川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

2017-01-01から1年間の記事一覧

上海(朝)

11月13日朝、ホテルから運河沿いに歩いていくと10分くらいで1933老場坊に着く。 この辺り、租界時代には日本人居住者の盛り場として賑わっていたらしいが、再開発により往年の面影は無い。ただ、1933老場坊は当時工部局が建設した屠殺場で、強化コンクリート…

上海(夜)

上海の貌、外灘。 蘇州河の最下流に外白渡橋は架かる。そして、蘇州河はここから黄浦江に合流する。背後に聳えるブロードウェイマンション。オールド上海を代表する橋と建物。『名誉と恍惚』を読んだからには、是非ここには来たかった。まずは夜。 浦東の夜…

上海(日中)

11月12日、上海。軌道交通4、10号線海倫路站そばの漢庭酒店に泊まる。日本のビジネスホテルみたいなもので、チェーン展開しているからいろんな場所で目にする。 この場所、虹口(ホンコウ・ホンキュウ)は上海が「魔都」と呼ばれ始めた頃(1920~1930年代)…

鉄砲階段

屋根の上に据え付けられたベランダから。この外階段が本当に恐怖なのは雨の日だ。濡れた踏み板が滑る手摺りが滑る自身の靴底が滑る。居住者は何度も途中から落ちたと語る。この写真の位置から落下すれば大怪我か或いは打ち所が悪ければ絶命するかも知れない…

浦佐

2009年5月31日、新潟県南魚沼市浦佐駅。新潟に新幹線を引っ張ってきた田中角栄の銅像がある。 なぜ浦佐に新幹線が停まるのか、諸説あるようだが、それなりの利便性があるからして現在も停まるのだろう。越後湯沢、長岡ではちょっと間隔も開き過ぎるか。夏期…

埠頭

2011年1月4日、神戸市垂水区舞子。淡路の島影がぼんやり見える。

変哲もない話。

いよいよ晩秋といった趣きで、日中ぽかぽか陽気の日でも、朝晩は冷え込む。街路を行き交う人々の中にも外套を纏う人がちらほら出てきた。 私は寒さにはわりかし強い方で、まだ外套の類は着ていない。あとしばらくはこのままブレザーでいけそうだ。友人にもひ…

11月の空

2012年11月19日、ハルピン。聖ソフィア大聖堂(索非亚大教堂)と糖葫芦(タンフールー)売り。 大聖堂は現在教会としては使われておらず、美術館か何かになっているらしいが、7回もハルピンに渡航して何度か前を通ったにもかかわらず、結局中に入らなかった…

国師ヶ岳

2006年10月9日、国師ヶ岳(国師岳)。山梨県と長野県の境に位置する。10年以上の時間が経過したが、この時が父親と私のふたりで登った登山の最後なのだな。母親は何か用事があったかして、別行動だった。たまたま父親が数日前にトレッキングシューズを新調し…

ある日曜日

午後。1930年代のガーデンブリッジと背後に聳えるブロードウェイマンション。『上海時間旅行』をぺらぺらと眺める。夜。新宿と新大久保のあいだの地帯を歩いてモンゴル料理店へ。今日は友人夫妻と。ホーシュル、チーズ焼き、羊肉串、サラダ、ビテゥ-シュル…

昭和大箱喫茶

改札の中にあるドトールコーヒーのテラス席。北千住駅東口(電大口)を臨む。初めて利用したが、その存在はだいぶ前から知っていた。なぜ利用しなかったかといえば、北千住に降り立てば常に、東口目の前の昭和大箱喫茶サンローゼに行っていたから。あの伝説…

ボールペンの貌

ハルピン土産のボールペン(圆珠笔)。もう5、6年も前になるが、池袋の中国語教室に通っていた頃、担当のQ老師から貰った。彼女は黒竜江省のジャムス出身で、素晴らしく標準的な普通話を話す人だった。 これは満族の衣装だろうか。無表情の彼なのだが、丸っ…

レッドロブスターの思い出

2015年11月22日、松戸市。今にも雨が落ちてきそうなどんより曇った日曜日、中検3級の試験を受けるため流通経済大学新松戸キャンパスに来たのだった。当時わりかし真面目に勉強していたこともあって、試験自体は非常に易しく感じられた。終了時間まで30分を残…

木枯らし1号

2010年4月30日、両国江戸東京博物館。帝都の摩天楼、浅草十二階(凌雲閣)。1890年11月開業。高さ66.7m(又は52ⅿ)。煉瓦造りで、8階まで日本初の電動式エレヴェーター(エレベートル)が設置される。関東大震災により上層部分が崩壊したため、のちに爆破解…

老婆餅

Hさんの香港土産、奇華餅家の老婆餅をいただく。パイ生地の中がしっとりしており(求肥?)、餡には白胡麻を練り込んだ冬瓜餡というのを使っている。甘さ控えめで香ばしい。いろんなメーカーから出ているらしく、香港スイーツ好きの女性によれば、奇華餅屋の…

