川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

壮年の衰え

思い出(8年前)

【物語の内容に触れています】 『人間のしがらみ』で、フィリップはミルドレッドに執着し、何度となく泥の布団の中でのたうちまわるわけだが、この女、他の男にとってはさほど魅力的に見えていないというのがリアルなんだな。最初、フィリップをカフェに連れ…

バラ園

高速を降りて、幹線道路をバラ園に向かって走っている。クルマの数はベッドタウンだからして非常に多い。数珠つなぎで小刻みに信号で停まる。ここまで来た時間より、ここから目的地までの時間の方がよりかかるだろう。助手席のHさんが「トイレほしい」と言…

眺望のいい場所

『恋人たちの時刻』(1987/澤井信一郎監督)を部屋にあったDVDで。終始晩秋のような物悲しさが底流している1本。それを久石譲の音楽がいやがうえにも盛り上げる。北海道が舞台だが、観光地然とした場所はほとんど映らない。ただ、眺望のいい場所はよく出て…

壮年の衰え

注文する人が少ないのか、他のスイーツ系カップがいくつも置いてあるのにこれは1個しか準備されていない。売れた状態じゃないように思う。 ぽつねんと在る。そういうものをたのんでしまうわたしがいます。 トマトは野菜か果物かについてはとりあえず措くとし…

覗く

大塚でMと会う。山手線の車窓からこの街の変貌をなんとなく眺めていたが、今日は三ノ輪橋から路面電車で大塚駅前まで来た。40分くらいかかったが、久々だし飽きなかった。飛鳥山の脇の道路をカーヴしながら上っていき、そこから大通りを横切り、一直線の鉄…

見つめる

雨空の街を見つめる女。それを見つめる男。大江千里「Rain」の気に入ったフレーズをボソボソと繰り返す。午前11時の開店と同時に入店し、焼肉のランチを食べる。Mはここの梅酒が好きで、ソーダ割りをゴクゴク飲むと、見る間に顔を紅潮させ、奥行きのあるま…

もすぐりーんのこうしがらじゃけっと

さいきんあいいんしているHさんのおみやげ。れんこんのくずゆみたいなやつ。じょせいがのむものだとかのじょはいうが、そんなことかんけいありゃしません。がんらいぼくはとろみのあるものがこうぶつなんです。しのばずのいけがこうしゅうのさいこをもでる…

コーヒーゼリーとココナッツアイスクリーム

※ハゲマル(壮年45歳のこと。前頭部ならびに頭頂部の薄毛進行に由来する)。 天皇誕生日。北千住駅からペデストリアンデッキで繋がっている商業ビルの9階でHさんとランチを食おうと思ったら、いちねん前に閉店していた。それでハゲマルの独断と偏見で秋葉原…

日常の再開

Hさんが大陸に帰る前、自分の自転車を雨ざらしにしたくないと言い、彼女が不在の三月弱のあいだ、自転車を家の一階に格納していた。新聞紙を床に敷いて、これでどうだいと微信で画像を送った。ある時から僕がウィスキーウォーキング(WW)に出かける際の用…

流山おおたかの森でごきぶりポーカーをやる

何本か川を渡りながら冬晴れの平野をつくばエクスプレスは疾走する。最寄駅から流山おおたかの森までシームレスの線路を滑っておよそ20分。先々週、先週と互いの体調不良で日延べしていた約束を果たす日。〈欧米の農場〉をテーマにした結婚式場併設のカフェ…

談話室にて

29日夕刻、日暮里の談話室にいた。ここのところHさんからの連絡がなく、春節(旧正月)の準備で忙しいのかなと思っていたが、今朝方微信にメッセージが届き、案の定そうだった。向こうは31日から一週間休み。見渡すと広い店内は半分以上の席が埋まっている…

悔しいいちにち

今日はほんとうに悔しいことになった。午前中Sと米国農村の館のようなカフェで昼飯、夕方にMと海底撈火鍋で晩飯という、年間でもそうそうない僥倖のようないちにちが、己の体調不良によりおじゃんになった。今これを打っているとおり体調はいくらか恢復し…

塵芥

いつからか、ここ2年のあいだに始まったことではあるが、コロナの影響じゃない気がする。それというのが、ほぼ毎晩、夜中に1回は目が覚めてしまう。たまに2回覚めるときもある。眠ってすぐじゃない、だいたい午前3時から5時くらいのあいだ。別にトイレに行き…

壮年の、夕陽の、

頭の中がグルグル回転しているわりに考えが少しもまとまらない。感情が乱れ飛んで交錯している。だから、土曜日にあったことを時間通りに記すのみだ。 朝、点けっぱなしのテレビの前にふたり座っていた。横浜の新しく開業したロープウェイが映っている。しば…

無題

昨晩、ほんとうに久しぶりに同じ組織の同業者たちと一堂に会して話し合い、そこは割烹料理屋の二階だったから、その後飲み食いもした。ただ、議論の渦中にいるにもかかわらず、皆の声が遠くで聞こえているような感覚が幾度もあった。距離を感じ、親密さを感…

