川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

おもしろい女

夜半、Hさんが2階のトイレで用を足している音が3階の寝室まで聞こえてくる。しんしんと静かな夜だ。 アイリッシュコーヒーというのは自宅でもわりかし手軽につくれ、それなりの味になる。ジェムソンとホイップクリームを買い、ドリップバッグのコーヒーを注…

哀愁のアイリッシュコーヒー

新年快楽(しんにぃぇんくぅぁいらー)!! 日本はアジア諸国の中で旧正月を祝わない数少ない国家のひとつなので何事もないふつうの日曜日として過ぎていきます。 21日除夕(ちゅーしー)。日本の大晦日にあたる。この日は午前中仕事があり、それを終えてか…

抱く神戸

人がいなくなった家なんてただのハコだと何かの映画で言っていたが、神戸の祖母の家が今そうなっている。神戸という街も祖母が在ったから訪れていたが、不在となり今後訪れる理由はそうないのだ(祖母の家を処分したらなおのこと)。といって他の観光都市と…

不在とエゴ

今年1本目に『もう頬づえはつかない』(1979・東陽一監督)をDVDで。以前から持っているが、初見の時はおれの精神状態が芳しくなくて途中から流して観た。今回は最後までじっくり観て良かった。ところで〈頬〉という字は案外書けそうで書けない字だと思う。…

元日の光

起床して下りていくと書斎にまばゆい光が射し込んでいた。元日の朝に縁起がいいと思った。家の真向かいに建設中だったマンションは去年の暮れに完成し、ぽろぽろ居住者が入っているようだ。まあでも満室かそれに近い状態になるにはかなりの時間を要するだろ…

蕭蕭

『完全無修正版 濹東綺譚』(1992・新藤兼人監督)をDVDで。すでに30年も前の映画か。当時高校生だった僕が館に足を運んだ覚えはないが、何年かしてツタヤで完全無修正版じゃないやつを借りて観たのだと思う。それでも股間を熱く滾らせはしたはずだ。実家を…

水の影

Hさんの誕生日は12月26日であるが、これは登録上そうなだけで、実際は違うという。じゃあいつなのとその答えを聞いた気もするが忘れてしまった。まあでも出会ってこの方24日と26日のあいだのクリスマスに一括して祝ってきたのだから、今年は特に日曜日だし…

今は昔

夕刻、Hさんからラインにメッセージがあり、自転車のボタン式ロックの4桁の番号を忘れたから教えてくれという。曰く、今買い物をしてスーパーの前にいる。荷物が多いので歩いては帰れない。ひとの番号を僕はそもそも覚えていないから教えようがない。以前に…

電影?

母親がまだ脊柱管狭窄症のことだけで通院していた頃、『武漢日記』(方方著・2020)の日本語訳はなかった。コロナ感染がいよいよ日本でも蔓延し「これ、日本語で読めないのかね」と言うから、「そのうち翻訳されると思うよ」と適当に応えたら、数ヶ月経って…

西川口へ

何日か前の明け方にみた夢。北千住駅か池袋駅かどちらにも部分的に似ているターミナル駅前広場。曇天の空に変わったかたちのヘリコプターが何機も重なるように飛んでいる。かなりの騒音で、皆上空を見ている。すると突然、あらゆるヘリコプターの底が開いて…

アクアパッツァ

秋の美しい日というのがある。空は澄みきって微風が頬をなでる。高いところを飛んでいるジェット機の機体の白がやけにくっきり見える。落ち葉を踏みわけ土の路を進むと鳥の啼き声があらゆる方向から聞こえてくる。 翌日が雨予報だったので、この日老若男女が…

パンクチュアル

ティンダーを駆使して外国人女性と頻繁に会っている日本人サラリーマンのブログを覗くのだが、彼がよく書いているのが外国人女性と待合わせをする際は常に相手の1時間の遅刻を覚悟せよ、または甘受せよ。相手は悪びれもせずにあらわれる。ひどい場合には平気…

さらば愛しき街

昨日の午後、Hさんが実家の僕の母親と会ったようだが、自家製の梅酒の有無を訊くのを忘れたと言うから今朝ラインにメッセージを送った。今年はつくってないけど、去年のならあるということだ。母親と僕とは彼女の大患以降、ラインのやりとりが頻繁になって…

閑雅な午後

今年は詩人萩原朔太郎の没後80年でいろいろのイベントをやっているみたいだ。僕は詩というのはほとんど読まないのだが、この人と建畠晢、松浦寿輝は読む。 ある休日、池袋西口北でHさんと落ち合って、先日改装中で空振りだった火焔山で昼飯を食う。その後ル…

非凡(庸)

Aと半年ぶりに会った。彼女の妊娠が知らされ、つわりがひどく寝てばかりいる、本業にも差し障りがあると聞いていたので、そこから月に1回程度具合を訊ねるラインをこちらから送るだけだった。返事は都度あったので繋がってはいた。Aの副業はレンタル彼女だ…

