川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

紫のイルミネーション

f:id:guangtailang:20211223133437j:image22日夜。ミッドタウン日比谷にいた。ここには初めて来たが、都心らしい洒落た空間だ。時節柄人も多く、皆おめかししている。外は寒くてマスクの中で洟を垂らすほどだったが、こうやって見ると紫のイルミネーションはわりかし好き。同い年の女性と話したが、世智に長けている印象を受けただけで、テンションは上がらなかった。そりゃ45年も生きてればそうなるんですけど、それの何がおもしろいのと思う。〈おもしろき こともなき世を おもしろく〉だよほんとに。

f:id:guangtailang:20211223133452j:imageお気に入りの革手袋。もう七、八年愛用している。年末の酒場で失くしそうになった場面がこれまで何度かあったが、マフラーは失くしてもこれは店員さんが追っかけてきて渡してくれたり、運が強いのだ。

f:id:guangtailang:20211223133510j:image23日昼。錦糸町谷記にいた。「朋有り、遠方より来たる」の上になぜか漬け白菜と豚肉の炒めのメニューが一枚だけ貼ってある。僕はこれを指差し、ライスとスープをつけ、定食にしてもらう。服務員は相変わらず元気よく二階に話しかけている。ダムウェーターでバコンと料理が下りてくるだろう。

f:id:guangtailang:20211223133517j:image運ばれてきた時、今日のはちょっとなんか色が濃いと思ったのだ。食べてみると味道が違う。酸っぱみがほとんどなく、これ醤油の味つけだろう。まあそもそもメニューの写真にはキクラゲが入っているのだが、それは前からないからよしとしよう。ただ、今日は味道が違い過ぎる。ふと思い出した。年に三、四回ハルピンに行っていた頃、向こうのレストランでガイドとともに昼飯を食った。彼らの行きつけの店。出てきたメイン料理の味道が著しく違ったらしい。ガイドとその妻が言葉を交わし、服務員を呼ぶ。「これ、前と味道が違うようだけど、料理人が変わったのか? つくり直してもらえないか」。服務員の若い女性はたいして困った顔もせず奥に引っ込み、しばらくして同じ料理が出てきた。ガイドが味見して、今度はよかった。この挿話が脳裡によみがえった僕だったが、何も言わずおとなしく食べた。

f:id:guangtailang:20211223133523j:imageこのペーパーバック、安いからたまに買う。最近も吉行淳之介の『男と女の子』を買った。ただ、最近は読書の時間を少しもつくっていないので、積ん読が増えるばかりだ。ちなみにこの書棚、ギチギチに詰め込んでいる枠は指を入れるスペースすらなく、本を取り出すこともできない。

f:id:guangtailang:20211223205657p:imageSMT。N=A=V=I=G=A=T=I=O=N。LADY NAVIGATION。