川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

食べ物

魚香という謎

昼、行きつけの中国料理店で鱼香肉丝。酸味が少しあって青椒肉丝よりも好み。魚とつくが魚の入っていない四川省起源の料理。鱼香茄子も有名。これらも最初は雪駄を履いたエスイーことJに教わったのかも知れない。なにしろ彼は当時、中国八大菜系を念頭に「悠…

河の北

久方ぶりの福建喫茶。ホットコーヒーと素朴な野菜トースト。花粉症を発症したらしくママはマスクを着けている。Hさんも最近目が少し痒いとのことで、個人差はあれどある年数日本で過ごすと発症するものらしい。いつだったか聞いたところではママは福建出身だ…

雨音

尖椒干豆腐(シシトウと干豆腐炒め)。ご飯は少なめ。私は窓際に寝ているのだが、夜来の激しい雨音であまり眠れなかった。そして夢をみた。少し若返ったような私が、年上の男に幌のついた軽トラの運転席に乗るよう指示されている。男が助手席に乗り込んだの…

その女、ベイファンレン

8日、晴れ。国際女性デー(三八妇女节)。といって日本ではあまり馴染みがない。そうだとしたら、ミモザの日として人口に膾炙させてもいいですよ。ホワイトデーよりはちゃんとした起源があるのだし。 錦糸町にて漬け白菜と豚肉の炒め。中文併記じゃなかった…

干鍋鶏と親不知

6日、曇天。昼に干鍋鶏(ガングオジー)。これはうまい。メニューの日本語ではセロリと玉ねぎと鶏の煮込みとかの表記だったと思うが、干鍋というからには汁が無いのが本当だろうか。まあでも、辣くてうまいのだからこれでいいのだ。画像ではみえないが鍋の下…

シーチュアンコウの宵

2日夕、西川口の福建料理の店で友人ににんと待ち合わせ。この店はHさんが仕事仲間とよく来るらしいが、私は初めて。食べログの画像でなんとなく知っていたが、入ってみるとテーブル3席のこじんまりとした店だ。 今回の主目的である海蛎饼(ハイリービン)を…

陋巷

最近、ひょんなことから立派なキャビネットを譲り受け、事務所の2階に置くこととなった。整理した書類を内部に収納し終え、遠目に眺めていると、キャビネットの上が少し寂しい。何か飾ろうとごそごそやっていると、父親が昔に中国のどこかで買ってきたらしい…

鶴岡の酒

遅い昼食。ランチメニューではない黒酢酢豚を注文。880円。黒ずんだ塊が出てくる。心が浮き立ち、やっぱりおれはこれが好きなんだなあと思う。手前は豚肉だが、奥は長芋で、マッシブな食感としゃきしゃきした食感を両方楽しめる。ご飯の量は少なめにした。70…

紹興酒を飲む夜

昨日から目が痒い。今年も到来したか。 昼飯、ムース―ロウ定食。僕の座った左横の貼り紙をみると、この店は紹興酒を推しているようだ。店名にもつけるだけのことはある。服務員の女性に儿話音はないと思しい。 今どうなのだろう、紹興酒の地元紹興市の伝統で…

凍る松花江

僕もあのビンチーリンが懐かしいのですが、昨今、南方との縁分が深くなったため、ハイリービンにする次第です。と、つい朋友に送ってしまったのだが、これは本当です。ああ、ハルピンに赴きたい。趣きがあるから。そんな気持ちがムクムクと湧いて、困るです…

消された電灯

福建喫茶は今月26日まで休業している。春節時期に一時帰国したのか、今月の2週目に紙ぺらがシャッターに貼られていた。微信で送った新年の挨拶に返事はない。 それで新規開拓、バス停の真ん前のマンション1階に構えて、奥まった入口が待ち人の雨宿りの場とし…

地瓜丸、または番薯丸

2日、夕刻。地下鉄上野駅から京成上野駅へと繫がる長い通路。どことなく黒ずんだ空間は昭和の通路の趣きを残している。といって京成上野駅は現在、平成最後のリニューアル工事をやっているのだが。歩くひとびとも寡黙に靴音を響かせるのみだ。 喫茶室白樺の…

中国結び飾り

気がついたら2月か。福建喫茶にこれだけ通っていると、だんだんママの事情にも通じてくる。微信で繋がってモーメンツもみられるからなおさらだ。それはそれとして、彼女は午前11時半より前には店にいないことが多い。代わりにというか、50絡みの中国人の男が…

クリーピー

いくら髪をセットしたところで今日の風ではなぶられるよ、斜向かいの工事現場の養生シートが音を立ててびらびらめくれるのをみながら、Hさんにそう云おうと思った。 午後12時半、新橋の沸騰漁府にて酱牛肉、干煸四季豆、酸菜鱼の3品プラス米饭。帰り際、レジ…

妖しい光線の美女

18日。横浜に排练(パイリェン・リハーサル)に行って、昼飯も食べそびれたというHさんに晩飯をつくらせるのも酷だから、上野で落ち合って中国料理店へ。ここの老板娘とHさんが知り合い。そういえば、いつだかニラレバとレバニラの話をテレヴィでやっていて…

