅はやっぱり素晴らしいじゃないかと思う。一面のガラスからみえる大海原。海上にコンクリート架橋された自動車道路(日立バイパス)。常磐道から日立駅に向かって坂を下りていくと、空と海のあわいが判然とし…

食卓にカマキリ

両親とHさんが乗り気になったので、私も実家のクルマの助手席に座り、午前9時またも北関東へ向け出発。ところが常磐道の普段混まないような区間でクルマが数珠つなぎになっている。停まっては進みを繰り返すタチの悪い渋滞だ。東北道の混雑をみての選択だっ…

濡れた手とヘルシー

霞ヶ浦の北側を回って鹿島灘へ。また今日も茨城に来てしまった。かすみがうらで梨を3個ずつ食って一時は満腹になったが、私は腹が減ってきてしまい、Hさんに昼飯いいですか? と訊ねると、あまり量は食べられないけどとの返事だったので、目についた国道沿…

湧水、毒蛇、美しい断崖

鶴岡抄太郎は佐野、藪塚、日立と北関東3県を巡り、トータルで430km以上走った。さすがに疲れたが、独り個室で好きな音楽を流しながらのドライヴ、職場からどんどん離れているという解放感、繁茂する緑の非日常感、つまりこれが彼のストレス解消法というわけ…

官能烏龍茶

埼玉県立川の博物館、〝荒川大模型173〟の源流の山々。数字は荒川の総延長距離(173km)だそうだ。 午前9時台に出発としようとしたが、突如バケツをひっくり返したような大雨になった。マックスにしたワイパーも役に立たず、フロントグラスの向こうに何も視…

四阿

薄曇り。パラグライダーが飛び立つところを見たかったが、風の関係とか色々あるのだろう、準備に時間がかかっているようで、ふと後ろを振り向くと四阿で休んでいる女が持参した桃にかじりつき、足元にぼとぼと汁が垂れているので、そちらに歩いていった。お…

お帽子をかむったらいかがですか?

現下の状況で東京在住者が徒らに他県へ赴くことには当然批判があると思う。そういった批判は受け入れなければならない。ただ、わたしがお伝えしたいことは以下のふたつである。いちこめ。みっつの密は極力避けるように行動しています。本日の佐原、銚子行も…

霧の公園

霧の公園にいる。ここは東京ではない。向こうに灯台が見える。耳をすませば波の音も聞こえる。湿り気をおびた風が気持ちいい。手前の芝生で子供がじゃれあい、父親がおいおいいい加減にしないかと寄っていく。灯台の脇まで来ると女がベンチにバッグを置いた…

埼玉西部を漫遊す

輝く純白の豆乳ソフトクリーム。ここまでの白とはいかないが、フロントグラス越しにずっと入道雲の眺められるいち日だった。味わいが増すとのことで、売店に醤油が備えつけてあったはずだが、疫病予防のためだろう、見当たらなかった。 時間は朝の8時に遡る…

去兜风。

28日、朝。ヴェランダからふたりして豪雨を眺める。一晩中ルーフを叩いていたが、それが今もつづいている。チ、チ、チと隣りで舌打ち。階下に行き、とうもろこしとコーヒーの朝飯。とうもろこしにかぶりつく顔を批評し合う。 2時間くらい経った頃か、雨が弱…

繁茂する流頭部〜千葉最北端〜

午後2時に仕事を終え、それからドライブに繰り出す。薄曇りのむわっとした天候だが、なんとなくそうしたい気分だった。車中、セロニアス・モンクの訥々として優しいピアノ曲、リメンバーが胸に染みる。 この辺りを走っていると、頻繁に県を跨ぐ。道の駅ごか…