川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

塵芥

f:id:guangtailang:20220112131254j:imageいつからか、ここ2年のあいだに始まったことではあるが、コロナの影響じゃない気がする。それというのが、ほぼ毎晩、夜中に1回は目が覚めてしまう。たまに2回覚めるときもある。眠ってすぐじゃない、だいたい午前3時から5時くらいのあいだ。別にトイレに行きたいわけでもない。暗がりの中でなんとなく目が開く。朝までぐっすり眠れていたのに変われば変わるものだ。ウォーキングもそれなりにしているのに。加齢とともに眠りが浅くなり云々という話はよく聞くし、身体の不調ということもないから、人間こんなものなのだろうと思っている(蛇足ながら、父親はションベンで2回目が覚めるのがレギュラーらしい)。ただ、目が覚めた際に我ながら奇妙なことをしていると思うのが、つい携帯を弄ってツイッターとインスタグラムとこのはてなブログを見てしまう。目を細めながら。時刻も時刻だから、特段の変化はあらわれていない。

最近寝る前に読んでいる本。著者は昨年鬼籍に入っているが、これはそののちに上梓されている。酒飲みで己の躰を痛めつけた人が、残された時間の中で書いたエッセイ集とのこと。著者の小説は一冊も読んだことがない。僕はゴルフをやらないし、「無頼派」というのもよくわからない。印象深く覚えているのは、ある映画での著者の役者としての姿。さんざっぱら言及している『スローなブギにしてくれ』(1981)で高橋三千綱は主演の浅野温子を暴行する工場労働者を演じている。当時30ちょっとくらいで、オールバックにシャープな顔立ち。眉毛濃く、眼光鋭く、セリフは少ないものの、作家が演じているにしては役柄がよく似合っていると思う。人間の懊悩と重く出て、今は呑みたいと反転的に軽やかに現状を肯定するのがよい。

追記:『スローなブギ〜』の前に高橋原作ですかさず藤田敏八が映画化した『天使を誘惑』(1979)があるのだな。これが縁で出演したのかしら。

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