川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

中国語

或る中国語学習者

2月だから今年の遅い、中国語サークルの新年会の席(浅草の中国料理店)で、どんな話の流れだったろう、Tさんが唐突に「親父とは二度と会いたくないからね」と呟いた。そこから彼の身の上話を聞くことになる。 Tさん自身すでに70半ばに達しようとしている…

マンスリーで人生はステップアップするもの

火曜、雨の夜。飄逸に歩を進めるFさん。この人が中国語学習会のコアになっているから25年もつづいているのだ。馴染みの店で紹興酒をちびちびやりながら、「途中で何年か九州に飛ばされとるじゃろ?」と古参の会員に同意を求めるFさん。「どうしてですか?…

ボタンを買いに(再)

年をまたいで再度ボタンを買いにいった。中古で手に入れた黒のカシミヤジャケットが家にある。これがプラスチックのボタンまで黒で、全体に真っ黒だ。これを変えたかった。 着物姿の若人が散見される雑踏。三宅唱『ケイコ 目を澄ませて』(2022)やヴィム・…

令和の酔狂シリーズ

こんばんは。 家で長い文章を書く習慣がすっかりなくなってしまったので、自宅から歩いて来られる距離にある昭和のにおい芬芬たる連込み宿に泊まり、わりあいに清潔な布団に寝転がってこれを書いています。牡丹という名の部屋です。 と、書いてからまたしば…

飛び退った八月

暑い暑いと皆と言い交わしているうちに八月が終わってしまった。今日も東京の最高気温は34度。まだ夏は終わらない。 中国語学習会に出る前にFさんとHさんが寄る中国物産店がこの昭和の小道にある。私もいつしか寄るようになった。主にココナッツジュースを…

カンケイとカンセイ

中国語学習会の後半には造句(ザオジュ 作文)がある。この前の学習会は老師が脚のワイヤーを抜く手術をするのでお休みとなり、Fさんを中心に自習した。お題は〈中〉で、これを動詞としてザオジュする。意味としては、 1.(銃弾・宝くじ・賞・予想などが…

神田スタンダード会議室にて

暑いので簡潔にいきます。 毎週火曜日の中国語学習会のあとは近所の中国料理店で一杯の黒酢サワーと一皿の揚げナスをいただきます。皆すでに注文するものが決まっているので(特に飲料)、〈いつものやつ〉か、或いは何も言葉を発せずとも品が出てくる人もい…

下流におもむく

土曜夕。FさんHさんと浅草の中国料理屋で待ち合せ。この店の老班(ラオバン・店主)とFさんが長年の付き合いで、来月、中国語サークルの納涼会もここで催される。Fさん曰く、老班は北京人で、どこかのホテルで修業した人らしい。僕は先に店内に入ってし…

そこのみにて照り輝く

5月14日にHSK5級、6月25日に中検3級を受験した。前者の成績照会が6月14日より可能となり、ティンリー(聞き取り)68、ユエドゥ(読解)76、シエズオ(作文)73、ゾンフェン(合計)217分(点)だった。5級6級は合否の判定がなされないが、3部門で6割以上のス…

常磐ハイウェイ

曇天のいばらきフラワーワーク。 気がつけばもう6月で、全国的(北海道除く)に梅雨入りした。ある程度年齢のいった者なら誰もが実感し、口にする年月の流れる早さ。僕にとっても、己が着々死に向かいつつあるとしか思えない早さになっている。一週間の流れ…

火曜日の教室──我老了,

昨日の中国語サークルの帰り際、93歳の老翁が傘を持っている。最近天気が安定しないから〈今晩降るって言ってましたっけ〉と話しかけると、〈これはね、こうなんだ〉言うなり柄の部分をぐいっと持ち上げ、杖が出現した。かっこよいと思った。外に出て騒がし…

火曜日の教室

火曜日の中国語サークルは壮年47歳の僕が最年少で、次に花川戸に住む祭り好きの女性、あとは60代以上(全部で9人)といった風なのだが、最年長はなんと93歳の老翁である。23年余つづいているという歴史あるサークル、老師は遼寧省瀋陽出身と聞いている。僕は…

千葉大西千葉キャンパス教育学部2号館にて

連休中に京成バラ園に行った。ここもまあかなりの人出だった。バラの花を模したジェラートを前回来た時ふたりで舐めて、この日もHさんが買ってあげるよというので長い列に並んだが、途中で売り切れていることに気づいた。初夏のような日で、彼女も僕もサン…