松花麦饼(ソンホアマイビン)。これはHさんの両親の家、诸暨の郊外に行った時、彼らの手作りで振る舞われた。出来立てのあつあつが山ほど皿に乗っていた。蕭山出身のディンディンの女朋友が初めて食べたと言っていたが、無論、僕も初めてだった。Hさんが向こうから持ってきたので、昨晩、むしゃむしゃと5、6枚も食べた。素朴な食べ物で、甘いのだが、しつこい甘さではない。胡麻が香ばしく、つい次の1枚に指が伸びてしまう。ちょっと調べたら、基本的に浙江省の名物らしい。わけても诸暨の麦饼は有名なようだ。
牛肉片(ニュウロウピェン)。味が濃いので食べ過ぎると喉が渇くが、こちらもつい次の1袋に手が伸びてしまう。毎回、向こうで買ってきてくれとHさんに頼む。そして、母親の好物の核桃(Hétáo クルミ)。これを母親は止まらないと言う。殻の中にそのまま実が埋まっていて、殻の亀裂を入れてある箇所から割って食べる。ほのかな甘み、ほどよい渋みで、たしかにうまいんだ。緑色の包装紙ばっかりだな。昔、僕は緑色のマンションに住んでいたけれどもね。ぎりぎり旧耐震の。相変わらずマンションは乱立しているが、緑色の外壁はあんまり見ない。耐震といえば、昨晩0時頃にも千葉県南部を震源とした地震があり、こっちもやや揺れたので早速Hさんが怖がった。日本に戻る前も、親類縁者から「ベイハイダオでダーディーヂェンがあったみたいだぞ。今行って大丈夫なのか?」と心配されたという。「中国人からみたら、東京と北海道は近いと思うのかも知れないが、1,000キロくらい離れてるから(ちなみに上海~北京はおよそ1,300キロ)」。
本場紹興市で買ってきた女儿红を虾にかける。またこの日常が始まる。