神池

2008年10月13日、静岡県沼津市大瀬明神の神池。10年も前のことなので行った記憶も曖昧なのだが、写真に残っているのだから間違いない。 「伊豆七不思議の一つ」と言われ、海のすぐそばにあるにもかかわらず淡水の池である。神の池であるからして、みだりに人…

サンクチュアリかビオトープ

隅田川のサンクチュアリ、と案内板にある。「聖域」の意味から転じて、日本では自然保護区にも使うらしい。というか、こういうのはビオトープというんじゃないのかしら。知らんけど。いずれにしろ、寒くもなく暑くもない今日はいい天気だ。私は水辺に降りる…

定番

2012年7月16日、蘇州観光の定番スポット。雲岩寺塔(虎丘)、高さ47.7m、北宋の時代(961年)に完成。地盤沈下により徐々に傾いている。運河遊覧。船を降りる間際に、左側の脛も露わに座っているおやじから絵葉書セットを買わされた。祖母に出すのに1枚だけ…

備中松山

2012年1月8日、備中松山城。「標高430メートルの臥牛山山頂にあり、現存天守を持つ山城としては最も高い所にある」(Wikipediaより)。ここから望む山並みは幕末の頃と変っていないだろう。私は城について詳しくないし、関心も薄いのだが、河井継之助が備中…

ガスタンク

台風一過の素晴らしい青空。ただ、まだ強風がふいている。明朝、Hさんが成田から香港・澳門に飛ぶが、本土の中国人が出入境するにはなかなか面倒な手続きが必要らしい。日本から行くので勿論パスポート、と言ってぽんとテレビ台にそれを置き、向こうに着い…

蟄居

昼。いよいよ雨の降り激しく、徒歩2分の投票所まで往復するだけで靴の内部が浸みる。もう今日は一歩も外に出ない。ソフトバンク対楽天でも観ようと思う。天気予報によると、Hさんの澳門行は絶妙に台風が去ったあとだな。『名誉と恍惚』は577頁まできた。

风一下

しっかしよく降るなあ。今日もコインランドリーの世話になる。「フォンイーシャ」とHさんは言って、さっさと仕事に行ってしまう。フォンは「风」だろうか。でも動詞にもなるのかなと思って調べると、「風で乾かす」という動詞の使い方があった。 例の民家1階…

雨読

昼。辞書みたいに厚いから重くて嵩張るのに、読み始めたら止まらなくなって事務所にまで持ち込んだ『名誉と恍惚』(松浦寿輝著・新潮社)。221頁を読み進めているが、765まで頁が振ってある。まあ時間はかかるにしても苦労とか忍耐とは無縁に読了できるだろ…

ウォーターフロント

首都高6号向島線の高架下から。ここは墨田区だが、向いの造船所があるのは足立区である。背後にウォーターフロントのマンション群が建つ。左側に架かる橋をマンションの反対側に渡れば荒川区に到り、私がウオーキングする汐入公園のウレタン敷きのジョギング…

前橋 詩人の声

この文章は6年くらい前に書いて、なぜだか業界の支部報に載せてもらった。今読むと書き直したい箇所が目立ち、またもリライトを試みた。現在、萩原朔太郎の「乃木坂倶楽部」朗読は国会図書館のデジタルコレクションで聴けるので、いちばん下にリンクを貼った…

博物館にて

2015年8月8日、上野国立科学博物館地球館3階大型哺乳類剥製標本群。あの夏、私は中国語教室で知り合った友人Jと上野の森を駆け抜けた。 余暇は常に雪駄を履き慣らしているJと館内を巡りながら写真を撮り合い、剽軽な彼はそのたびに珍妙なポーズをとった。…

深谷

2009年11月21日、人口14万余の深谷、駅の威容。東京駅の赤煉瓦駅舎を建造する際、深谷の煉瓦を使ったので、それに因んで東京駅(丸の内口)を模したデザイン。コンクリート壁の上に煉瓦を貼りつけてある。 郷土の偉人、渋沢栄一の「中の家(なかんち)」。血…

熱海

2012年6月23日、熱海。業界青年会の旅行で行ったのだった。夜遊びした帰り、タクシーもつかまらず、真っ暗な海沿いの車道をKとジョギングしながらホテルまでたどり着いた。後ろから来るクルマのヘッドライトの眩さに慄きながら。

上海蟹

雨つづきなので久方ぶりにコインランドリーの世話になった。このランドリーは実に古めかしい。ふつうの木造民家の1階である。オーナーであろう人の車椅子が奥に置いてある。ランドリーを通り抜けて引き戸を開け2階の自宅に上がる仕様である。私はまだオーナ…

追熟

先日掛川で捥いできたキウイをリンゴ、バナナ、紙と一緒にビニル袋に入れて完熟するのを待っている。が、まだまだ固い。あと10日はかかるだろう。このように未熟なうちに収穫し、その後しばらくおいて完熟させることを「追熟」というらしい。なかなか趣きの…