川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

まあ曇天。

春になって天気は安定しない。陽の射している時間は暖かく、雨の日は肌寒い。僕の気分もふさぐまでいかないにしろ、晴れちゃいない。まあ曇天。天気の子。そんな時の解消法として、僕の好きな時代の映画を観ようかしらとなるわけ。外国映画でもなんでもよかったから、リチャード・フライシャーの『マンディンゴ』(1975)と『ホワイト・ラブ -White Love-』(1979/小谷承靖監督)を手に取ってしばし迷ったが、後者に決めた。

山口百恵三浦友和のゴールデンカップル10作目を記念した映画。後半スペインロケにも繰り出し、なかなか豪華。でも、僕は前半の日本が好き。ふたりが親密になっていく過程にユーモアがある。三浦の強引さを超えたアナーキーさに笑いが漏れる。山口は相変わらずキリっとしてしなやか。どしゃ降りの夜、幌もせずオープンカー(レンタルしている)で疾駆し、舌を出して雨を受ける山口の横顔。少々のことでは動じない。これらキャラクターは同年の暮れに封切られた『天使を誘惑』(1979)でも踏襲されている。

互いを待たせ、待たされ。携帯がはるかなかった時代にいささかデリカシーを欠いてでも、優しい横暴で接近していく。まあだけど、三浦はかっこいいからこれが通用しているのはあるわ。僕が女だったとしても、惚れるものこんなひと。翳が少しあって。スペイン語がまた板に付いている。ブランコという名の酒場が洒落ている。

ブランコのバーテンは田中邦衛、山口の職場の上司が上の赤座美代子、CMディレクターが岸田森、ポン引きが岩城滉一。こういうのを脇を固めるという。女は牛乳瓶1本分しかおしっこ溜められないから、と赤座女史。

観終わって、気分が上がりましたよ。賦活された。どうもありがとう。外はまだ雨だけど。

f:id:guangtailang:20220421111559j:image日曜日。晴れときどき曇り。いちご狩りに行く。しかし、僕はいちごのいの字、草莓(ツァオメイ)のツァの字も出さず、今日は海のそばに行くと言っただけ。「我们过去太平洋那边,好吗?」「好的(ハオディ)。渋滞のない東関東道を疾駆する。彼女は鹿島灘海浜公園だと思ったろう。カシマサッカースタジアムの脇を抜けて北上、太平洋に程近い深作農園の敷地にクルマを入れる。Hさんが〈いちご狩り〉の字を目ざとく見つけ、声を上げる。そして、なぜ言わなかったのだと僕の首の後ろをつねり始めた。おいおいまだ運転中だぞ。

存在は以前から知っていたが、ここに来たのは初めて。思っていた以上に規模の大きい農園だ。それだけに客も多く、いちご狩りもシステマティック。鞄など荷物はロッカーに。トイレは先に行って下さい。ハウスまではマイクロバスで向かいます。農道を走り、数分で到着するとおばちゃんの説明を聞き、いくつも並ぶビニルハウスのひとつに入る。ひな苺とラブソングという品種を味わった。ここのいいのは時間が無制限なことで、それをHさんは喜んだが、僕35個、彼女28個食べて満足した。ハウス内の通路は皆が通るから、側面に垂れているいちごはズボンやスカートで擦れている。蹴られたのだってあるだろう。それに陽が当たって実がぬるい。だからまず、比較的往来の少ないハウス両端の通路にポジションを取り、茎を搔き分けて奥にある赤く育ったかたちのよい実を捥ぐ。ひんやりしてうまい。賞味40分ほどだったか、ハウスを出て水道で手を洗い、徒歩で出発地まで帰る。次はブルーベリー狩りだと彼女が言っている。