川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

四合瓶

f:id:guangtailang:20211210090135j:image昨晩はあまりない出来事ですが、仕事で知り合った女性と高架下の店で飲みました。オミクロン株が世界で増殖している中、日本の現状はそれほどでもなく、師走のイルミネーションも華やいでいますし、この機を捉えて行きましょうよとなったのです。業界組織の方で、前日に僕は現在のポジションを降りる確約を取り付けて、気が楽になっていました。雑踏を歩きながら、肉バルにするか居酒屋にするかという選択を後者で決定し、提灯の連なる入口の扉を開けました。

f:id:guangtailang:20211210091136p:image彼女は酒が強かった。最初は角ハイを飲んでいて、育った場所が互いに23区東側の下町だと盛り上がり、酒量とともによりフランクな会話へと突入していきました。日本酒の好きな彼女が浦霞の四合瓶をたのみ、実は先日ひとりで会津と仙台を旅してきたというおもしろい話をし始めます。あと、金沢の能登牛を使ったビーフジャーキーが柔らかくてうまいとか。僕はウィスキーウォーキングの話をしました。まず家でボウモアをストレートで呷る。しばらくすると躰がポカポカしてきて、すかさずウォーキングに出発する。寒風吹きすさぶ川沿いを歩く。これが気持ちいい。ウィスキーウォーキング、頭文字をとって、これを僕はWWって呼んでるんだけどねと言うと、彼女は声高らかに笑った。「なんかそれ、からだにいいんだかなんだかわからなくありません?」。先日、僕と同年代の女性にWWの話をしたところやはりウケて、彼女はイングランドに留学経験があることからスコットランドアイラ島の荒涼さを知っており、隅田川沿いのウォーキングよりは自らの出身地の秋田にある男鹿半島の方がWWに似合っていますよとニコニコしていた。それはそうでしょうね。荒涼さで比べたら。行ったことはないけれど。いつか訪れてみたい。四合瓶をふたりで軽く飲み干し、その後もなんとかサワーなどを飲みました。僕は酔った頭で翌朝の尻の具合を不安視し始めていました。彼女は顔色が変わらず、饒舌になるだけなのでどのくらい酔っているのかわからない。店を出るとき、案の定、僕は松竹錠を席に忘れたのですが、彼女が持っていて開けてくれました。