川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

2020-01-01から1年間の記事一覧

オレンジがかったぼわん

階段の滑り止めを1階から3階まですべての段に張る。住んで3年目にして初めてやったことだ。これを張らなかったからファさんが滑落したのだと少し考えたが、実際は逆なんだろう。ふたりとも3年間滑ったことがなかったから、これを張るという必要性が頭にのぼ…

骨折の夢

23日午後12時30分。錦糸町にて漬け白菜と豚肉の炒め。壁に貼ってある写真では黑木耳(ヘイムアル・きくらげ)の刻んだのが入っているが、これをたのんで今まで入っていたことはない。黑木耳は家でよく食べているからまあいい。米の量を少なめにしてもらう。…

チャック交換代

19日。ファさんとともに銀座へ。彼女のスーツケース及びワンピースのチャックが破損したとのことで、前者を新たに購入、後者の修理・交換を頼みながら銀ぶら。人は歩行者天国には比較的少なかった。なにしろ中華圏の観光客がいない。静かな街路と言えば言え…

ふたつの茅

寒い時期になった。日本海側では降雪がすごい。太平洋側と天候がくっきり分かれる季節の到来。夏や海のイメージが強い藤田敏八の『危険な関係』(1978)をFANZA動画で。二度目。読んだことはないが、ピエール・アンブロワズ・フランソワ・ショデルロ・ド・ラ…

モモさん

11日、6時半。帰宅するとモモさんがいた。エプロンをして台所に立ち、その横でファさんが早口で喋りながら手伝いに回っている。うっすらと聞いてはいたが、モモさんが大闸蟹(上海ガニ)を持って料理を作りに来るというのは今日だったのかと思う。モモさんは…

THE VANISHING

1ヶ月以上かけて失踪の学問的な書物を読了する。示唆に富み、おもしろかったが、いろんな概念を駆使しながら論証を積み重ねていく形式や、迂回にもみえる章立てもあり、ややまどろっこしさを感じた。晦渋にしているつもりはないと思うが、文章としてもうちょ…

築53年の部屋

6日。以前、百貨店共通商品券15,000円分をファさんにあげたのだが、それを使って池袋で買い物するというのでつきあう。もうすでに疲れるような予感がする。そのかわり、昼に羊肉串を食うぞと僕は言う。例の火焔山だ。駅についたのが昼時だったので、そのまま…

十二月また來れり。

師走か。一体なんだったんだ2020年。去年のラグビーW杯を遠い昔のことのように感じる。あの、台風一過の横浜で行われた運命の日本対スコットランド戦。あれほど心震える試合もめったになかった。 以前に言及したことがあるが、自宅の真ん前で計画されている…

福井

先日、福井県出身の女性と雑談する機会があった。彼女の郷里は敦賀で、東京に出てきてだいぶ経つらしいが、イントネーションになんとなく西のものが混じる。敦賀気比って野球で有名な高校がありますよねと抄太郎が言うと、まさにその学校の卒業生であった。…

無題

〈シオノギ・ミュージックフェア〉(2020年11月28日放送)より

フジエダヌード

11月恒例、上田のりんごを両親からもらう。以前は日帰りしていたのだが、ここ数年は往路の軽井沢で犬の泊まれるホテルに一泊している。連休中の軽井沢のアウトレットは非常な混雑だったらしく、両親もまたその中の一員であった。抄太郎もファさんも今年は長…

最初の字は何かしら

21日、快晴の強風。ひたちなかへ。連休初日なので常磐道でも渋滞を覚悟したがそれほどのことはなく、落ち葉が踊るように舞う高速道路を比較的スムースに疾駆する。筑波山が正面左手に見えた時、ほんとうに紫色をしているなと思った。 予定よりもかなり早く到…

烏の濡れ羽色’71

父親の昔話。以前にも言及したことがあるが、私の父方の祖母は勝浦の出身である。それで父親が大学生の夏休み─今から半世紀も前のことだが─に興津の親戚の家にアルバイトに行っていた。海沿いのその家の庭はかなり広く、海水浴客の駐車場として終日500円で貸…

いちにんで

三夜沢から黒保根へ至る途中。今日はいちにん。お天気も良く、のどかなドライブ。ただ、車内に流れる松任谷由実の「コンパートメント」が怖くて、怖いもの聴きたさになぜだか繰り返し聴いてしまう。睡眠薬自殺をテーマにした歌曲だが、こんなに美しくて怖い…

まあ12000歩

今日は昼間だけで12000歩ウオークした。まあ人によってたいしたことのない歩数であり、たいしたことのある歩数だと思う。先月あたりから夜の散歩に出なくなったのは、ファさんが寒いのを嫌ってのことだが、抄太郎いちにんで出かけてもいいわけで、それもしな…

