川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

壮年の衰え

赤まむしの粉末

ラグビーW杯がとうに始まっている。舞台がフランスなので、時差の関係で日本時間深夜0時45分からと明け方4時からの試合がほとんどなのだが、それらをムリしてけっこう観ている。おかげでお肌の調子もボロボロだ。おっさんだからまあいい。脳みそも午前中あま…

火曜日の教室

火曜日の中国語サークルは壮年47歳の僕が最年少で、次に花川戸に住む祭り好きの女性、あとは60代以上(全部で9人)といった風なのだが、最年長はなんと93歳の老翁である。23年余つづいているという歴史あるサークル、老師は遼寧省瀋陽出身と聞いている。僕は…

水の流れ

海南島から帰ってきたHさんは翌日からすぐ仕事で上野やら西川口やら飛び回っている。三亜では朝から晩まで忙しかったと聞いていたし、海口、深圳、成田と移動も目まぐるしかっただろうから、大丈夫か、いちにちくらい家で休んだらどうだと言葉をかけても、…

哀愁のアイリッシュコーヒー

新年快楽(しんにぃぇんくぅぁいらー)!! 日本はアジア諸国の中で旧正月を祝わない数少ない国家のひとつなので何事もないふつうの日曜日として過ぎていきます。 21日除夕(ちゅーしー)。日本の大晦日にあたる。この日は午前中仕事があり、それを終えてか…

抱く神戸

人がいなくなった家なんてただのハコだと何かの映画で言っていたが、神戸の祖母の家が今そうなっている。神戸という街も祖母が在ったから訪れていたが、不在となり今後訪れる理由はそうないのだ(祖母の家を処分したらなおのこと)。といって他の観光都市と…

蕭蕭

『完全無修正版 濹東綺譚』(1992・新藤兼人監督)をDVDで。すでに30年も前の映画か。当時高校生だった僕が館に足を運んだ覚えはないが、何年かしてツタヤで完全無修正版じゃないやつを借りて観たのだと思う。それでも股間を熱く滾らせはしたはずだ。実家を…

今は昔

夕刻、Hさんからラインにメッセージがあり、自転車のボタン式ロックの4桁の番号を忘れたから教えてくれという。曰く、今買い物をしてスーパーの前にいる。荷物が多いので歩いては帰れない。ひとの番号を僕はそもそも覚えていないから教えようがない。以前に…

閑雅な午後

今年は詩人萩原朔太郎の没後80年でいろいろのイベントをやっているみたいだ。僕は詩というのはほとんど読まないのだが、この人と建畠晢、松浦寿輝は読む。 ある休日、池袋西口北でHさんと落ち合って、先日改装中で空振りだった火焔山で昼飯を食う。その後ル…

セルフィー

母親が19日から乳がん手術のため入院している。一応、明日退院予定。彼女が入院して以降、それまで億劫がってラインをやらなかった父親が急にやり始めた。ふたりとおれとHさんのグループに画像ともども頻繁に送ってくる。母親が飯が不味いと書けば、今晩の…

壮年時代

頭になんとなく靄がかかっているようで、ぼんやりしている。 YouTubeにあがっていた1980年代初頭のトーク番組『悪友親友』から。タイトルの中に「1980年頃」とあったが、ふたりのトーク内容(1932年1月生まれの藤田敏八監督が来年大台〈50歳〉に乗るとか、原…

オトナのパフェ

山の上ホテルのコーヒーパーラーでたのんだ洋梨のパフェは写真で見ると丸ごと一個どんと上に乗っかっており、同行の24歳女性とこりゃすごいねと言い合った。それが運ばれてくると、「こちら飴細工になっております。カポッとはずせますので」と言う。えーそ…

思い出(8年前)

【物語の内容に触れています】 『人間のしがらみ』で、フィリップはミルドレッドに執着し、何度となく泥の布団の中でのたうちまわるわけだが、この女、他の男にとってはさほど魅力的に見えていないというのがリアルなんだな。最初、フィリップをカフェに連れ…

バラ園

高速を降りて、幹線道路をバラ園に向かって走っている。クルマの数はベッドタウンだからして非常に多い。数珠つなぎで小刻みに信号で停まる。ここまで来た時間より、ここから目的地までの時間の方がよりかかるだろう。助手席のHさんが「トイレほしい」と言…

眺望のいい場所

『恋人たちの時刻』(1987/澤井信一郎監督)を部屋にあったDVDで。終始晩秋のような物悲しさが底流している1本。それを久石譲の音楽がいやがうえにも盛り上げる。北海道が舞台だが、観光地然とした場所はほとんど映らない。ただ、眺望のいい場所はよく出て…

壮年の衰え

注文する人が少ないのか、他のスイーツ系カップがいくつも置いてあるのにこれは1個しか準備されていない。売れた状態じゃないように思う。 ぽつねんと在る。そういうものをたのんでしまうわたしがいます。 トマトは野菜か果物かについてはとりあえず措くとし…

