予報によるとその土地の気温は36℃で、彼の住んでいる場所より1℃だけ高かった。たいして変わらないと鶴岡抄太郎は帽子も携帯せずに運転席に乗り込み、カーエアコンをぎゃんぎゃんに効かせながら東北道〜北関東道を疾駆した。昼頃、群馬県太田市藪塚町のジャパンスネークセンターに到着。ああ、この夏もここに来てしまった。【以下、スネーク本体並びにスネークが食事する場面の写真が掲載されているので、スネークが苦手な方は見ないことをおすすめします】
踏切をわたったところからスネークセンターの方角を撮る。夏に向かって走って行くような道路。
スネークセンターの駐車場から烈日の関東平野を望む。
元多摩美術大学教授、建畠覚造先生の手に成る白蛇(はくだ)観音。昭和46(1971)年完成。夏を喜ばれているご様子。
広場。緩やかな勾配がついているのでベンチに座ってモノを置くと転がってしまう。向こうの建物は1階が売店、2階が食堂。左奥の建物は熱帯蛇類温室。
その熱帯蛇類温室にいるブラックマンバ。シャープな顔立ち。大型の猛毒蛇であることはよく知られている。NBAの元選手、コービー・ブライアントの愛称でもある。
これはハブかな。ハブは毒牙が長いのと毒量が多いので危険といいますね。周知のように沖縄本島周辺や奄美大島に生息している。
ガラガラヘビ。これも有毒。周知のように日本には生息していない。
怖いこと書いてある。毒吹きってだけで怖いのに。
食堂でざるうどんを食う。味道ははっきりしない。食券機の蛇料理のボタンは両方ともバッテンが点いていたが売り切れたのだろうか。あったら食っていたね。2,000円前後するんだけど。外は灼熱で黄色いパラソルが白く光ってしまうほど。38℃はあるんじゃないか。
資料館の海ヘビをフィーチャーしてみる。午後1時半。エサやり実演が毒蛇温室にて始まる。エサというのは冷凍マウスだ。夏休みに入っていることもあり、子供らが多い。空調のない施設内で汗だくになりながら、皆自分の陣取る飼育室の前を動かない。鶴岡抄太郎も広い額から流れ落ちる汗をハンケチで拭いながら待つ。背後の壁に「コブラの神経毒」についての説明があったので撮る。
グリーンマンバの丸呑み。シンプルで速やかだった。
シンリンコブラの丸呑み。なぜかマウスを咬んだまま水につけるような行動をとり、それをもう一度引き揚げてから丸呑みしていた。グロテスクと言ってしまえばそれまでだが、この一連の光景には老若男女の目を釘付けにする何かがあるのだ。鶴岡に言わせればそれはエロスというものだった。
令和の藪塚駅。「江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎」(1970)の第17話「夜の墓場に踊る美女 夢遊病者の死より」で当時の木造の藪塚駅にスーツ姿の滝俊介が降り立つんだ。あれは藪塚の石切場を効果的に使って、かなり怖かった。監督は中川信夫。