川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

光るラオタイポー

f:id:guangtailang:20210331223927j:image今朝方、華さんのみた夢。帰りが遅くなったある晩、彼女は道に迷ってしまった。駅から自転車で走ってきたが、途中、勝手知ったる家までの道が見慣れないものに変貌している。ぐるぐる回っても一向に馴染みの道に出ない。額に汗が浮き、焦りだす。すると突如前方の空で星のように光っていたふたつの物体がかなりの速度で降下してきて、あっという間に彼女の目前まで来た。それらはふたりの光る人間だった。ひとりは中国人のおばさん(老太婆 ラオタイポー)で、もうひとりはよくわからない男だった。 ラオタイポーが人懐こく話しかけてきて、「あなたの弟は離婚したよ」と言った。勿論、寝耳に水の話で、彼女は驚いた。言葉もない彼女に構わずラオタイポーは「あなたは耳が少し悪いね」とつづけて懐からなにやら綿のようなモノを取り出し、それを彼女の左耳にねじ込んだ。火はついていなかったはずだが、そう感じるほどに熱い綿で、彼女は悲鳴を上げて飛び退いた。その拍子に自転車が倒れた。ラオタイポーはにやりと笑う。よくわからない男は無言でそれを見つめている。すると、ふたりは彼女の左右の腋に腕を入れ、持ち上げると彼女の躰は浮いた。そのまま中空を上っていく。なすがままだった。ああ、どんどん高くなっている、自転車が遠くなる……と思ったところで目が覚めた。