川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

2018-01-01から1年間の記事一覧

「辺境からの手紙」

ドゥニ・ヴィルヌーヴ『灼熱の魂』(2010)を東京芸術センターのブルースタジオで。金曜日の午後7時。観客は私を含めて3人。この館に来るのは、アピチャートポン・ウィーラセータクン『ブンミおじさんの森』(2010)以来だが、あの時も観客は3人だった。1,00…

ダブルデッキにて

【千葉県柏市の柏駅東口にあるペデストリアンデッキ(日本で初めて作られたペデストリアンデッキ)は、「ダブルデッキ」と呼ばれている」】。Wikipedia 午後6時40分。ダブルデッキより夜空に白亜を浮き上がらせる閉店そごうを撮る。回転展望台の内部にわずか…

黑白还是彩色?

ウレタン敷きのジョギングコースをウオーク。標高の高い場所はもう紅葉が見頃だといいます。先日行ったアルプの里はまだ全然でしたが、短い期間でめざましく色づくのでしょう。最近、ドコモのCMで一休さんのでかい仮面を被ったわけのわからないやつが流れて…

老いの微笑

久方ぶりにウレタン敷きのジョギングコースから対岸を撮る。最近とみに眼が悪くなって、スマホの文字が見えにくい。文庫の活字が見えにくい。事務所の地図が見えにくい。中文教室でノートをとっていても自分の書いた文字が見えにくい。かといってたとえばス…

貴方がムースーロウ派で良かった。

紅白のドラゴンフルーツ。実家にある狗の置物。ドラゴンフルーツいらっしゃいませ~。ドラゴンフルーツは甜みの控えめな果実だが、紅は白よりもやや甜みが強い。でもいずれにしろ他の果実に比べ甜みが控えめで、これを食べたあとにキウイフルーツや柿を食う…

しっとりした中越 

越後湯沢。この『雪国』は1957年の作らしい。八千草薫の若い頃の美貌は驚くべきものがある。川端康成がこの旅館に逗留して「雪国」を執筆したのは、昭和9年の晩秋から昭和12年にかけてのことだが、この木造3階建はたぶんその頃でしょう。数年前、実際、旅館…

皿の花

敬老の日。両親とHさんとかごの屋で昼飯。その後、父親が近いから椿山荘へ行こうと言い出す。滝の裏から。 バンケット棟のフォレスタとかいう喫茶でモンブランを食らう。花の皿というものはない、皿の花があるだけだ。コーヒーとセットで1,680円くらい。 実…

ぶどう団地

予報ではぐずついた天気になりそうだったのだが、カーテンを開けてみると晴れていた。藪塚の気持ちよい朝。 ぶどう狩りに行く途中、当初から予定に入れていた足利市(14万7千人)の鑁阿寺(ばんなじ)、足利学校に立ち寄る。渡良瀬川を渡っている時、川面や…

藪塚の一夜

太田市藪塚のジャパンスネークセンター。個人的には3回目、Hさんは初めて。彼女が蛇好きであろうはずもないのだが、杭州西湖には白蛇伝、妹の家の裏山には洗澡する蟒蛇の奇譚が伝わり、蛇に馴染みはあるらしいので、白い蛇も大蛇もいて見る価値あるよと誘っ…

ビャッと成語で

午後6時40分頃、柏駅西口。常盤線快速は北千住(足立区人口、67万8千余人)、松戸(49万人)、柏(42万2千人)と停まった。私の最寄り駅から20分くらい。業界の知り合いで松戸や柏に住んで、東京に通勤してくる者を何人も知っている。東口のそごうは閉店し、…

松花麦饼

松花麦饼(ソンホアマイビン)。これはHさんの両親の家、诸暨の郊外に行った時、彼らの手作りで振る舞われた。出来立てのあつあつが山ほど皿に乗っていた。蕭山出身のディンディンの女朋友が初めて食べたと言っていたが、無論、僕も初めてだった。Hさんが向…

金沢・片山津

「弁当忘れても傘忘れるな」という格言は実のところ日本海側の多くの地域で使われており、金沢に限った話ではないのだという。それと、これは雨がよく降るという意味以上に、一日の中で目まぐるしく天候が変化する、そのことの謂いらしい。私のよく行く長岡…

今年第21号

午前8時半頃。自宅附近はさほど風なく、雨は降っていたので、モンベルの撥水の上下を着て出勤した。その後、一時的に風雨が強くなったが、昼頃には青空も見られた。東京は台風の気配を感じるものの、今のところ妙に静かだ。一方、西日本では、台風21号チェー…

ゴルゴンゾーラのパンを囓るだけ

山椒魚のようなゴルゴンゾーラのパンを昼飯に食べる。これは昨日、両親が小狗を連れて茨城方面をドライブし、ついでに寄ったペニーレインという店で買ったものを今朝くれたのだ。レシートも入れっぱなし。9月になり、もう1年の3分の2が過ぎた。それで何を言…

河北 〜いきむく壮年

大陸から帰ってきて、また中文教室に通うことに決めた。なぜそういう気持ちになったのか。ひとつは、今回、向こうでHさんの親類縁者と交流してみて、あらためて会話力の向上が必要だと感じたこと。もうひとつは、週一でも習い事に通って、のんべんだらりと過…

