『余白のランナー』が届いた。この詩集所収の「下痢の止まらぬ女」「中腰の女」は大学時代の友人KやIと話したことあるなあと思い出した。後者に関してはTさんに心酔していたIがゼミナールの時にTさんがここに中腰の女が見える、とセザンヌの何かの絵画を指しながら述べ、いやいや見えないですって先生、と僕らふたりの前で小噺を披露して、笑いを誘われたものだ。
ベッドに横臥してこれを書いているのでたいしたことは書けない。隣りではHさんがいつも通りかなりのボリュームで大陸の動画を見ている。それで今夜も言わなければなりますまい。声音轻一点(しぇんいんちんいーでぃえん)。音を少し下げてくれろ、と。
高橋睦郎。ワープロ印刷の上にさらに手書きで何度も書き加えられ、線で消された草稿を図録で見たな。だれにもどこにも発表せずに雌伏20年。そんなことも読んだ。信濃追分の別荘でボクシングのポーズをとっている若きTさんの白黒写真も見た。他にもいろいろおもしろいことが書かれているTさんマニア垂涎の図録である。
話は変わるが、鶯谷のラブホテル街の一隅にひっそりとある木造平屋建ての子規庵。今日たまたま前を通ったが、閉まっていたな。新型コロナの影響だ。昔、一度だけ入って写真の庭を眺めたことがある。
その後、鶯谷から上野桜木へと至る斜め方向で自撮りする壮年。台東区でどこに住みたいかと問われれば、僕は上野桜木ですね。昔、川端康成も憧れて、住んだというが。
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斜め方向の時間潰しの歩行から駅北口へと戻る。途中、ストーリーという名のホテル。インスタグラームにもストーリーという機能があり、Mが頻繁に使用しているのでそれを見るのためにインスタグラームを覗いている。ツイッター、インスタグラーム、はてなブログが携帯画面上で横並びな僕です。以前にも言及しているが、ロマンポルノの傑作『黒い下着の女』(1982 斉藤信幸監督)の中でストーリーという曲が流れ、とても印象的なんである。石黒ケイさんという方が歌っている。