大多喜のハーブガーデンに行ったのは年が明けて12日のことだ。久しぶりにアクアラインを通って、房総半島に達した。 大晦日に体調を崩して、零時を回る時にはもう眠っていた。Hさんもこちらに合わせて静かだったが、そもそも彼女は春節が大事なんであって、…
昨日取り寄せていると書いた路遥《人生》の原書が今朝届いていた。この小説はある時代のベストセラーらしく出版社を変えて何度か出ているようで、装幀も何種類かあるのだが、これは帯に马云(ジャック・マー)と贾樟柯(ジャ・ジャンクー)のコメントがある…
浙江省出身の妻Hさんの息子家族が訪日し、その怒涛の日々が過ぎ去って、すると今度はHさんの横に割れた膝蓋骨を留めている金属を除去する話が出てきた。思案のあげく、その手術もやると彼女は決心した。 執刀医の話を聞く際、僕が通訳したが、ところどころ…
マンツーマンで中国語を習っていた老師が体調不良を理由に辞め、新しい老師になってひと月近く経つ。テキストは前老師とやっていたビジネス向けのやつを放擲し、今は『漢語口語速成 中級篇(第二版)』というのをやっている。メルカリで買った。この手の本土…
『十九歳の地図』(柳町光男・1979)という映画は当時存在した北区の王子スラムを映しているのだが、劇中にガスタンクが出てくる。薄いグリーンの球体で、10数階建てのビルに匹敵するほどでかい。近くまで行ったら、のけぞって見上げるほどのものだ。主人公…
ただ広場といった体の駐車場にクルマを駐め、照りつける太陽の下、緑の繁茂する階段まで辿り着くとそこはもう別天地だ。10代、20代の頃には見向きもしなかった森林浴が、この頃ありがたくて仕方がない。水遊びをしてきたらしい大型犬が気持ちよさそうにぶる…
8月15日。昨日はHさんのリクエストでナシ狩りに行ったが、萎びたいびつで小さなナシばかりで、園に足を踏み入れて2分で彼女が不機嫌になった。狩れるようなナシがないと受付のフィリピン人とおぼしき男の従業員に言い、彼がちょっと待ってと携帯で連絡をと…
1,445段階段を半分くらい上っただろうか、名の通りに霧が立ち込め、数十メートル先は何も見えない。ただ、僕は眺望を楽しむことを第一義として上っているわけではなく、言うなれば体力試しのために上っているのだ。 今年はきつかった。正直に言えば800段を越…
6月30日、薄曇り。年に一度、それも基本は夏場にひとりで足を運ぶジャパンスネークセンター。自宅から1時間45分ほどで到着。勾配を少し上ったところに施設があり、毎回そうするように建畠覚造制作の表面がところどころ剥げた白蛇観音を拝み、青々とした平野…
最近、中国語で短文をつくる(造句)ことを特におもしろく感じる。以下は火曜日の教室のためにこしらえた造句と、趣味で個人的につくった造句を敢えて一緒くたにしたものだ。前者は週に一度、1個つくればいいわけなのだが、昂奮して先んじて何個もつくってし…
5月、石岡市の八郷蒸留所近く。 先日の昼間、下町の隘路を歩いていると、不意に植物の懐かしい匂いがした。この匂いは自分が少年だった頃、頻繁に嗅いだ匂いなのだと思わず立ち止まった。辺りに人気はなく、雑草が強い光を受けながら揺れているだけだった。…
2月だから今年の遅い、中国語サークルの新年会の席(浅草の中国料理店)で、どんな話の流れだったろう、Tさんが唐突に「親父とは二度と会いたくないからね」と呟いた。そこから彼の身の上話を聞くことになる。 Tさん自身すでに70半ばに達しようとしている…
火曜、雨の夜。飄逸に歩を進めるFさん。この人が中国語学習会のコアになっているから25年もつづいているのだ。馴染みの店で紹興酒をちびちびやりながら、「途中で何年か九州に飛ばされとるじゃろ?」と古参の会員に同意を求めるFさん。「どうしてですか?…
フェイフェイが春節を故郷の青島で過ごすため帰っており、FさんとHさん(男性)、プラス僕の酒肉朋友、そして今回ゲスト参加の中国語サークル仲間Oさんの4人で晩飯を食っている最中、フェイフェイがいないのなら、このあと(彼女が普段いるスナックに)…
年をまたいで再度ボタンを買いにいった。中古で手に入れた黒のカシミヤジャケットが家にある。これがプラスチックのボタンまで黒で、全体に真っ黒だ。これを変えたかった。 着物姿の若人が散見される雑踏。三宅唱『ケイコ 目を澄ませて』(2022)やヴィム・…