タッチパネル

午後から池袋で仕事があるというHさんに、じゃあその前に火焔山で蘭州拉面と羊肉串を一緒に食おうと誘い、電車を乗り継いで久々この街に降り立った。彼女がいつも最短距離で店にたどり着けないと言うからおれが前を歩く。すると、遠目にもなにやら店の様子…

猫の額公園の遊具

明け方に夢をみた。母親が出てくる珍しいものだ。昔住んでいた川沿いのマンションの一室とおぼしき部屋に布団を敷いて母親が寝ている。彼女もおれも実際より若返っているようだ。朝の早い時間だと思うが、おれはすでに起きており、ベランダに行くとそこには…

10日もない

ここのところバタバタして時間の観念もゆがみがちなのだが、ある晩、ラグビーの試合を観た。ジャパン・フィフティーン対オーストラリアA代表。観客がたくさん入っていることにまず目がいった。フィフティーンというのはテストマッチを戦うということじゃな…

セルフィー

母親が19日から乳がん手術のため入院している。一応、明日退院予定。彼女が入院して以降、それまで億劫がってラインをやらなかった父親が急にやり始めた。ふたりとおれとHさんのグループに画像ともども頻繁に送ってくる。母親が飯が不味いと書けば、今晩の…

壮年時代

頭になんとなく靄がかかっているようで、ぼんやりしている。 YouTubeにあがっていた1980年代初頭のトーク番組『悪友親友』から。タイトルの中に「1980年頃」とあったが、ふたりのトーク内容(1932年1月生まれの藤田敏八監督が来年大台〈50歳〉に乗るとか、原…

オトナのパフェ

山の上ホテルのコーヒーパーラーでたのんだ洋梨のパフェは写真で見ると丸ごと一個どんと上に乗っかっており、同行の24歳女性とこりゃすごいねと言い合った。それが運ばれてくると、「こちら飴細工になっております。カポッとはずせますので」と言う。えーそ…

県境

帰り道、「ここの船、どっち方面行ってるんだっけ?」とMが言うから、「お台場、浜離宮、豊洲…」と答えると、「渋谷の方は行ってないのかあ。行ってたら毎回船でここ来るんだけどな」と冗談のように呟く。「渋谷からは銀座線で来てくれよ。始発─終点なんだ…

泥だらけの梨狩り

足元がぬかるんでいるだろうという考えは出発前に頭を掠めないこともなかった。が、自宅周辺のザーザー降りが白井市(人口6万2千余)ではどのくらいか、おんなじくらいなら梨狩りどころじゃないだろう、下より上の方ばかり意識がいって、Hさんとも傘が使え…

謝った話

午前11時25分。インド料理店に男の客は僕いちにんだった。奥の大テーブルもその手前のににん席も僕よりふたまわりは若い女性たちが陣取っている。インスタグラーム用をすでに2枚か8枚撮り終えているだろう。料理も内装も調度品も〈映える〉異空間なのだ。「…

ひと夏の思い出─トワイライトの水辺

霧降高原の1445段(天空回廊)をゼーハーいいながらも休まずに登り切ったことを46の夏の記念としたい。この時はお天気で、上の方は汗を乾かす気持ちいい風が吹いていたが、翌朝大笹牧場へ向かう時に通ったら一帯霧に包まれていた。Hさんは麓の小屋でタオル…

八月のブルーベリー

頭髪の薄毛化並びにパーマネントウェーブ化が急進的に進む壮年です。薄毛はともあれ、パーマネントウェーブが加齢ともに著しくなることがあるのですね。今回もよろしくお願いします。 8月この時期のブルーベリー狩りはもう終わりかけている印象だが、Hさん…

待ち合せの前に

日暮里の高台の方は久しく行っていなかったから、Mとの待ち合せ時間まで下見も兼ねてぶらぶらすることにした。ランチの予約をしたインド料理店は坂を上って右側にある。まだクローズドの木板がかかっているが、店先にメニューが置いてあって見られるように…

東京湾

退院翌日の昼にMと会う約束をしていたが、1時間前に連絡がきて、ギリギリまで頑張ってみたんですが吐き気と下痢が止まらないのでリスケしてもらっていいですか麻酔後遺症みたいです、とあった。退院翌日はちょっとムリがあるかなと思っていたので、わかった…

プールサイド

梅雨がぶり返したような天気に毎日予報とにらめっこしていたが、必ずしも下田に行こうというわけじゃなかった。山や湖に行こうとも考えていた。それが仕事で細々しいことをつづけているうち、海に行きたい、涙ぐましいブルーでしこたま目を洗いたいという気…

昼晩羊肉串

Mは自分から何が食べたいとは積極的に言わない。ただ、会話の中で辣過ぎるものは苦手とか、酢飯があまり好きじゃないからみんなほど鮨は食べないとか、大人の苦味?にはまだ慣れられないとか、得られた情報は忘れずにランチやサパーの店を選択している。 数…