覗く

大塚でMと会う。山手線の車窓からこの街の変貌をなんとなく眺めていたが、今日は三ノ輪橋から路面電車で大塚駅前まで来た。40分くらいかかったが、久々だし飽きなかった。飛鳥山の脇の道路をカーヴしながら上っていき、そこから大通りを横切り、一直線の鉄…

見つめる

雨空の街を見つめる女。それを見つめる男。大江千里「Rain」の気に入ったフレーズをボソボソと繰り返す。午前11時の開店と同時に入店し、焼肉のランチを食べる。Mはここの梅酒が好きで、ソーダ割りをゴクゴク飲むと、見る間に顔を紅潮させ、奥行きのあるま…

もすぐりーんのこうしがらじゃけっと

さいきんあいいんしているHさんのおみやげ。れんこんのくずゆみたいなやつ。じょせいがのむものだとかのじょはいうが、そんなことかんけいありゃしません。がんらいぼくはとろみのあるものがこうぶつなんです。しのばずのいけがこうしゅうのさいこをもでる…

コーヒーゼリーとココナッツアイスクリーム

※ハゲマル(壮年45歳のこと。前頭部ならびに頭頂部の薄毛進行に由来する)。 天皇誕生日。北千住駅からペデストリアンデッキで繋がっている商業ビルの9階でHさんとランチを食おうと思ったら、いちねん前に閉店していた。それでハゲマルの独断と偏見で秋葉原…

日常の再開

Hさんが大陸に帰る前、自分の自転車を雨ざらしにしたくないと言い、彼女が不在の三月弱のあいだ、自転車を家の一階に格納していた。新聞紙を床に敷いて、これでどうだいと微信で画像を送った。ある時から僕がウィスキーウォーキング(WW)に出かける際の用…

流山おおたかの森でごきぶりポーカーをやる

何本か川を渡りながら冬晴れの平野をつくばエクスプレスは疾走する。最寄駅から流山おおたかの森までシームレスの線路を滑っておよそ20分。先々週、先週と互いの体調不良で日延べしていた約束を果たす日。〈欧米の農場〉をテーマにした結婚式場併設のカフェ…

談話室にて

29日夕刻、日暮里の談話室にいた。ここのところHさんからの連絡がなく、春節(旧正月)の準備で忙しいのかなと思っていたが、今朝方微信にメッセージが届き、案の定そうだった。向こうは31日から一週間休み。見渡すと広い店内は半分以上の席が埋まっている…

悔しいいちにち

今日はほんとうに悔しいことになった。午前中Sと米国農村の館のようなカフェで昼飯、夕方にMと海底撈火鍋で晩飯という、年間でもそうそうない僥倖のようないちにちが、己の体調不良によりおじゃんになった。今これを打っているとおり体調はいくらか恢復し…

塵芥

いつからか、ここ2年のあいだに始まったことではあるが、コロナの影響じゃない気がする。それというのが、ほぼ毎晩、夜中に1回は目が覚めてしまう。たまに2回覚めるときもある。眠ってすぐじゃない、だいたい午前3時から5時くらいのあいだ。別にトイレに行き…

壮年の、夕陽の、

頭の中がグルグル回転しているわりに考えが少しもまとまらない。感情が乱れ飛んで交錯している。だから、土曜日にあったことを時間通りに記すのみだ。 朝、点けっぱなしのテレビの前にふたり座っていた。横浜の新しく開業したロープウェイが映っている。しば…

無題

昨晩、ほんとうに久しぶりに同じ組織の同業者たちと一堂に会して話し合い、そこは割烹料理屋の二階だったから、その後飲み食いもした。ただ、議論の渦中にいるにもかかわらず、皆の声が遠くで聞こえているような感覚が幾度もあった。距離を感じ、親密さを感…

氷塊

小雨。池袋西口の表記がややこしくなって、Mからそれで何口でしったっけ?とラインが来る。わしもようわからんのだけれども、西口北ですかのお。フクロウのところに立ち、正面ばかり見ていたら後ろからポンと肩を叩かれた。髪の色を黒に戻し、ダーマペンの効…

中年女

高橋揆一郎「伸予」(1978)をペーパーバックで読む。いい小説だった。女教師が昔の教え子の男と30年ぶりに再会する(ふたりはすでに50手前と44歳)。単簡に言ってしまえばそれだけの話なのだけれども、それをこんな風に書けるなんて。伸予というのは女教師…

奇人たち

日曜日はふたりの人物と会い、濃密な時間を過ごした。まず、ひとり目。大学時代の友人K。神保町はすずらん通りの東京堂書店1階で正午に待ち合せする。彼とは学生当時、働き始めてからも、しょっちゅう神保町で会って、その辺の喫茶店でお喋りしたものだ。コ…

乾燥機が回っているあいだに

冬なの? 今日は12月下旬だかの気候ですって。雨も降ってるし、さすがにウォーキングはやらないと思っていた。ところが、午前中に用意した海外渡航用のワクチンパスポートの申請書がいろいろの写しを添付しなきゃならないようで、それらの元をHさんに借りて…