川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

火曜日の教室

f:id:guangtailang:20230526150220j:image火曜日の中国語サークルは壮年47歳の僕が最年少で、次に花川戸に住む祭り好きの女性、あとは60代以上(全部で9人)といった風なのだが、最年長はなんと93歳の老翁である。23年余つづいているという歴史あるサークル、老師は遼寧省瀋陽出身と聞いている。僕はまだ2回参加しただけだが、老翁は実にしっかりしている。帰り道、花川戸の女性に躰を支えられて杖をつく姿はさすがに寄る年波を感じさせたが、老翁はライングループにも参加している!

中に友人Jが30歳齢をとったようなFさんという人がいる。最初老師に自己紹介をさせられ、〈実は僕の妻は中国人で、結婚して7年になります〉と中国語で言ったら、間髪入れずにFさんが〈けれども、来年離婚するつもりです〉と中国語でかぶせてきた。この手の黒い諧謔は初対面では気分を害する人もいるのだろうが、僕は却っておもしろいおっさんがいるなあと思った。痩身小柄で、関西弁(のような)を操るのだが、出身は広島だという。あとで聞いたところ、Fさんには僕とさほど齢の変わらない娘がいるというから、実際若々しい人だった。

f:id:guangtailang:20230526150224j:image木曜日の中国語サークルといたずらに比較することは避けたいが、火曜日のそれは中級者以上を対象にしている感じだ。そもそも使っているテキストがそうだが、会員が皆長いので、年月をかけて自然とそうなってきたのだろう。木曜日と同様、門戸は開かれているのだが、僕も最初会員たちを見た時、白髪を並べた平均年齢の高さに少し戸惑った。しかし場の雰囲気に慣れてくると、これは勉強になるし、どの方も味のある大人(ダーレン)で、仲間に入れていただいて有り難かった。皆中国語学習という目的で集合しているので、年齢云々など気にせず、ざっくばらんに接してくれる。

f:id:guangtailang:20230526150226j:image会員たちは老眼が進み、このテキストの頁を拡大コピーして学習している。上の2冊、1冊は火曜日の教室のために買ったもの。もう1冊は事務所の棚を整理していたらたまたま出てきた。ということは僕はその存在をすっかり失念していた。奥付を見ると10数年前の版だ。このあいだ実家に帰ったら、かつての自室に最近買った文庫本2冊と同じものが数冊おいて並んでいた。こんなことがたびたびある。老眼は会員たちよりマシかもしれないが、頭の方は僕がヤバいかもしれない。

ところで中国語学習の中級者とはいかなるレベルを指すのだろう。「さまよえる中級者」という言葉もあるが、この定義は茫漠としてむつかしい。試験を受けるのが目的の人ばかりじゃないが、ひとつの目安として敢えていえば、HSK4級~5級くらい、中国語検定3級くらいだろうか。これだと狭すぎるか。Fさんはチャイパブで女性とぺちゃぺちゃ雑談し、彼女たちを笑わせ、中国語の歌を熱唱することが学ぶ目的である。持ち歌は20曲あるそう。

「北方人(ベイファンレン)」「南方人(ナンファンレン)」があっさり通じたのも収穫だった。それくらいこれらは中国人について語る上で不可缺少な概念ですから。

f:id:guangtailang:20230529094522j:image笠間北山公園の展望塔より。起伏を利用した緑溢るる穏やかな公園だが、附近に射撃場があり、乾いた銃声がひっきりなしに聞こえる。数日前にも信州中野で警官ふたりが射殺される事件(合計4人死亡)があったが、ここにいると銃声とはこのようなものかとよくわかる。