川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

食べ物

私はコンデンスミルクを所望する

いちご狩り再び。これはもうHさんのリクエストというより、私の雪辱のようなところがあります。先週の徒労を同じ活動をすることの中で挽回したかった。 いちごはやはり栃木に行くべきだったのだと思い返し、去年訪れた鹿沼のビニルハウスへ。同じ轍は踏まな…

ハイリーピン

12日、夜。福建人の作ったハイリーピン(海蛎饼)と宇和島から送られてきた柑橘類を食べる。Hさんも西川口の会所で4個食べてきたというハイリーピン、小生も3個ぺろりといってしまいました。海鮮主体でさっぱりした味付けの福建料理は日本でもっと流行って…

耐雪梅花麗

11日、晴天。高速を走っている時、涙ぐましいブルーの空に白い富士山が輝くように浮かび上がっており、感動した。 越生梅林はまだ早かった。今週末から梅祭りだというが、それでもまだ早いだろう。2月下旬が見頃かしらん。 時間は少し遡り、日高市(人口5万5…

中華風アロスティチーニ

夜。御徒町の高架下で中華風アロスティチーニを10本食らう。Hさんは今月大陸に帰るのをやめ、飞机票を退掉するので連絡しろとぼくに命じるが、航空会社の番号にかけても全然繋がらない。ナビダイヤルでお繋ぎします、などとぺちゃぺちゃアナウンスが流れる…

口罩

夜。隅田川を渡り、地元の和食レストランへ。今日、Hさんは東京入管に5時間半滞在した。これはラグビーの試合が4試合まるまる入るほどの時間である。結果、3年の在留許可が下りたわけだが、彼女の心身の疲労を考えて外食に誘った。私も交付の窓口までは一緒…

黒い零食

25日。仕事終わりに北千住の大箱喫茶。スーパーフラットじみた黄色いキャラクター人形を店先に置き、サンローゼ時代の澀みや豪奢は後退したが、それでも店内ほとんどの席が埋まっている。相変わらず地元の老人たちの憩いの場であるのも微笑ましい。柱を囲ん…

たそがれどきはけうとやな

15日夕。ころ柿をスーツのポケットに忍ばせて業界の新年会に赴く。無論、裸ではなくラップにくるんである。 不忍池の弁天橋をとぼとぼ歩いていると、薄闇の向こうから若い男の甘ったれた中国語が聞えてくる。多少の興味ですれ違いざまに見やれば、同年代の女…

漂泊者

大晦日、晴れ。私は部屋や便所、Hさんはダイニングや玄関の掃除をしたあと、北千住に繰り出しました。人混みに揉まれながら目抜き通りを歩いていくと、不覚にも目的の喫茶店が閉まっていたため、思いつきで駅前のカラオケボックスに入ります。どうゆう風の…

歳末のコペンハーゲンクッキー、ジーヂュン、ジートゥイ

急に風が強い。壮年は頭頂部の透けた髪をめちゃくちゃになぶられ、それをままよとしている。 昨晩は今年最後の忘年会に参加し帰宅すると、テーブルの上にHさんが京橋まで行って買ってきたというコペンハーゲンのクッキー罐がふたつ載っている。それを今朝起…

飴色をかじる。

晩飯のあと、Hさんの買い物に付き合い、ついでに好物のころ柿を買う。ドラッグストアでは同業者のKに会う。これで二度目だ。来年の初め、彼からある立場を引き継がねばならない。そうゆう成り行きになった。 東京オリンピックの開催がだいぶ先の気がしてい…

ティンブドン事件

月が替わって今年もあと1ヶ月。インプラントの土台は周辺組織と結合しつつあるが、仮歯は来年になってしまうだろう。費用も期間も手順も事前に知ることができても、いざやってみるとまた違った感慨を抱く。ここに至るまで一進一退の攻防もあったが、やる前は…

蜜をなめる43才

1980年代の日本映画を観て、根津甚八っていい役者だなってあらためて思いました。2000年代に入ってからはさまざまな病を患ったり、交通事故を起こしたりと不運がつづき、最後は俳優業をやめるに至ったようですが、鬼籍に入った現在も、彼の功績はフィルムに…

烧烤━タフガイのいる風景

烧烤(BBQ)をやるからとHさんの上司W老师に誘われて、ひょいひょい西川口に出かけていった。どこでやるのかと思ったら案の定アナーキーなことで、会所の入口、雑居ビルのエレベーター降りてすぐの踊り場であった。煙や熱に反応するような機器は見当たらな…

視力補正器具

雨がびしゃびしゃと降りつづく。Hさんが前からの約束だし、すでに金銭を払い込んだので仕方がないと午前6時に起床し、支度を整え、錦糸町に向かった。伊豆修善寺に行く日帰りバス旅行の出発地らしい。パジャマ姿で玄関に佇むわたしの薄毛に冷たい雨粒が降り…

日本麻辣化計画

12日。Hさんの病院に駒込まで付き添い、昼前に終わったので隣り駅の巣鴨で上海料理を食う。彼女の好物という烤麸(カオフ)を注文するが、私はあまりうまいと思わない。例によって上海口味で、砂糖の甘みがつよい。見た目ほど濃い味ではなく、しっとり弾力…

