川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

北関東

令和の酔狂シリーズ

こんばんは。 家で長い文章を書く習慣がすっかりなくなってしまったので、自宅から歩いて来られる距離にある昭和のにおい芬芬たる連込み宿に泊まり、わりあいに清潔な布団に寝転がってこれを書いています。牡丹という名の部屋です。 と、書いてからまたしば…

赤まむしの粉末

ラグビーW杯がとうに始まっている。舞台がフランスなので、時差の関係で日本時間深夜0時45分からと明け方4時からの試合がほとんどなのだが、それらをムリしてけっこう観ている。おかげでお肌の調子もボロボロだ。おっさんだからまあいい。脳みそも午前中あま…

常磐ハイウェイ

曇天のいばらきフラワーワーク。 気がつけばもう6月で、全国的(北海道除く)に梅雨入りした。ある程度年齢のいった者なら誰もが実感し、口にする年月の流れる早さ。僕にとっても、己が着々死に向かいつつあるとしか思えない早さになっている。一週間の流れ…

半世紀以上

ゆきはよいよいかえりはこわい。朝、渋滞情報を見ると赤い線がどこにもなく、ドライブすることにした。東北道は順調そのもので、空は気持ちよく澄みわたり、北関東道を西進すると群馬の山々がくっきりと眺められた。風は少し強かったが、穏やかな日だった。…

パーラートチギ並びにばんどう太郎小山50号店

とにかく風の強い日だった。東京も凄かったが、ばんどう太郎小山50号店の窓からのぼり旗がすさまじく捻じれているのを見ても、こっちは桁が違うと思った。 例幣使街道の名は吉村昭『天狗争乱』で知ったのだ。記憶だけで書くが、筑波山で挙兵した天狗党は例幣…

蘭州拉麺店火焔山前で

2月としては異例な暖かさの日曜日、Hさんと中国のおばさんふたりを連れて常磐道を北上、途中東に折れて片側一車線の道路を進み、鉾田市でいちご狩りをやった。その後、太平洋をみるというのですぐそばの鹿島灘海浜公園へ。ここにはもう何度も来ているが、こ…

電影?

母親がまだ脊柱管狭窄症のことだけで通院していた頃、『武漢日記』(方方著・2020)の日本語訳はなかった。コロナ感染がいよいよ日本でも蔓延し「これ、日本語で読めないのかね」と言うから、「そのうち翻訳されると思うよ」と適当に応えたら、数ヶ月経って…

閑雅な午後

今年は詩人萩原朔太郎の没後80年でいろいろのイベントをやっているみたいだ。僕は詩というのはほとんど読まないのだが、この人と建畠晢、松浦寿輝は読む。 ある休日、池袋西口北でHさんと落ち合って、先日改装中で空振りだった火焔山で昼飯を食う。その後ル…

県境

帰り道、「ここの船、どっち方面行ってるんだっけ?」とMが言うから、「お台場、浜離宮、豊洲…」と答えると、「渋谷の方は行ってないのかあ。行ってたら毎回船でここ来るんだけどな」と冗談のように呟く。「渋谷からは銀座線で来てくれよ。始発─終点なんだ…

泥だらけの梨狩り

足元がぬかるんでいるだろうという考えは出発前に頭を掠めないこともなかった。が、自宅周辺のザーザー降りが白井市(人口6万2千余)ではどのくらいか、おんなじくらいなら梨狩りどころじゃないだろう、下より上の方ばかり意識がいって、Hさんとも傘が使え…

ひと夏の思い出─トワイライトの水辺

霧降高原の1445段(天空回廊)をゼーハーいいながらも休まずに登り切ったことを46の夏の記念としたい。この時はお天気で、上の方は汗を乾かす気持ちいい風が吹いていたが、翌朝大笹牧場へ向かう時に通ったら一帯霧に包まれていた。Hさんは麓の小屋でタオル…

八月のブルーベリー

頭髪の薄毛化並びにパーマネントウェーブ化が急進的に進む壮年です。薄毛はともあれ、パーマネントウェーブが加齢ともに著しくなることがあるのですね。今回もよろしくお願いします。 8月この時期のブルーベリー狩りはもう終わりかけている印象だが、Hさん…

言葉足らず

日曜日。午前9時半、中国人のおばさん4人をクルマに乗せてブルーベリー狩りに出発。ひとりは浙江省、ひとりは福建省、ひとりは遼寧省、ひとりは黒竜江省と南北2人ずつに分かれている。僕が中国語を学び始めた頃に知り合った例の友人Jが、当時日本在住の中国…

又来了老地方

曇天。どこまでも乳白色の空。薔薇のソーダを飲む。僕の後ろに身長180くらいあるプロレスラーのような女性が並んでおり、家族連れのようだったが、その人が木のテーブルを隔てて僕の前に座った。ドリンクを持つ手に目をやるとすごく大きくて分厚かった。マニ…

海を見ていた午後

ゴルゴンゾーラのチーズケーキとカフェラテが運ばれてくるまでのあいだ、目の前の海を眺めていた。ガラス越しだと穏やかそう。 席が空くのを店内で待つことができないという謎の規則(感染防止対策の一環?)により、携帯の番号を知らせ、付近の灯台のある公…

