川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

ユートピア

明け方に変な夢をみて、事務所に来てからも引きずっている。まあ、夢で変じゃない夢はないのだが、それにしても妙なリアリティがあったので、夢の断片を思い出し、あれこれと詮索してしまうようなことです。

すでに数年を大陸(中国)で暮らしているおれが、どこかの地方都市の警察に拘束されている。簡素なつくりの部屋にはふたりの男がおり、ひとりがおれと対面している。近距離でお互い立っているような感じだ。男は冷静に話しているが、別に猥褻なことでもなんでもない、こんなのは濡れ衣だ、早く釈放してくれ、とおれの方が憤激しながら抗弁している。夢のなかではやたらと達者な中国語を喋れるようだ。日本にも帰れないのだから、とおれが言い、男はそれを承知している感じで軽く頷き、あくまで冷静だ。なぜ日本に帰れないのかは明かされないし、おれ自身にもよくわかっていないのだが、とにかく帰れないという事情、というか感触だけが堅固にある。

そのうち場面が変わって、蛇を飼育している施設みたいな(といって蛇そのものは出てこない)、ガラス張りの温室みたいな場所を女性と並んで歩いており、あんな目に遭うならここにずっといればよかったとかおれが喋っていて、女性はうんうんと相槌を打っている。すると軽やかな足音が聞こえて、5、6歳くらいの男と女の子供が我々に駆け寄ってくる。この子らは他人の子らしいのだが、やたらとおれに懐いていて、女性よりもおれの方にまとわりついてくる。ふたりの顔は似ている。そのまま温室のような空間を出て、外の断崖になっているところまで歩いていく。際にコンクリート3階建てくらいの建物が建っていて、半ば植物で覆われている廃墟だ。手前に瓦礫も積まれている。子供らが落下しないよう手で制しながら、突端まで来て、あとで下に降りてうまいもの食べようとおれが言うと、なぜか女性も子供らも大笑いする。眼下に町があるのか、その向こうに海があるのか、そのあたりははっきりしない。

また場面が変わって、ステンレスの横に長い手洗い場のようなところで、汗だくになって布でそれを磨いているおれがいる。数メートル先にこちらに背を向けながらやはり布でステンレスを磨いている男がおり、おれより何歳か上の、親方か先輩のような存在だ。この人は日本人のようなのだが、我々には感情的に妙な距離感があり、互いに話しかけもせず、黙々と磨いている。男は上半身裸で皮膚から汗が噴き出している。おれはなにやら妙に落ち着いた心持ちだ。今こうして憶えている限り夢を記述してみると、端整に構成し過ぎているきらいがあるが、どこかユートピア的なものが感じられる。

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【2018.8.30 追記

みた夢をのちに記述(再構成)すると第三者の視点のようになってしまうのだが、夢の中でおれは自分の姿をみていないし、夢をみながらそれが夢だとわかっている明晰夢というのもいまだみたことがない。いつも自我が夢にどっぷりつかっているようなことなのだ。