川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

雨のステイション

16日、晴れときどき曇り。

f:id:guangtailang:20201017185933j:image過日、海老名SAで買って食った鯖寿しは残念だったが、ここ若廣のものは嘘がない。端っこのをつかみ上げてもちゃんと肉厚。味道も無論申し分ない。日暮里で購入したのだが、時間が遅かったので焼き鯖はなくなっていた。それで今回はこれ。焼き鯖より500円程度高い。オフィスレイディ風の人が焼き鯖のないことを服務員に軽くぼやいていた。上野駅の直営店に行けばまだあるかもしれないと服務員。そう、一駅しか離れていないのに両方の駅で福井の若廣が買えることを個人的に奇貨としたい。

f:id:guangtailang:20201017190711j:imagef:id:guangtailang:20201017190027j:imageたしか、焼き鯖はノルウェー産、鯖寿しは国産だったと思う。会社のサイトを見ると、葛飾区に東京支社を構えている。最近じゃ、ファさんが夜いない場合、いちにん飯も外食もアレだしと考えて日暮里まで行き、若廣を買うことが多い。日暮里はまず近いうえ、吉村昭先生の出身地でもあるし、ずっとシンパシーを感じている。昭和大箱喫茶のニュートーキョー談話室。フライングディスクの専門店もあると同業の後輩から聞いた。大規模な盛り場のない荒川区の繁華街として、日暮里をとるか町屋をとるか。あなたならどう考えますか?

f:id:guangtailang:20201017190040j:image17日、いちにち雨。明日は宅建試験の監督員の仕事があるので、元々遠出するつもりはなかったが。錦糸町で第77回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を獲得した『スパイの妻』(2020・黒沢清監督)を観る。黒沢映画はわりかし劇場まで足を運んで観てきている方だが、こんなに盛況なのは初めてだ。ロビーの列がとぐろを巻いている。年輩の人が多い印象。『ニンゲン合格』(1999)も『ドッペルゲンガー』(2003)も『叫』(2007)も『リアル~完全なる首長竜の日~』(2013)も『クリーピー 偽りの隣人』(2016)もこんな風な客層ではなかった気がする。やはり、知名度のある賞を取るとこうなるのか。蛇足ながら、いちばん興奮して映画館をあとにしたのは『カリスマ』(1999)である。この時は大学時代の友人Kと一緒に観に行った。場所も憶えている。テアトル新宿。地上への階段を上りながら、どちらからともなく武田泰淳の名が出た。Kは『ニンゲン合格』の牧場場面にエキストラとして参加していたし、ふたりして黒沢清にハマっていた。

幕間の山崎紘菜さんがメイクオーバーしたのか、さらに艶っぽくなっていた。171cm。

f:id:guangtailang:20201017190326j:image錦糸町駅から間違えて逆方向の電車に乗ってしまい、新小岩駅にて初めて転落及び接触防止用という線路に向いていないベンチを見る。とはいえ、現在ではホームドアが設置されている。そこから馬喰町駅まで行き、東日本橋駅に連絡。高校時代、毎日使っていた駅で、長い通路が懐かしかった。

ファさんの帰りが遅くなるとのメッセージが入り、浅草松屋地下にて買い物。ガーリックシュリンプとアボカドのサラダならびに玉ねぎのオーブン焼き。両方とも10%の割引が適用され、しめて1,554円。僕が食べる。彼女はチーズを食わない、アボカドを食わないということで、いちにんの時は却ってそれらに目がいってしまう。チーズを口にしているのを最後に見たのは、信州の長門牧場でピザを食った時かな。まあ、あんなにフレッシュなチーズなら食うよね。

f:id:guangtailang:20201017190603j:image【以下、一部ネタバレあり。役名では呼ばず、俳優の名で呼んでいます】

731部隊関東軍防疫給水部)がミソになっている映画で個人的に印象深いのは、『凍河』(1976・斎藤耕一監督)である。独特の暗さに浸された映画で、ホラーじみているといっても過言ではない。荒井由実の「朝陽の中で微笑んで」がここという場面で流れる。石原裕次郎が最後に出演した映画でもある。

それはさておき、高橋一生蒼井優の台詞回し、素晴らしかったな。これ、なまなかな俳優にやらせてたら、1940年代も731もあったもんじゃない失敗に終わるところだったと思う。おふたりの力量に感服しました。東出昌大の不気味な佇まい、変質的なまなざしも冷酷な官憲らしさが出ていました。

最後の方の捕縛の危険を分散させるために夫婦別々に行動したところで、ちょっと先の展開が読めてしまった感じがありましたが、蒼井優の美麗(とりわけこのひとは手が美しい)と力量で凌いでいました。