川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

中年女

高橋揆一郎「伸予」(1978)をペーパーバックで読む。いい小説だった。女教師が昔の教え子の男と30年ぶりに再会する(ふたりはすでに50手前と44歳)。単簡に言ってしまえばそれだけの話なのだけれども、それをこんな風に書けるなんて。伸予というのは女教師…

アンチョビフィレ

昨晩、ウォーキングのあとにひどく腹がすいてしまい、Hさんが3階にいるのをいいことに、冷蔵庫の脇にある階段下の収納スペースからクラッカーの箱を引っ張り出し、中身を開けるとちぎったスライスチーズをのせ、その上にスカーリアさんのアンチョビフィレを…

奇人たち

日曜日はふたりの人物と会い、濃密な時間を過ごした。まず、ひとり目。大学時代の友人K。神保町はすずらん通りの東京堂書店1階で正午に待ち合せする。彼とは学生当時、働き始めてからも、しょっちゅう神保町で会って、その辺の喫茶店でお喋りしたものだ。コ…

乾燥機が回っているあいだに

冬なの? 今日は12月下旬だかの気候ですって。雨も降ってるし、さすがにウォーキングはやらないと思っていた。ところが、午前中に用意した海外渡航用のワクチンパスポートの申請書がいろいろの写しを添付しなきゃならないようで、それらの元をHさんに借りて…

ウォーキング

昨日は満月だったのだが、また地上の風景を撮ってしまった。JR貨物の広大な敷地。調べれば、東京ドーム5個分なのだそうだ。隅田川駅と呼ばれるこの貨物集積所は北海道、東北、新潟、北陸方面から来る貨物列車の終着駅(始発駅)だという。この付近に長年住…

グルグル

歌のフレーズや小説や詩の一節でもそうだけど、なにやら毎日頭の中を同じ文句がグルグル回っていることってありますよね。最近、下のやつが僕にとってそうなんです。 〈二個の者がsamespaceヲoccupyスル訳には行かぬ〉ってどっかで夏目漱石先生は言ったんで…

同じメニュー、打包、そして猪に抱きつく

立ちっぱなしの試験監督員を終え、会場から駅までの坂を下る。徒歩だと10分以上かかる。雨はやんでいた。切ってあった携帯の電源を入れ、Mにメッセージを送る。この新駅の周辺は再開発の最中で、広い敷地がフェンスで囲まれ、クレーン車のアームだけが覗いて…

腕時計を借りに

休みだったが、明日は試験会場で読み上げ・進行があるので遠出せず。というか、明日大事な腕時計が家に見当たらず、昨晩事務所に探しに行ったがそこでも見当たらず、腕時計を借りに行きますと両親のラインに送った。ここ半年以上、腕時計をつけていないから…

職場でロマンポルノのチラシを広げる。

全国的に感染者数が唐突に減って、東京も連日100人に満たない。そうゆうこともあり、友人たちとのあいだで少人数で集まろうという話がいくつか出てきた。業界の方は少人数ということがなかなかできないので、わたしの今いるポジションもやれることが限られて…

サルに長い柄の先のスプーンでエサをやるということ

10、11日とHさんの帰国(これがまた困難なのだが)までに一度温泉へという以前からのリクエストを実現すべく鬼怒川へ。Hさんの妹の娘ルルの婚礼、朋友のモモさんの帰国(嘘かと思うが、上海までの片道航空運賃が20万を超えるという)が10日で、Hさんも家にい…

大地震と映画に関するメモ

10月7日午後7時20分。隅田川。 昨晩10時41分に大きめの地震があった。その時、僕は1階で風呂上がりの耳掃除をしていて、スマホの警報音がけたたましく鳴り、すぐ来た。お、これはかなり大きいやと3階のHさんに伝えに行こうとしたら、声を上げながら向こうか…

140文字

コーヒーゼリーと対峙しながら、9年前の出来事に思いを馳せる。わたしの最初の妻よりHさんの方が知り合ったのは先だから、ちょうどこの頃なのだろう。下の中文は当時ハルピンの方(2名)からいただいたものだ。結果的に関係なくなってしまったが。わたしは36…

秋の日はつるべ落とし

Hさんから西川口の用事で遅くなる旨連絡があったので、スーパーで総菜を買い、昼の残りのパンプキンスープと合わせて15分で食い終わると、なぜかウイスキーを飲み始めてしまい、いかんいかん順序が逆だと、それからウォーキングに繰り出した。川沿いの土手を…

川をゆく

昨日の晩は雷が鳴っていた。その時僕は家の2階にいて、夕飯を食ったばかり。階下でHさんとモモさんのお喋りする声が聞こえる。そのはざまにいかずちが聞こえてきた。それで自転車で錦糸町から来たモモさんは帰るのを早めることにした。雨はちょっと降ってい…

ぬるっとした感触

風だけ残った。夕方に雨はやんで、退勤の人らがぞろぞろ外に出始めた。皆傘を畳んでいるが、強風で帽子を吹き飛ばされた人を見た。 Hさんはいちにち蟄居。口内炎をふたつもつくっているから、寝てればと出がけに言ったが、ほんとうに3時間くらい眠ったらしい…

腹上の本

『回想のブライズヘッド』というおもしろい小説を読んだ後につづけて『緑の家』を読んだのだが、何頁もいかぬうちに放擲した。全然のれなくて、これを読むのは今じゃないなと思った。最初、文字の密度の濃い描写が数十頁つづく。密林の中に修道女を乗せたボ…