川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

セルフィー

f:id:guangtailang:20220925171650j:image母親が19日から乳がん手術のため入院している。一応、明日退院予定。彼女が入院して以降、それまで億劫がってラインをやらなかった父親が急にやり始めた。ふたりとおれとHさんのグループに画像ともども頻繁に送ってくる。母親が飯が不味いと書けば、今晩のおかずですと自分のを送っている。日曜日は快晴だったこともあり13歳の柴犬を連れて栃木市の大平山に行き、〈関東平野を一望〉かなんか送ってきた。〈燦ちゃんがあまり楽しそうじゃないけど〉と母親が返していた。めったにやらないことだが病床の母親がニット帽をかむって胸の前に管のついた容器をぶら下げたセルフィーを送ってくる。それを見つめていると、胸がつかえるような感覚がおれでさえある。父親は旅先の金沢のユースホステルの玄関に座ってハガキを書いている時に母親と知り合った。たしか冬の話だ。母親は友だちを連れていたが、その人は財布をなくしたとかで先に神戸に帰ってしまう。それで母親は金沢の街を案内しますよという父親の口車に乗せられてその後の行動をともにした。1970年代初頭の出来事である。おれはロマンポルノを含めてこの時代の日本映画が好きだが、男女の出会いのプロローグははこんなんでいいわけである。

f:id:guangtailang:20220925171654j:image自己肯定感の強い壮年だけが、互いにセルフィーを送り合って数千枚に達します。

後日談だが、財布をなくした友人と母親はその後なんとなく疎遠になり、かなり長い時間が経ってその人から電話があったのだが、新興宗教の施設に行こうという誘いだったので、丁重に断ったという。