日暮里や浅草橋にボタン専門店があるのは聞き知っていたけれど、昨晩布団に潜り込んで調べたら軒並み日曜日は開けていないのだった。それでも他に近所ではと親指を連打していると、浅草にいかにも昭和然としたYという店をぽつんと見つけた。ここは日曜日も…
こんばんは。 家で長い文章を書く習慣がすっかりなくなってしまったので、自宅から歩いて来られる距離にある昭和のにおい芬芬たる連込み宿に泊まり、わりあいに清潔な布団に寝転がってこれを書いています。牡丹という名の部屋です。 と、書いてからまたしば…
日本時間零時に始まったアルゼンチン対ウェールズ、4時からのニュージーランド対アイルランド。手に汗握るおもしろさで、また眠られない。三ノ輪(住居表示でいえば台東区なんだが、荒川区南千住や東日暮里の感覚がある)ドールハウス猫のおてて『阿修羅和の…
ラグビーW杯がとうに始まっている。舞台がフランスなので、時差の関係で日本時間深夜0時45分からと明け方4時からの試合がほとんどなのだが、それらをムリしてけっこう観ている。おかげでお肌の調子もボロボロだ。おっさんだからまあいい。脳みそも午前中あま…
暑い暑いと皆と言い交わしているうちに八月が終わってしまった。今日も東京の最高気温は34度。まだ夏は終わらない。 中国語学習会に出る前にFさんとHさんが寄る中国物産店がこの昭和の小道にある。私もいつしか寄るようになった。主にココナッツジュースを…
先月28日にHさんの自転車が撤去された。その日の夜、彼女から連絡が入り、最寄駅にある区の駐輪場の、たしかに駐めたその場所に跡形もないとぎゃーぎゃー騒いだあげくに徒歩で帰宅、玄関の鍵を開ける音がした。僕はゆるゆると身を起こし、下りていった。「…
中国語学習会の後半には造句(ザオジュ 作文)がある。この前の学習会は老師が脚のワイヤーを抜く手術をするのでお休みとなり、Fさんを中心に自習した。お題は〈中〉で、これを動詞としてザオジュする。意味としては、 1.(銃弾・宝くじ・賞・予想などが…
暑いので簡潔にいきます。 毎週火曜日の中国語学習会のあとは近所の中国料理店で一杯の黒酢サワーと一皿の揚げナスをいただきます。皆すでに注文するものが決まっているので(特に飲料)、〈いつものやつ〉か、或いは何も言葉を発せずとも品が出てくる人もい…
プライム・ビデオで『在りし日の歌(原題 地久天長)』(2019/王小帅ワン・シャオシュアイ監督)を観た。 今朝、Hさんに「地久天長」ってどういう意味とペンで書きながら訊ねたら、それなら「天長地久」でしょうと言う。〈夫婦が一生涯添い遂げるみたいな…
土曜夕。FさんHさんと浅草の中国料理屋で待ち合せ。この店の老班(ラオバン・店主)とFさんが長年の付き合いで、来月、中国語サークルの納涼会もここで催される。Fさん曰く、老班は北京人で、どこかのホテルで修業した人らしい。僕は先に店内に入ってし…
5月14日にHSK5級、6月25日に中検3級を受験した。前者の成績照会が6月14日より可能となり、ティンリー(聞き取り)68、ユエドゥ(読解)76、シエズオ(作文)73、ゾンフェン(合計)217分(点)だった。5級6級は合否の判定がなされないが、3部門で6割以上のス…
曇天のいばらきフラワーワーク。 気がつけばもう6月で、全国的(北海道除く)に梅雨入りした。ある程度年齢のいった者なら誰もが実感し、口にする年月の流れる早さ。僕にとっても、己が着々死に向かいつつあるとしか思えない早さになっている。一週間の流れ…
昨日の中国語サークルの帰り際、93歳の老翁が傘を持っている。最近天気が安定しないから〈今晩降るって言ってましたっけ〉と話しかけると、〈これはね、こうなんだ〉言うなり柄の部分をぐいっと持ち上げ、杖が出現した。かっこよいと思った。外に出て騒がし…
火曜日の中国語サークルは壮年47歳の僕が最年少で、次に花川戸に住む祭り好きの女性、あとは60代以上(全部で9人)といった風なのだが、最年長はなんと93歳の老翁である。23年余つづいているという歴史あるサークル、老師は遼寧省瀋陽出身と聞いている。僕は…
連休中に京成バラ園に行った。ここもまあかなりの人出だった。バラの花を模したジェラートを前回来た時ふたりで舐めて、この日もHさんが買ってあげるよというので長い列に並んだが、途中で売り切れていることに気づいた。初夏のような日で、彼女も僕もサン…