金海湾

13日。久々に気の置けない友人たちと午後2時から呑み食べ、そして語らい、すでに夜の8時半を廻った頃、痛飲の域にも達していたが、Hさんの状態がいよいよ気になり始め、浮き足立った。 というのも、朝から体調がすぐれない、とHさんがぼそり呟き、それでもパ…

餃子活動

30日、晴天。冬らしい凛冽な空気に頬を冷やされながら、西川口へ。Hさんの仕事仲間の餃子パーティ(饺子活动)があるというので便乗。普段全然乗らないが、京浜東北線の快速って日暮里停まらないのだった。それを失念したおれが日暮里のプラットフォームでH…

歳末

新居の3階にベッドを据えましたが、クロゼットは全部Hさんが使っており、基本的に彼女の部屋です。それはこの家を最初にふたりでみたとき、2階の和室は好まない、特に畳の匂いが気になるとHさんが云い、それならあなたが3階、2階は私の書斎にするけれど、と…

酸菜魚のスープを米にかけて啜る

高校時代世話になった隅田公園の地下駐輪場から冬の景色を撮る。いわゆる銀ぶらをしたが、私の心はあまり浮き立たない。ひらひらと店から店へ飛び廻る女性の買い物に付き合うのは、ぱっと店に入ってびゃっと目的の品を買う男にとっては苦行のひとつだが、日…

パポ

ヤマシロヤの狭い階段を5階まで上り、Papo(パポ)社のクロヒョウ、カバ、ロバを買う。今日もアジア系の客が多い。フィギュアは誰にあげるでもない、新居に飾るのだ。姿勢を低くして今にも飛びかかりそうに獲物をねめつけているクロヒョウがいい感じ。 その…

ゴマのナン

15日。今日も今日とて引っ越しの細々したモノを新居に運ぶ。部屋の中は乱七八糟(ルアンチーバーザオ)だ。文字通り足の踏み場もない。時を同じくして三重の桑名から名古屋へ引っ越す準備をしているE氏もツイッターで呟いている。 「おれは部屋の片付けをし…

変哲もない一日

2018年12月2日(日)、曇り。午前中は蟄居。窓際に置いた紅いシクラメンがぐにゃりと萎れている。パジャマ姿のHさんが前にしゃがみ、枯れた花や黄ばんだ葉を捻り取る。私は電気ヒーターの傍らに寝転び、読書。 午後、それぞれ外出。Hさんは上野、私は秋葉原…

到来

市田柿の季節到来。3枚目「JAみなみ信州サイト」より抜粋。 Hさんの在留カード更新申請の結果はまだ下りてこない。事情に明るい行政書士に訊くと、今時は1箇月ちょっとかかるんじゃないかしらと言う。私の住宅ローン審査は担保評価が低いものの、まあ大丈夫…

蜜柑狩り

埼玉県大里郡寄居町風布(ふうぷ)で旬の蜜柑狩り。ここは「北限の蜜柑産地」だという。もうちょっとで群馬なので、カテゴリーも北関東にした。中国では光棍節のこの日、日本の関東地方は11月とは思えないぽかぽか陽気だった。蜜柑の果樹が植えられた斜面を…

彼女たち

Hさんが微信を通じて知り合った近所の中国人がたまたま老乡(ラオシャン 同郷)だった。地方都市の诸暨だから互いに珍しがってすぐに会ったらしい。そのEさん(日本名)はすでに来日30年、日本人の夫、日本で生まれ育った中国語のあまり話せない男と女の子供…

長閑な埼玉

埼玉県久喜市(人口15万1千余)、圏央道菖蒲パーキングエリア。「上下線集約型である。また、地上に建設された為、外部(市道)からも売店のみ利用が可能となっている…」(Wikipedia)。人気がなさそうにみえるが、反対側からも来るし、屋内にたくさんいる。…

貴方がムースーロウ派で良かった。

紅白のドラゴンフルーツ。実家にある狗の置物。ドラゴンフルーツいらっしゃいませ~。ドラゴンフルーツは甜みの控えめな果実だが、紅は白よりもやや甜みが強い。でもいずれにしろ他の果実に比べ甜みが控えめで、これを食べたあとにキウイフルーツや柿を食う…

松花麦饼

松花麦饼(ソンホアマイビン)。これはHさんの両親の家、诸暨の郊外に行った時、彼らの手作りで振る舞われた。出来立てのあつあつが山ほど皿に乗っていた。蕭山出身のディンディンの女朋友が初めて食べたと言っていたが、無論、僕も初めてだった。Hさんが向…

ゴルゴンゾーラのパンを囓るだけ

山椒魚のようなゴルゴンゾーラのパンを昼飯に食べる。これは昨日、両親が小狗を連れて茨城方面をドライブし、ついでに寄ったペニーレインという店で買ったものを今朝くれたのだ。レシートも入れっぱなし。9月になり、もう1年の3分の2が過ぎた。それで何を言…

川と祈りの花火

午前8時52分。自動販売機で600ml入った麦茶を買う。そして、緑の庇の下でごくごく飲む。向かいのほとんど終わりかけているマンション工事現場を眺める。60年配の初老の男たちが、暑さでヘルメットの下の顔を紅潮させながら交通整理をしている。このマンショ…