川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

思い出(8年前)

f:id:guangtailang:20220518100007j:imagef:id:guangtailang:20220518100013j:imagef:id:guangtailang:20220518100019j:imagef:id:guangtailang:20220518100026j:image【物語の内容に触れています】

『人間のしがらみ』で、フィリップはミルドレッドに執着し、何度となく泥の布団の中でのたうちまわるわけだが、この女、他の男にとってはさほど魅力的に見えていないというのがリアルなんだな。最初、フィリップをカフェに連れて行った友人はすぐに他の女に目移りしてしまうし、ミラーには遊ばれているだけ。グリフィスなんかもちょっといいなと思うが、まもなくあんなクソ女よりフィリップとの友情をとるべきだった、ごめんなさいとなる。

フィリップがミルドレッドをコントロールできると思ってしまう(特に最初の頃)のがまずいわけなんだけど、これはもう泥の布団の中でもがき苦しむことを通過して、新たな境地に立たなければわからない。自分と会っている時以外の彼女をコントロールするなんておこがましいのだけれど、ミルドレッドの気持ちがたいして彼に向いてないから余計にコントロールしようと思ってしまう(イギリスだから、ここに階級的な格差の問題が絡む。彼女はフィリップのどこからみても〈紳士〉というところに少しは魅かれている。彼はそれを利用するだろう)。彼女とのしがらみの中で、ミルドレッドには社会的競争力がないとフィリップは気づき始め、〈憐れみ〉の気持ちが芽生える。執着がほどけ、新たな境地に立っている。

一方で、