川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

そこのみにて照り輝く

f:id:guangtailang:20230627121021j:image5月14日にHSK5級、6月25日に中検3級を受験した。前者の成績照会が6月14日より可能となり、ティンリー(聞き取り)68、ユエドゥ(読解)76、シエズオ(作文)73、ゾンフェン(合計)217分(点)だった。5級6級は合否の判定がなされないが、3部門で6割以上のスコアを取得し、自慢できるほどの高得点じゃないにしても、一応5級の実力はあるというわけだ。その余勢を駆って受けた後者はその日に解答が公表される。HSKと違い、問題用紙を持って帰れるから晩に自己採点をし、聞き取り80点、筆記94点で、合格していると思う。

つづけざまに上記二大中国語試験を受けた印象を言うと、難易度はHSK5級が上だと思う。ティンリーは1回流れるだけで、喋る速度はけっこう速い。全体に設問のボリュームがあり時間との闘いだったが、中検3級は見直ししても30分以上時間が余り、途中退室した。聞き取りが2回流れるのと、喋る速度が比較的ゆっくりなのも問題を易しくしている。ただ、正確な声調やピンインを問う問題などは苦手な人もいそうだ。幸い僕はそれらが得意なのだ。中国語学習の初期に黒竜江省ジャムス出身のQ老師にみっちり教わったからだと思う。彼女の美しい発話は今でも僕の耳朶を叩く時がある。

7月16日には10年ぶりにHSK4級を受けるべく申し込んである。これが終わってまた中検3級と比較してみるのも一興だ。ちなみに中検の3級と2級の難易度に大きな差があるとは、さまよえる中級者たちからよく聞く話だ。

ある日、10年ぶりにQ老師から連絡がきて、彼女の父上の会社が所有する新小岩のビルの管理を任されることになったのも奇縁だ。北千住の喫茶店でQ老師と落ち合い、彼女とHさんが目の前で喋る、北方人と南方人の口音が交わされる、なにげない光景なのだろうが、その実僕の中文人生に多大な影響を与えたこのふたりがついに相見え、今また僕の中文学習のランプに焔を灯すきっかけになっていると思うと感慨深く、非常感谢你们と心の中で呟いていた。

f:id:guangtailang:20230627121025j:imageそんな試験と試験の合間の息抜きに(試験勉強をやったのだ)、『エンゼル・ハート』(1987/アラン・パーカー監督)、『台北暮色〔原題 強尼・凱克〕』(2017/ホアン・シー〔黄熙〕監督)、『だれかの木琴』(2016/東陽一監督)を観た。『薬の神じゃない!〔原題 我不是药神〕』(2018/ウェン・ムーイエ〔文牧野〕監督)は全然乗れなくて途中で観るのをやめた。

火曜日の中国語サークルには対話のコーナーがある。遼寧省出身のK老師が中国語で問う内容に中国語で返す。それを参加メンバー全員がやる。頭部帯状疱疹でまだ病み上がりのHさんに老師が〈你生病的时候,〜〜〉と訊く。Hさんが〈え、ションベンダシーホウ? ションベンしてる? そんな…〉と慌てる。すぐさま横のFさんが〈ほら、ションベンひっかけられちゃった時だよ〉と茶々を入れる。〈小便はシャオビェンなんだからさ〉〈そうなんですよ〉。Hさん63歳、Fさん76歳の夏である。サークルメンバー皆を好きになりつつある僕は火曜日が来るのが待ち遠しいのだが、とりわけこのふたりが好きで、先日、花蓮出身のママが営む綾瀬のスナックに連れていってもらった時は心ときめいた。入れ歯を新調してから口が回らないと言いつつ唱った中国語の持ち歌34曲のFさんの張恵妹A-Mei「聴海」も響いたが、Hさんがジェイ・チョウ周杰倫)「最長的電影」を〈再给我两分鐘 譲我把記憶结成冰(あと2分だけ待ってくれないか きみとの思い出を凍らせてしまうから〉と唱い上げた時には我ながら切なさを殺せなかった。