川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

吃夜宵

大陸のコンセントと持参した万能プラグ。f:id:guangtailang:20180822002416j:image17日午後9時半過ぎ、ディンディンが今日は晩飯も早かったし、夜食(夜宵 イエシャオー)に新疆人のやっている店で羊肉串を食おう、と誘ってくれる。それをHさんに伝えると露骨に嫌な顔をした。私が夜食に肉を食うのが不満だし、屋台的な羊肉串も好んでいないのだ。店の中なら許してくれるのに。

それでも4人で出発。クルマで10数分の距離だった。店内も外もあらかた座席は埋まっており、繁盛しているのがわかる。f:id:guangtailang:20180822002426j:image外に空席を見つけると、テーブルの下に狗がいた。どいてもらう。注文して待っているあいだ、ディンディンが向かいの屋台で胡麻をふったナンのようなパンを買ってくる。ちぎって齧ると、うすい塩味がきいていてうまい。Hさんもこれはむしゃむしゃ食べる。f:id:guangtailang:20180822002440j:imagef:id:guangtailang:20180822002450j:imagef:id:guangtailang:20180822002500j:image結局、18本くらい食ってしまい、Hさんの白い眼を浴びる。帰りの車中で、あなたもこうやって夜頻繁に来て食べてるんでしょう。いや、まだトータルで5回しか行ってないよ。最初、朋友に連れてってもらったんだ。夜の10時に肉を食べて、躰に何いいことがあるの。というような母子(ははこ)のやりとりを聞きながら、にやにやする。

日本に帰ったら、ああいう機会もなかなかありませんで、どうか勘弁して下さい、と寝る前に詫びる。f:id:guangtailang:20180822002510j:image翌日午前、高鉄で虹橋空港まで行き、午後帰国。

【2018.8.23 追記

そういえば、上海虹橋駅2楼のファーストフード店と、寧波老外灘のスタバにいわゆる「物乞い」がいた。日本にいる時にネットで凄惨なニュースも見たが、これらの物乞いはだいぶましだった。前者は50半ばくらいの男で、真っ黒に日焼けして、紙っぺらとペンを持っている。最初、口をぱくぱくさせながら私のところに寄ってきたから、ディンディンの肩をつついた。彼も胡散臭そうな目で男を見て、短パンのポケットからコインを数枚取り出し、渡す。男はペンで紙に何か書きつける仕草をするが、ディンディンは面倒臭そうに手を振った。男は隣りのテーブルに移動する。ここでも口をぱくぱくさせながらペンで紙に何か書きつけるジェスチャーをしているが、そこの客たちはまったく相手にしなかった。男はさらに隣りに移る。ディンディンに確認もしなかったが、この男は聾啞、またはそれ以上に聾啞を演じており、施しをすれば、名簿(紙っぺら)に名前を書いてやるということのようだった。後者はスタバの小ぎれいな店舗に、40代くらいの夫婦と父親に肩車された男の子の3人組で入ってきた。彼らも真っ黒に日焼けしている。入口から近い大きなテーブルの端に座っている私とHさんのところにやってきて、男がなにやら話しかけてくる。私はほとんど聞きとれず、Hさんはなんとも言えない顔で黙殺していた。我々が取り合わないので、しばらくして彼らは店の奥に移動していった。Hさんが、子供が深刻な病気で、早く治さないと手遅れになるんだって。本当かどうかわからない。と顔を正面に向けたまま言った。明らかに本当じゃないと言いたげだ。我々がほとんど飲み干した頃、またもや3人組が近づいてきて、斜め向かいに座って、分厚いテキストをひろげ、マーカーでラインを引っ張っているショートカットの女性に話しかけ始めた。彼女はイヤーフォンをしていたが、ポケットから20元札を取り出すと、ビャっとテーブルに投げて、シッシッをするように手を振った。男が札を手にし、礼を言って3人で店外に出て行った。