川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

雨音

f:id:guangtailang:20190311135417j:image尖椒干豆腐(シシトウと干豆腐炒め)。ご飯は少なめ。私は窓際に寝ているのだが、夜来の激しい雨音であまり眠れなかった。そして夢をみた。少し若返ったような私が、年上の男に幌のついた軽トラの運転席に乗るよう指示されている。男が助手席に乗り込んだので、仕方なく私が運転席に乗りエンジンをかける。ハンドルを握り始動すると、しばらくして交叉点に差し掛かる。赤信号なのでブレーキを踏むが、なぜか利きが非常に悪い。まったく利かないわけではないが、強くペダルを踏んでも徐々にしか減速しない。交叉点は迫っており、このスピードでは到底止まらないと焦ってペダルを踏みまくる。幸い他のクルマが1台も走っていないので、タイヤを軋らせながら信号無視で左折する。このクルマ、全然ブレーキ利かないですよ。こんなんじゃ走れない。もう停めますよ!と怒気を含んだ口調で私が助手席の男に云うのだが、男は妙に冷静で、このまま行けばいいよ、いけるよと云う。その後、ブレーキを踏みつつのろのろ運転で男と口論するのだが、いけるよ、いけよくらいしか云わない。男はそっぽを向いてこちらの怒りを受け流しているようだ。黒い髪が肩につきそうなほど長い。そのうち、この軽トラがどれだけブレーキペダルを踏んでも完全に停止しないことに気づく。今やスピードは自転車と大差ないのだが、それでも止まりはしない。後方からクラクションを鳴らされることもない。それで妙に気持ちが落ち着き、ああ、おれはこのままのろのろ運転でこの同僚のような男とどこか遠くまで行くのかも知れない、だとしたらどっちを向いて行こうかなどと考え始める。いや、スピードは上げられるのだから高速にのぼってもいいのだし、案外早く北海道だろうが九州だろうが行けてしまう。でも、ガソリンを補給する時はどうすりゃいいんだ。いけるよ、いけよと窓を開け放してそこに腕を乗せ外を眺めながら、相変わらず男は飄々と云っている。窓の外は東京郊外のような緑の点在する景色である。