川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

ストレス

f:id:guangtailang:20190913001927j:image月餅を食らう。今週は職務上のあれこれで心身ともに疲弊して、帰宅後、暴食にてストレスを発散するありさまだ。この400kcal以上ある月餅も食後に2個ぺろりと平らげてしまい、Hさんに窘められる。こちとらアルコールも入っているので、皿に残っている卵黄の欠片を指で口に運びながら、往年の森高千里のソングを高唱するのだ。ストレスが地球をだめにする。ストレスが女をだめにする。ストレスが男をだめにする。Hさんが知るわけもない。彼女はキッチンへと去ってゆく。

もう数年前から、おれのストレス発散法は暴食より他にもあって、いちにんで古いクルマに乗り込み、ミュージックサーバーに蓄積された好みのソングを流しながら、北関東か千葉か、或いは信越方面の何処かに向かって走らせる。車内ではどんな気兼ねも要らない。ソングを口遊む時もあれば、意味のない奇声を連続して発する時もある。SAでソフトクリームを舐めることもある。ストレスの程度が甚だしい場合、たいてい人気のない海辺、或いは山の中に至る。広大で寂寞たる自然の空間に身を置くと、身過ぎ世過ぎの煩わしさが遠く淡い出来事のように感じられ、己を取り巻く切迫した事柄など何もないように思う。あったとしてそんな俗事自体どうでもいいように思える。日が傾き始めている。別に死にたいとかは思わないが、躰が妙に軽くなっていくような感覚がある。このような行為を単簡な表現でリフレッシュと呼んだり、現実逃避と呼んでもそれは構わない。自分は取り立ててミザントロープなわけでもなく、ただ倦んだに過ぎないから、その日の夜には1,400万都市に戻り、ぐっすり眠り(運転の効用だ)、翌朝からまた職務の現場に赴く。

f:id:guangtailang:20190913001935j:imageドラッグストアに向かう橋の上から。