ユートピア

明け方に変な夢をみて、事務所に来てからも引きずっている。まあ、夢で変じゃない夢はないのだが、それにしても妙なリアリティがあったので、夢の断片を思い出し、あれこれと詮索してしまうようなことです。 すでに数年を大陸(中国)で暮らしているおれが、…

海の色

舟山群島一帯の海はコーヒー牛乳色だったが、はて、私の好きなあすこの海の色はどんな風だったか、もう一度確かめてみよう。晴れた日曜日にそんなことを思った。すでに35度はありそうな昼過ぎ。新しい町の祭りを横目に川を渡り、常磐道に上る。高速を下りて…

吃夜宵

大陸のコンセントと持参した万能プラグ。17日午後9時半過ぎ、ディンディンが今日は晩飯も早かったし、夜食(夜宵 イエシャオー)に新疆人のやっている店で羊肉串を食おう、と誘ってくれる。それをHさんに伝えると露骨に嫌な顔をした。私が夜食に肉を食うのが…

洗澡する蟒蛇

17日朝、薄曇り。今日はHさんの両親の家、妹の家、朋友のフェンホンの家を廻る。私が以前、乡下(シャンシャ 田舎・農村)の家を見てみたいと言ったら、だったら両親と妹の家に行けばいいとHさんが言ったのだ。ちなみに妹の旦那、ジエンホアは杭州市に出稼ぎ…

台風の影響 ~舟山普陀山~

16日。朝から曇天で風が非常に強い。朝飯を食いに別棟から本棟へ中庭を歩く時も、ぬるく強い風に髪をなぶられた。いよいよ台風の影響かしらん。今日は船で普陀山に渡るのにから。この島の成り立ちがなかなか面白い。 「当地が観音霊場となった由来は、〔中略…

八月の濡れた砂 ~舟山南沙~

15日午前、一路舟山群島へ。 大陸から島へ、海上に架かる橋を渡るわけだが、ディンディンが跨海大桥(クアハイダーチャオ)と呼ぶそれは最大島である舟山島の西側にあるわりかし大きな金塘島へと至る金塘大橋だ。金塘大橋を快走する。ここまで、台風の影響は…

天一閣 〜寧波〜

たしかに寧波を代表する有名観光スポットであるわりに天一阁の場所はわかりにくい。狭い道に進入したディンディンも迷ってしまい、クルマの窓から顔を出し、道路脇に立っている白いランニングシャツのおやじに「师傅」と呼びかけている。この辺に駐車して天…

老外灘 ~寧波~

14日夕刻、宿に到着。ウェルカムドリンクがあったり、フロントの右側に下のようなスペースがあったり、瀟洒なホテルだ。亚朵酒店(ヤードゥオジィョォディエン)。ここもディンディンが予約した。部屋には老外滩(ラオワイタン)の大きなパネルが据えてある…

風にはためくスカーフ ~寧波~

14日、晴れ。寧波の中心市街地に宿をとったが、先にディンディンが奨めてくれた蒋介石旧居に向かう。西から東へ、高速公路を快適なドライブ。ディンディンの運転はかなり上手い。旧居は寧波市奉化区の渓口鎮にあり、このエリアは国家重点風景名勝区AAAAA級旅…

諸曁の夕暮れ

13日午後4時過ぎ、メガロポリス上海虹橋駅から高鉄(ガオティエ)に乗車する。諸曁(ヂュージー)から迎えに来てくれたのはHさんの息子、ディンディン。彼はバスケットボールをやっているが、黒のタンクトップに短パン、手ぶらのサンダル履きという練習帰り…

切なさとだらしなさと

午後から晴れた。が、またぞろ台風が発生したらしく、その14号ヤギの進路が、僕が飛行機に乗る日まさにその空域を目指しているようなあんばいなのだ。困ったなあ。 会社をやめた恵子(山口百恵)が友人と不倫する元上司の岩淵(津川雅彦)に、「家庭にお戻り…

ガングリオン

昨晩は同業者との暑気払い。夕刻、事務所を出て自転車で駅に向かっていると涼しい風に顔を撫ぜられた。前方を歩いているサラリーマンの手には傘が握られている。関東に台風13号が近づいており、明日には上陸の恐れもあるという。 上野の居酒屋。座った向かい…

宵寝

昨日は昼職場にいる時から躰がだるくて、帰宅後、飯を食ったあと宵寝した。2時間ほどして起き上がると、だいぶ恢復している。やっぱり眠るのがいちばんだな。 大学の先生らが執筆した『東アジア海域に漕ぎだす3 くらしがつなぐ寧波と日本』(東京大学出版会…

燈台へ行く道

2011年8月29日、横須賀市。当時の人口42万弱、現在は40万を割った。かつて、日活ロマンポルノの一作、『横須賀男狩り 少女・悦楽』(藤田敏八監督/1977/77分)が撮られた。なんか先々月くらいにDVD化されていたな。おれはDMM.R18(現FANZA)で観たけど。この…

川と祈りの花火

午前8時52分。自動販売機で600ml入った麦茶を買う。そして、緑の庇の下でごくごく飲む。向かいのほとんど終わりかけているマンション工事現場を眺める。60年配の初老の男たちが、暑さでヘルメットの下の顔を紅潮させながら交通整理をしている。このマンショ…