タイドプール

房総半島のかなり南。左手に犬のリードを握りながらタイドプールを眺める。空は薄曇りで、暑くもなく寒くもない。風もさほどじゃない。母親のおごりでこれから海を臨むテラス席で海鮮を食べるのだが、順番が来るのを待っている。肉球のクッションを駆使して…

裸で日光を浴びる。

先月27日すでに荷物がこちらに到着しているにもかかわらず、検疫で留め置かれていると〈郵便追跡〉で知り、ファさんはやきもきしていました。するとこの書面が届き、私の母親のために向こうから送ってもらったクルミとラッカセイは廃棄されたことをさらに知…

灯台記念日

三崎公園内にある潮見台。海の上に張り出してスリルがあるとのことだが、抄太郎は30分ほど前に登った塩屋埼灯台の方がよほどぶるっとした。風が強いし、空と海の茫漠たる広がりに吸い込まれそうになるから。 灯台まで自宅から200kmと少し。朝8時前にラオワイ…

針と歯車

数日前。錦糸町で久しぶりに北方の儿化音を聴いた。昼時この街に来ればだいたい入る中国料理店。それでも新型コロナで無沙汰だった。通されたのが相席で、僕も含め皆いちにんで黙々と食っているから、服務する彼女たちの声が高らかに響く。南方人を妻に持つ…

蜜柑狩り

渋滞情報を見ると、昨日は関越道がおばけだった。今日はそれほどのことはないようだが、それでもとにかく時間を早めることにした。午前8時出発。高速から富士山がくっきり見えた。 どろりとした甘めの味噌だれが蜜柑狩りのあとの一服に合う。ファさんが1本、…

きつい

『青春の殺人者』をDVDで観る。大学時代に観て以来。動画配信でも観られるのだろうが、それには「『青春の殺人者』という事件の現場」という樋口尚文による長谷川和彦へのロング・インタヴューや、「キネマ旬報 1977年2月下旬決算特別号「決算号特集Ⅰ 中堅・…

聡明

秋吉久美子、桃井かおり、原田美枝子のさんにんは70年代を象徴する女優という認識です。彼女たちを抜いて70年代日本映画は語りようがないと考えている。私の母親に近い年齢の人たち(桃井と母親は同い年)ですが、10代・20代の彼女たちの躍動する映像が、惜…

雨のステイション

16日、晴れときどき曇り。 過日、海老名SAで買って食った鯖寿しは残念だったが、ここ若廣のものは嘘がない。端っこのをつかみ上げてもちゃんと肉厚。味道も無論申し分ない。日暮里で購入したのだが、時間が遅かったので焼き鯖はなくなっていた。それで今回…

グリルの焔

颱風の影響で友人Jとの檜原村キャンプが中止となり、彼の「神戸岩(かのといわ)行きたいですのに」の言葉も風雨の中に消えた。残念だが、機会をとらえて奥さん、その妹さんと是非行ってほしい。 さて、キャンプの代わりに友人J宅の庭でグリルをやることと…

器械としてのいすみ

鶴岡抄太郎はいすみ市の大原漁港近くで昼食をとろうと、旭市からひたすら九十九里を南下した。重苦しい雲の垂れ込めたいちにちだったが、それでも海岸沿いの直線道路を走るのは気持ちよく、海側のウィンドウを開け放った。全長66kmに及ぶという九十九里を端…

いとこん

ファさんが月餅を「げぴん」と発話するのはまだその指示するところのモノを推測できる。それ混ざってるから。「げっぺい」ね。覚えといて。先日、彼女が電話で誰かと話している最中、出し抜けにベッドで横臥する私に「いとこんてどこ?」と訊くから、どこっ…

70年代釧路

日活ロマンポルノ『さすらいかもめ ―釧路の女(ひと)―』(1973・西村昭五郎監督)をDVDで。神経が疲弊しているため感想もろくに書けず、ほぼ映像を羅列するだけになってしまいます。70代初頭の釧路の街や港、阿寒湖のアイヌコタンが見られたことで、気分転…

やすんば

鶴岡抄太郎は建築の門外漢だが、妹島和世の日立駅はやっぱり素晴らしいじゃないかと思う。一面のガラスからみえる大海原。海上にコンクリート架橋された自動車道路(日立バイパス)。常磐道から日立駅に向かって坂を下りていくと、空と海のあわいが判然とし…

食卓にカマキリ

両親とHさんが乗り気になったので、私も実家のクルマの助手席に座り、午前9時またも北関東へ向け出発。ところが常磐道の普段混まないような区間でクルマが数珠つなぎになっている。停まっては進みを繰り返すタチの悪い渋滞だ。東北道の混雑をみての選択だっ…

苔むし塔

曇天。降っているようないないようなしみったれた雨です。 護摩屋敷とは、山伏がヌルデの木などを焚いて修行をするところ。昔、修行に訪れた僧たちが、ここの水で身を清めたと伝えられることから、この名前がつきました。(「秦野市観光協会」サイトより抜粋…