川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

湧水、毒蛇、美しい断崖

鶴岡抄太郎は佐野、藪塚、日立と北関東3県を巡り、トータルで430km以上走った。さすがに疲れたが、独り個室で好きな音楽を流しながらのドライヴ、職場からどんどん離れているという解放感、繁茂する緑の非日常感、つまりこれが彼のストレス解消法というわけだった。時分柄、三密には配慮している。ましてや東京者だ。道の駅おおたで洗えるマスクを買った。出発から高速道路の上に重苦しい雲が垂れ込めていたが、関東平野の奥に向かうほど青空が目立ち始め、結局、雨に降られたのは帰りの30分程だった。

f:id:guangtailang:20200906195744j:image藪塚のジャパンスネークセンターにある白蛇観音(はくだかんのん)。彫刻家建畠覚造氏の作。

「…研究などのために犠牲となった蛇類の霊を供養するために建立されたものです。」パンフレットより

f:id:guangtailang:20200906195809j:image時間は少し遡る。まず出流原弁天池で湧水を汲む。

f:id:guangtailang:20200906195823j:image自由に汲めるとはいえ、ほんとうにホテル正面玄関のすぐ脇だから、服務員が出てきたら一声かけるようにはしている。

f:id:guangtailang:20200906195834j:image水量はあまり勢いがあるという感じではない。科学的データのことはわからないが、この水で朝コーヒーを飲んだらえらく美味かった。

f:id:guangtailang:20200906195935j:imageスネークセンターの駐車場から。雲と緑にサンドウィッチされた町。【これより下面にはスネーク(毒蛇)の写真が続くので、苦手な方は見ないで下さい】 

 

f:id:guangtailang:20200906195953j:imageシナロアミルクスネーク。これは無毒。

f:id:guangtailang:20200906200008j:imageハブ。

f:id:guangtailang:20200906200229j:imageウラコアガラガラヘビ。

f:id:guangtailang:20200906200034j:imageフィールドツノクサリヘビ。

f:id:guangtailang:20200906200048j:imageスネークがいる前提で見ているからわかるが、これがもっと枯葉が積み重なって、スネークの一部しか露わになっていなかったら気がつきますか? 木の枝だと思うんじゃないですか。怖いでしょう? 

f:id:guangtailang:20200906200105j:image説明パネルなので、老婆心ながら、誤字脱字は直した方がいいんじゃないかしら。「強くい」→「強い」、「アリカマムシ」→「アメリマムシ」。

f:id:guangtailang:20200906200246j:imageやあ、いらっしゃい。と、剽軽な現れ方をするキングコブラ。一般に思われているほど攻撃的ではないという。

f:id:guangtailang:20200906200304j:imageセイブガボンアダー。以上、毒蛇温室からでした。

撮り忘れたが、ブラックマンバもいます。このキングコブラに次いで長くなる毒蛇は実際は黒くなく、シルバーグレーの体色で、冷酷なイケメンのような顔をしている。名前の由来は口内が黒いかららしい。

「…瞬発力も優れており、攻撃は素早く正確である(噛まれた場合はほぼ確実に毒が注入される)。毒は非常に強く、量も多いうえ即効性で回りも早い。主に神経毒なため後遺症が残ることは少ないが、血清があり研究が進んでいるにも拘らず致死率は高く、未治療ならば100%に近いとされる。」Wikipedia

f:id:guangtailang:20200906200321j:image日立北部、小貝ヶ浜緑地公園。藪塚から170km以上あったな。ただ、北関東道は空いているから、快適なドライヴが楽しめる。東京からは150kmと標識にあった。職場になぜかあった後藤浩二というジャズピアニストの『hope』なるアルバムをミュージックサーヴァに入れたのだが、胸にしみいる音色だった。

海の方から甲高い子どもの声がする。実に楽しそうにゲラゲラ笑っている。見下ろせる位置に寄っていくと、数人で遊んでいるのかと思いきや少年ひとりで、やや高い波に揉まれながら、翻弄されるのが楽しくて仕方がない様子。勿論、浅瀬だ。太陽を浴びたオレンジジェリーのような波。すぐそばの砂浜に母親がいて、タープを張って日除けがつくってある。母親が少年に何か言っているようだが、聞き取れない。少年は金色の波にくるまれ、笑い声に乗せて短く返答している。まるで夏が始まったばかりのようだ。帰りのクルマでも鶴岡の耳の中で少年の笑い声が響いた。

f:id:guangtailang:20200906200332j:image美しい断崖。互いの自撮りを保存し合っている友人に送信すると、「絵画みたいやな」。日立市南北およそ26km。北部断崖のここと、南部断崖の古房地公園がある。古代の趣きを残すこの緑地公園は鬱蒼としており、ロープが張られ注意喚起がされてはいるが、それを乗り越え緑を掻き分け先へ進むといきなり絶壁に出、一歩足を踏み外せば海に転落してしまう。スリルを楽しむどころじゃない。灯台は後者の方が見映えするな。

午後6時頃帰宅。

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