川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

1976年の玉のれん

f:id:guangtailang:20210106235747j:image5日、昼。高校ラグビー準決勝第一試合をJ SPORTSで観る。僕は僅差で東福岡と思っていたんだけど、逆の結果でしたね。東福岡は東海大大阪仰星との激闘の疲労が残っていなかったと言えば嘘になるでしょう。ただ、京都成章のピラニアタックルを褒めるべきかと思います。そういえば昔、上野仲町通りにタックル怪獣というのがおり、僕はずいぶん怖がったものです。夜の街で背後から急にタックルしてくるんですもの。仕掛けられたのは友人で、怪獣はベイファン(北方)の女性なのにもかかわらず。

f:id:guangtailang:20210107000027p:plainそして夜。ファさんが眠ったあと、『花芯の刺青 熟れた壷』(1976・小沼勝監督)をFANZA動画で観る。昼はラグビー、夜はロマンポルノ。我ながらどうゆう趣味嗜好やねん、それで自分の中でバランスがとれているのかと自問したくもなるが、それはとれているという答えになる。ただ、現役でラグビーをやっている高校生の中に、自分が生まれるはるか以前のロマンポルノを愛好する者がもしいたならそれは奇天烈であり、慶賀すべきことだ。この映画は耽美的で完成度も高いと思うが、歌舞伎の知識が僕には欠落しているので大事なところがわかっていないかも知れない。

f:id:guangtailang:20210106235802j:image昼。高校ラグビー準決勝第二試合を観る。誰かのコメントで、桐蔭を評して〈高校生の中に大学生のチームが混じっている〉みたいというのがあったが、そんな感じはする。前半は12対12の同点で折り返したんだ。その時、引き上げてくる桐蔭の選手たちに焦燥の色は見えず、むしろ沈着冷静に前半の課題をいかに後半のプレイにいかすか考えるような顔をしていた。成熟かっ! 常勝軍団かよ。わかってはいても準決勝の舞台で高校生が容易くできることじゃない。後半が始まると、依然速い防禦を仕掛けてくる大阪朝鮮高に対して深いラインからパスをつなぎ、その中で生まれた間隙を縦に切り裂き、連続でトライした。ハンドリングエラーも少ない。

f:id:guangtailang:20210107000111p:plainこの雨の場面には感動したな。風情あり過ぎて。映画には谷崎潤一郎の作を思い出すような雰囲気もある。日本の伝統藝能とか古典美を使ってはいるが、全体のつくりとしてはモダンというか。〈道成寺〉って歌舞伎の有名な演目みたいだけど、大蛇が出てくるんですか。後半はここにも載っけられない、谷ナオミ道成寺の刺青を全身に彫るんだけど、右脇腹から左胸にかけて大蛇が描かれ、その舌先が乳首に向かってチロチロ探っている。

f:id:guangtailang:20210107000138p:plain酷薄でノーブルな顔立ちの中丸新将。役柄に非常にマッチしておりました。谷ナオミ、北川たか子姉妹が住む日本家屋の構造も独特で一見の価値有り。

f:id:guangtailang:20210107000213p:plainハスキーボイスの北川たか子(現北河多香子)さんはロマンポルノにはあまり出演されていないから貴重です。『キャンパス・エロチカ 熟れて開く』も1976年でしたか。昭和ではよく見かけたが、平成以降の部屋ではほとんど見なくなった玉のれん。とはいえ、あるところにはまだあると思われます。

f:id:guangtailang:20210107000246p:plain谷の躰に道成寺を彫る蟹江敬三。役柄に非常にマッチしておりました。中丸にしろ蟹江にしろアクが強く、サディスティックな変態性を過不足なく演じている。特に蟹江は谷の股にも刺青を彫る。その際の針が柔肌にショリショリと音を立て刺さるのが見ていて怖い。