川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

常磐ハイウェイ

曇天のいばらきフラワーワーク。

気がつけばもう6月で、全国的(北海道除く)に梅雨入りした。ある程度年齢のいった者なら誰もが実感し、口にする年月の流れる早さ。僕にとっても、己が着々死に向かいつつあるとしか思えない早さになっている。一週間の流れる早さなど、3日か4日でまた週末がくる感覚だ。この言い方が大袈裟過ぎるのはわかっている。でも、気分によってはそう感じる。

先週の火曜日は中国語サークルにHさんを連れていった。老師が来る前に数人の学習者と会話したが、彼女にはよく聞き取れない部分もあったという。ここのサークルの人たちは中級の実力を有していると思われるから、そうだとしたら発音と声調の問題に帰結すると思う。特に声調の不安定さがつづき、言葉を区切る場所が不自然だとやはりネイティブになかなか通じない。僕もさんざん彼女に指摘・訂正された部分だ。木曜日の老師は名詞じゃなければ、発音・声調に難があっても文脈でかなりの程度聞き取ってもらえると言うのだが、それはご自身が語学教師だからだと思う。日本人の中国語発話の癖を知悉し、その上で耳を傾けておられるから。一般の中国人はさすがにそこまで親切じゃない。逆に、正確な発音・声調で喋れば、文法上の間違いが散見されても、言わんとすることはかなり通じるのが中国語だと思う。会話における文法の間違いを気にし過ぎるのは日本人の改めたいところ。

毎年この時期恒例のブルーベリー狩りを終えて、筑波山の方向を見やる壮年47歳。

今日は出だしから妙だった。数日前から天気予報とにらめっくらしていたが、前日に予約を入れ、ファームから承諾の返信をもらった。それが当日、雨の常磐ハイウェイを疾駆(80キロ規制)していると、現地で合流する小山在住の小松松(シャオソンソン)からHさんと後部座席の友人に連絡が入り、〈自分はもう着いた。今日、ファームはやっていない〉という。そんなはずはないと僕は守谷SA に入ってクルマを停め、携帯を取り出すと、ファームからとおぼしき番号から4回も着信が入っていた。折り返す。農園主は雨でも大丈夫ですか?という意味のことを言うだけで、閉園しているとかキャンセルとかの言葉は口にしなかった。それでこのまま向かうと伝えた。雨の装備は万端整えている。

現地でシャオソンソンと合流し、農園主もいた。彼らふたりのあいだで誤解があったようだ。ただ、帰宅後予約の際に登録したメールへの返信(当日朝6時14分)を見てわかったことだが、そこでは農園主は雨によるブルーベリー狩りの中止を告げていた。常磐ハイウェイ上の会話では、雨ですがどうぞとなったが、このメールに拠ればシャオソンソンの言に理がある。すでに向かっていたことから、農園主は受け入れることにしたのだ。雨によるキャンセルをファームの方からするのはどうなのだろうという釈然としない気持ちが正直今もある。ましてやしょぼしょぼ雨程度、ファームにいるあいだに上がる雨で。

池袋の集で。このあいだ上野広小路で不覚にもHさんにぶちまけた時、このようなグラスだった。心なしか彼女の瞳も僕のグラスにばかり注がれているようだ。細心の注意を払う。