さみしい海辺

10日、小春日和。さみしさの漂う11月の海水浴場。ぼくは波打ち際まで行ったが、振り向くとHさんはついてきていない。30mくらい後方で打ち捨てられたゴミの上に立ち止まり、顰めっ面をしている。そこまで戻り、けっこう波は荒いよと言うと、没有什么好玩と低…

醉蟹

4日、小春日和。最近、Hさんが気に入ってよく行っている巣鴨の上海料理の店。ぼくは初めてなのですが、蟹好きの彼女が醉蟹(ズイシエ・酔っぱらい蟹)を食べさせたいというのでひょいひょいついていきました。T恤いちまいでよいくらいの陽気で、街路を歩い…

榨菜の罐詰

29日午前9時。ベッドに横臥しながら昨夜の日本勝利に対するラグビー強豪国の反応をスマホで読んでいると、Hさんが新大久保にしか売っていない榨菜を買いに行くからついてきてくれろと言う。新大久保にしか売っていない榨菜とは何だと反問すると、上海姐がそ…

老いの微笑

19日夜、隣接区同業者団体との会食でローストチキンが出る。どこかなまめかしいかたち。向かいの主催者側の若者が慣れた手つきで肉を裂いていく。こちらは切り分けられた塊をかじるだけで楽なものだ。ジューシーで実に美味。ただ、右側でばかり噛むのはやや…

ストレス

月餅を食らう。今週は職務上のあれこれで心身ともに疲弊して、帰宅後、暴食にてストレスを発散するありさまだ。この400kcal以上ある月餅も食後に2個ぺろりと平らげてしまい、Hさんに窘められる。こちとらアルコールも入っているので、皿に残っている卵黄の…

ジャンクな味道

Hさんが朋友からもらったお土産を全部ぼくにくれた。辣いものは食べないからと言って。浙江や福建出身者には辣いものを苦手なひとが多いが、彼女は特にそうだ。中国料理店でも「这个菜辣不辣?」と頻繁に訊き、出てきた菜(ツァイ)が予想よりも辣いとその…

都電のち羊肉串

20日、曇天。荒川都電(東京さくらトラム)に乗って大塚まで行く。都電の停留場の間隔は短い。こまごました民家のあいだを走っては停まりの繰り返しだ。そして、ひっきりなしに乗降客がある。乗ってくる客をみていると半分くらいは75を超えているだろう男女…

ボミワ

羊肉串5本盛りとクラゲの黒酢和え。 30日、雨。Hさんが雨だからやめましたと本来の予定をキャンセルする。相手方も雨だからやめましょうと言ったらしい。このように雨を理由に予定をキャンセルする行為を仮にボミワと呼んだところで差し支えないだろう。そ…

あらわれた小狗

25日、午後7時30分。日暮里まで戻ってきて談話室ニュートーキョーで弁当を食いながら、空港での出来事をまたひとしきり話すHさん。 時間は午後4時まで遡って、スカイライナーで成田へ向かう。老眼が進み、眼鏡をはずしてスマホを弄る壮年43歳。照り上がった…

山東省生まれ、茨城育ち

14日。鶴岡抄太郎はアリオ亀有にあらわれた。東京の桜は散りつつあるが、暖かいともいえない少し風の強い日だ。彼は緑色のゲームジャケットにリュックを背負い、広場をぐるり見渡すと、キッチンカーの店でよだれ鶏と米、青島ビールの缶を購入した。四川祭と…

濡れたガラス窓

夕刻、上野でHさんと落ち合い晩飯。桜は満開らしいが花冷えだ。マルイの外壁に設置されている温度計は11度を示している。街ゆく人びともコートやマフラー姿が結構いる。ペデストリアンデッキを歩いて、2階が湖南料理、3階が椰子鶏の雑居ビル入口にたどり着く…

或る昼

或る昼。魚香肉絲。ライス少な目。750円。或る昼。鶏肉の辛み炒め。ライス少な目。750円。或る昼。上海風焼きそば。600円。或る昼。干鍋鶏。1080円。ライス少な目。或る昼。ビーフン炒め。700円。或る昼。エビチャーハン。600円。或る昼。ベビーホタテと玉子…

花冷えにきのこ鍋

土曜日の仕事を午後2時で切り上げ、上野でHさんと落ち合い、大連発祥らしい何鮮菇(ホーシェング)へ。きのこ鍋の店である。花冷えだから温まるものが良いと考えて。Hさんは灰色のロングカーディガンを羽織っているが寒いを連発する。たしかに黒のロングダウ…

マゾヒスト

午後12時45分。TOHOシネマズ錦糸町 楽天地で『運び屋』(2018・監督/主演 クリント・イーストウッド)。比較的小さなハコだったが座席はほぼ満員で、老若男女上は70代の夫婦から下は制服姿の高校生まで来ていた。昭和が匂う前の楽天地でこんな入りはみたこと…

チャイナタウン(1日目) 

この世にまろび出て43年が経過した日の記念にHさんと横浜へ泊りがけで行ってきました。とはいえ動いた範囲はそれほど広くなく、ホテルと公園と中華街を行ったり来たりしていただけです。 元町に至ると人だかりができていたので何かと思ったらセントパトリッ…