渋滞に遭わない連休

連休といって僕は暦通りの休みでそこまでの連休でもなかったが、今年はまったく渋滞に遭わなかったのがなによりよかった。去年おととしと違いなんの自粛や制限もない中、出かけるなりに渋滞を極力避けようとして、それでもこの時期は遭うものだと思っていた…

蕪雑

北関東のとあるレストラン。時刻は午後1時半くらいだったか。モモさんは自家製ハンバーグ、Hさんとおれは有頭エビのシチューのセットをたのむ。給仕のおばさんひとり、料理人ひとりでやっているようで、注文からメインの提供まで40分以上も待たされた。しか…

常総バイパス

日曜日、強風。目の痒さにくしゃみ。今日はひどい。本来マスクはこういう時にしていたものだ。 Hさんが大陸で恋しがっていたもののひとつは温泉で、こっちに彼女が戻ってきてどのタイミングで行こうかと考えていたが、昨今感染者も高止まりしているから、宿…

流山おおたかの森でごきぶりポーカーをやる

何本か川を渡りながら冬晴れの平野をつくばエクスプレスは疾走する。最寄駅から流山おおたかの森までシームレスの線路を滑っておよそ20分。先々週、先週と互いの体調不良で日延べしていた約束を果たす日。〈欧米の農場〉をテーマにした結婚式場併設のカフェ…

174+

M駅でSが黒のダウンコートを着て姿勢よく立っていると、それはもうすぐに目につく。ランフホを停めて、運転席から手を振る。彼女は乗り込み、九州土産の西郷どんの黒豚みそをくれる。 往路で事故渋滞。銚子には昼前に着くはずが、13時に近くなってしまう。…

照らされつづけて

冬は天候が安定するから5日の日曜日が晴天なのは結構前からわかっていた。それにしてもいい天気だった。そのぶん、筑波山頂は人が多かった。老若男女、本格装備、軽装備、ふつうの恰好、ヒール靴、いろいろいる。Mにとっては久しぶりの山だという。 午前8時…

関東平野の夕日

午後4時半、関東平野の道を走る。進行方向に綺麗な夕焼けが見え、助手席からそれを撮る。Hさんの帰国が迫り、その前に一度と両親、犬と一緒に出かけた。脊柱管狭窄症を患う母親が長時間のドライブに耐えられないので、つくばとその周辺。 竜ヶ崎市(人口7万…

文化の日、Tさんの図録は完売していた。

北関東を経巡っているおれだけど、群馬県に最近あまり行ってない気がしていた。藪塚のスネークセンターに行ったのが最後かな。判然とは思い出せない。〈缼けたる鼎談〉の余韻がまだ脳裡に響いており、群馬の神社に行こうと思って最初に浮かんだのは三夜沢の…

サルに長い柄の先のスプーンでエサをやるということ

10、11日とHさんの帰国(これがまた困難なのだが)までに一度温泉へという以前からのリクエストを実現すべく鬼怒川へ。Hさんの妹の娘ルルの婚礼、朋友のモモさんの帰国(嘘かと思うが、上海までの片道航空運賃が20万を超えるという)が10日で、Hさんも家にい…

碧いスーツケース

朝、スーツケースのナンバーロックの番号を忘れたとHさんが騒いでいる。この碧いスーツケースはこのあいだ買ったばかりで、三桁の番号はたしかふたりで決めたのだったが、わたしもまるで思い出せない。彼女はわたしを責め立てる。あなたの記憶力は落ちたわね…

アッシュグレーの休日

散髪に行く。外はからっと晴れて気持ちがいい。いつもの美容院。客はそこそこ入っているが、不思議にどこかがらんとした印象だ。ちょっと考えて、今日は入口に座って待つ客がいないからかもしれない。それと、下町の店だから客のなかにお喋り好きが2人か8人…

豪雨と稲妻のドライブ

土曜日はたしかに夏があふれていた。U駅でMと待ち合わせした時のわたしの第一声がそれだったのだが、聞き返された。ドトールの姿見に映った壮年の額は汗でじっとり濡れている。Mに腕にタトゥーの入った女を見たかと訊かれ、さっき改札で待っている時に目の前…

ふたりのもっとも好きな果実狩り

茨城小美玉へブルーベリー狩り。4年連続で行っていたファームが去年はコロナの影響でやっていなかった。今年は予約制でもやっているから幸い。Hさんも私ももっとも好きな果実狩り。 常磐道を走っていると柏辺りでぱらっときたが、それ以上のことはなく、北上…

やり過ごす

両親とHさん、犬と一緒に大洗へ出かける。ここのところ母親の身体の調子が良く、クルマに比較的長時間乗っていられるとのことで。別にむつかしいことじゃないんだが、あと何回この組合わせで遠出できるのか。まあそれほど多くはないのかもしれない。そうゆう…

3日、4日。

3日、晴天。父親が山梨方面に華さんを連れて行きたいと中央道にのぼったが、案の定、地獄の渋滞に巻き込まれ、脊柱管狭窄症を患う母親がそれ見たことかと怒り、隣りに座る華さんもなんとなく同調、助手席のおれも後部座席のふたりに同調、3対1で勝負あり、山…