氷塊

小雨。池袋西口の表記がややこしくなって、Mからそれで何口でしったっけ?とラインが来る。わしもようわからんのだけれども、西口北ですかのお。フクロウのところに立ち、正面ばかり見ていたら後ろからポンと肩を叩かれた。髪の色を黒に戻し、ダーマペンの効…

中年女

高橋揆一郎「伸予」(1978)をペーパーバックで読む。いい小説だった。女教師が昔の教え子の男と30年ぶりに再会する(ふたりはすでに50手前と44歳)。単簡に言ってしまえばそれだけの話なのだけれども、それをこんな風に書けるなんて。伸予というのは女教師…

奇人たち

日曜日はふたりの人物と会い、濃密な時間を過ごした。まず、ひとり目。大学時代の友人K。神保町はすずらん通りの東京堂書店1階で正午に待ち合せする。彼とは学生当時、働き始めてからも、しょっちゅう神保町で会って、その辺の喫茶店でお喋りしたものだ。コ…

乾燥機が回っているあいだに

冬なの? 今日は12月下旬だかの気候ですって。雨も降ってるし、さすがにウォーキングはやらないと思っていた。ところが、午前中に用意した海外渡航用のワクチンパスポートの申請書がいろいろの写しを添付しなきゃならないようで、それらの元をHさんに借りて…

グルグル

歌のフレーズや小説や詩の一節でもそうだけど、なにやら毎日頭の中を同じ文句がグルグル回っていることってありますよね。最近、下のやつが僕にとってそうなんです。 〈二個の者がsamespaceヲoccupyスル訳には行かぬ〉ってどっかで夏目漱石先生は言ったんで…

職場でロマンポルノのチラシを広げる。

全国的に感染者数が唐突に減って、東京も連日100人に満たない。そうゆうこともあり、友人たちとのあいだで少人数で集まろうという話がいくつか出てきた。業界の方は少人数ということがなかなかできないので、わたしの今いるポジションもやれることが限られて…

140文字

コーヒーゼリーと対峙しながら、9年前の出来事に思いを馳せる。わたしの最初の妻よりHさんの方が知り合ったのは先だから、ちょうどこの頃なのだろう。下の中文は当時ハルピンの方(2名)からいただいたものだ。結果的に関係なくなってしまったが。わたしは36…

北や南、それから記憶の

村上春樹の小説「中国行きのスロウ・ボート」の書き出しで、自分が最初に出会った中国人は誰だったかみたいなのありませんでしたっけ。僕は村上春樹好きでも嫌いでもないから、昔読んだっきりの記憶ですけど。その顰に倣うとすれば、僕が初めて出会った中国…

けうとい夕刻の道を

今日は躰がだるかったな。外回りも無く事務所でデスクワークだったから2千歩にも達していない。一度駄目になった話が思わぬかたちで復活したのはよかった。禍福は糾える縄の如し。帰宅して飯の前に体重計にのったら79kgに戻っていたが筋肉で重くなっているの…

碧いスーツケース

朝、スーツケースのナンバーロックの番号を忘れたとHさんが騒いでいる。この碧いスーツケースはこのあいだ買ったばかりで、三桁の番号はたしかふたりで決めたのだったが、わたしもまるで思い出せない。彼女はわたしを責め立てる。あなたの記憶力は落ちたわね…

アッシュグレーの休日

散髪に行く。外はからっと晴れて気持ちがいい。いつもの美容院。客はそこそこ入っているが、不思議にどこかがらんとした印象だ。ちょっと考えて、今日は入口に座って待つ客がいないからかもしれない。それと、下町の店だから客のなかにお喋り好きが2人か8人…

紹興のひと

連休には過去にもこうゆうことが2回か8回あった気がする。それがいつどこでとゆうところまでは憶えていないが。特に天候の悪い休日が過ぎ、晴れ渡った翌日など雨後の筍のように人出が凄く、それを捌く方も大変は大変だ。今日みたいに。 洗濯物を干していた時…

壮年は長編を読む。

ふと点けたテレビでビル・エヴァンスの特集をやっていた。今でもたまに夜聴いたりする。仕事から帰って食事し、ウォーキング、風呂に入って、そこからがちゃがちゃした音楽や歌詞の意味が否応なく耳に入ってくる曲は聴く気にならない時もある。ビル・エヴァ…

まどう不惑

『八月の濡れた砂』(1971・藤田敏八監督)を昨晩見返したが、今さら特に言いたいこともないです。湘南地域が舞台でだいたい海が映っているけれど、ピーカンばかりでもない。テレサ野田が裸で海に入る場面は早朝だが薄曇りみたいな天気で、裂かれた衣服のか…

薄毛、ままにせよ

オリンピックの野球日米戦が白熱しているのを、美酢(ミチョ)のカラマンシーを水で割って飲みながら観ていた。Hさんが来て、「日本は棒球(バンチュゥ)ほんと多いね」と言いながらわたしの後ろに回って首や肩を揉み始めた。ありがとう。これがなかなか力強…