2024-01-01から1年間の記事一覧
昨日取り寄せていると書いた路遥《人生》の原書が今朝届いていた。この小説はある時代のベストセラーらしく出版社を変えて何度か出ているようで、装幀も何種類かあるのだが、これは帯に马云(ジャック・マー)と贾樟柯(ジャ・ジャンクー)のコメントがある…
浙江省出身の妻Hさんの息子家族が訪日し、その怒涛の日々が過ぎ去って、すると今度はHさんの横に割れた膝蓋骨を留めている金属を除去する話が出てきた。思案のあげく、その手術もやると彼女は決心した。 執刀医の話を聞く際、僕が通訳したが、ところどころ…
マンツーマンで中国語を習っていた老師が体調不良を理由に辞め、新しい老師になってひと月近く経つ。テキストは前老師とやっていたビジネス向けのやつを放擲し、今は『漢語口語速成 中級篇(第二版)』というのをやっている。メルカリで買った。この手の本土…
『十九歳の地図』(柳町光男・1979)という映画は当時存在した北区の王子スラムを映しているのだが、劇中にガスタンクが出てくる。薄いグリーンの球体で、10数階建てのビルに匹敵するほどでかい。近くまで行ったら、のけぞって見上げるほどのものだ。主人公…
ただ広場といった体の駐車場にクルマを駐め、照りつける太陽の下、緑の繁茂する階段まで辿り着くとそこはもう別天地だ。10代、20代の頃には見向きもしなかった森林浴が、この頃ありがたくて仕方がない。水遊びをしてきたらしい大型犬が気持ちよさそうにぶる…
8月15日。昨日はHさんのリクエストでナシ狩りに行ったが、萎びたいびつで小さなナシばかりで、園に足を踏み入れて2分で彼女が不機嫌になった。狩れるようなナシがないと受付のフィリピン人とおぼしき男の従業員に言い、彼がちょっと待ってと携帯で連絡をと…
1,445段階段を半分くらい上っただろうか、名の通りに霧が立ち込め、数十メートル先は何も見えない。ただ、僕は眺望を楽しむことを第一義として上っているわけではなく、言うなれば体力試しのために上っているのだ。 今年はきつかった。正直に言えば800段を越…
6月30日、薄曇り。年に一度、それも基本は夏場にひとりで足を運ぶジャパンスネークセンター。自宅から1時間45分ほどで到着。勾配を少し上ったところに施設があり、毎回そうするように建畠覚造制作の表面がところどころ剥げた白蛇観音を拝み、青々とした平野…
最近、中国語で短文をつくる(造句)ことを特におもしろく感じる。以下は火曜日の教室のためにこしらえた造句と、趣味で個人的につくった造句を敢えて一緒くたにしたものだ。前者は週に一度、1個つくればいいわけなのだが、昂奮して先んじて何個もつくってし…
5月、石岡市の八郷蒸留所近く。 先日の昼間、下町の隘路を歩いていると、不意に植物の懐かしい匂いがした。この匂いは自分が少年だった頃、頻繁に嗅いだ匂いなのだと思わず立ち止まった。辺りに人気はなく、雑草が強い光を受けながら揺れているだけだった。…
2月だから今年の遅い、中国語サークルの新年会の席(浅草の中国料理店)で、どんな話の流れだったろう、Tさんが唐突に「親父とは二度と会いたくないからね」と呟いた。そこから彼の身の上話を聞くことになる。 Tさん自身すでに70半ばに達しようとしている…
火曜、雨の夜。飄逸に歩を進めるFさん。この人が中国語学習会のコアになっているから25年もつづいているのだ。馴染みの店で紹興酒をちびちびやりながら、「途中で何年か九州に飛ばされとるじゃろ?」と古参の会員に同意を求めるFさん。「どうしてですか?…
フェイフェイが春節を故郷の青島で過ごすため帰っており、FさんとHさん(男性)、プラス僕の酒肉朋友、そして今回ゲスト参加の中国語サークル仲間Oさんの4人で晩飯を食っている最中、フェイフェイがいないのなら、このあと(彼女が普段いるスナックに)…
年をまたいで再度ボタンを買いにいった。中古で手に入れた黒のカシミヤジャケットが家にある。これがプラスチックのボタンまで黒で、全体に真っ黒だ。これを変えたかった。 着物姿の若人が散見される雑踏。三宅唱『ケイコ 目を澄ませて』(2022)やヴィム・…