川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

県境

f:id:guangtailang:20220904192634j:image帰り道、「ここの船、どっち方面行ってるんだっけ?」とMが言うから、「お台場、浜離宮豊洲…」と答えると、「渋谷の方は行ってないのかあ。行ってたら毎回船でここ来るんだけどな」と冗談のように呟く。「渋谷からは銀座線で来てくれよ。始発─終点なんだから、絶対座れるし。景色ないけど」「そうだね。じゃあ、船で来れるようにしといて」と首だけこっちに捻りながらダイナーの名前にもなっている川沿いの道をスタスタ去っていく。「わかった。おれにそんな力があればだ」と僕は地下駐輪場への階段を下りながら日の出桟橋からMと2回やった水上バスの小さな旅は、それまで縁のなかったろう隅田川や浅草の街を彼女の脳裡に印象深く刻んでいるのだなとニマニマした。アサクサナポリタンとキューバンサンドイッチ。

f:id:guangtailang:20220904192644j:image台風が東シナ海で停滞しているかと思いきや奇妙な動きをみせて沖縄や九州北部あたりに影響が出そうだ。日曜日、関東平野は雲が多いが晴れ。2週連続で梨狩りという人生初の試みをHさんの指示にて実行する。三ノ輪に住むリリさんも同行。今回は春日部の内牧という地区にある梨園で、到着すると農道の左側にすでに7、8台のクルマが縦列駐車されており、かなりの人気のようだ。とはいえ、観光農園じゃらんなどで上位に表示される場所をついつい予約してしまいがちだから、これらの人もそうじゃないか。ここに来るまでにもいくつか梨園を見かけたが、観光農園として熱心じゃないが、行けば行ったで意外に良いかもしれない。

梨狩り後、道の駅ごか(五霞町・人口7,900)でそばを食い、トウガラシの鉢植えを買う。そば1,200円、トウガラシ100円。

f:id:guangtailang:20220904192640j:image北上して渡良瀬遊水地へ。谷中湖沿いを走っていると、埼玉、茨城、栃木、群馬のそれぞれの県に入りましたとナビが頻繁にアナウンスする。往復すると入っては出、入っては出だ。叢に駐車して暑い中少しだけ散歩したが、Hさんとリリさんの後方を歩いていた警備員姿のじいさんが彼女らの会話から外国人と察したらしく、「ここにはクジラがいまーす」と声を上げ、ふたりが相手にしないでいると、「嘘でーす」と言った。今月もっとも笑えない冗談で、なぜだかこっちがしょんぼりしてしまった。

f:id:guangtailang:20220904192649j:image中国語で鯨と金魚を区別して発話ないし聞き取りするのはむつかしいよ。ドイツ人が日本語で病院と美容院を区別して発話ないし聞き取りするのがむつかしいように。

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