川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

濡れたガラス窓

f:id:guangtailang:20190330234244j:imagef:id:guangtailang:20190330234253j:imagef:id:guangtailang:20190330234301j:imagef:id:guangtailang:20190330234309j:image夕刻、上野でHさんと落ち合い晩飯。桜は満開らしいが花冷えだ。マルイの外壁に設置されている温度計は11度を示している。街ゆく人びともコートやマフラー姿が結構いる。ペデストリアンデッキを歩いて、2階が湖南料理、3階が椰子鶏の雑居ビル入口にたどり着く。正直おれは湖南料理が食べたかったのだが、上海料理を基準としているHさんは湖南は辣いと首を横に振る。じゃあ、3階ならいいのかいと云うと、見上げて濡れたガラス窓の上の緑色の文字を確認し、行きましょうとエレヴェーターに向かった。

椰子汁すなわちココナッツの果汁をスウプにした鶏鍋である。だからほんのり甘みを感じる。ヘルシーな気がするので女性に人気が出そうだ。海南か深圳の方から来て日本初上陸と書いてある。店内を見渡すと客は中国語話者ばかりで、窓際の席に一卵性とおぼしい顔立ちの若い女性が並んで座っている。とてもかわゆらしい。鍋をやるからガラス窓が濡れそぼって明かりが滲む。Hさんは鶏が煮立ったあとのスウプが美味しいと云ってぴちゃぴちゃ呑んでいた。おれは砂肝の酢和えや細切り豆腐を追加しむしゃむしゃした。最初、要領は火鍋とおんなじだと服務員が云ったから、羊肉のしゃぶしゃぶはないのか問うと、それはないが羊肉串ならあるとのこと。羊肉串はこの街に遍在しているな。