川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

映画

『ジャンプ』

愛している女がある日、りんごを買ってくると言って出かけたきり男の前からいなくなり、音信も途絶える。男はしゃにむに捜索を始め、手がかりはぽつぽつ見つかりはするものの、女の居場所までは辿り着けず、なぜ自分の前から女がいなくなったのかその理由も…

ラグビーシャツ

10日夜。本来はシネコンで2本の映画をはしごする予定だったが、マスクの内側で洟がちゅーっと垂れてくるし、頭もぼーっとしてくるしで、ひとまず今夜のところは90分ちょっとの『15時17分、パリ行き』(2018)だけ観ようと考えを変えた。 19時15分、閑散とし…

独特の映画

アピチャッポン・ウィーラセタクン『ブンミおじさんの森』(2010/タイ/114分)を北千住の東京芸術センター2階、シネマ ブルースタジオで。以前、この建物から程近いワンルームマンションに住んでいたことがあり、ブルースタジオの存在も当時から知っていたの…

『ミッドナイト・バス』

先日長岡に行った時、喫茶シャルランの階段を下って表に出ると、並びの商店のガラス戸に貼ってあった映画『ミッドナイト・バス』のポスター。後日気になって調べてみると、ちょうどあの日(20日)から新潟で先行ロードショーが始まっていたんだな。 私は昨夕…

函館、映画の街

2008年3月16日、弟とふたりで旅した函館。海風が肌寒く、陰気な日だった。 旅行のしばらく前に『ノエイン もうひとりの君へ』(2005~2006)というSFアニメをふたりして観ていた。このアニメの舞台が函館で、その影響もあって、ちょっと行ってみるかというこ…

一瞬の夢

『一瞬の夢(原題・小武)』(1997)。ジャ・ジャンクー監督長編デビュー作。自らの出身地山西省汾陽で撮っている。物語自体は他愛ないと言っていいものだが、映画としてはいきなりの傑作である。 原題にもなっている主人公シャオウー(小武)の、冴えない風…

散歩する侵略者

シネコンで黒沢清『散歩する侵略者』(2017)。小腹が空いたのでホットドッグを食ったが、ソースが妙に塩辛くてまいった。映画はSFじみた題名だが、ホラー、コメディ、アクション、ラブロマンスなどいろんなジャンルを横断していて、独特のスペクタクルな映…

帰らざる日々

池袋新文芸坐で『帰らざる日々』(1978)。今月中旬、飯田に行ったあとなので是非スクリーンで観ておきたかった。 藤田監督にしてはオーソドックスな青春映画だと思う。新宿から飯田へ向かう列車内で主人公辰雄の回想が始まり、飯田に着く頃に回想が現在に追…

非行少年 二本立て

池袋新文芸坐で『非行少年 陽の出の叫び』(1967)と『非行少年 若者の砦』(1970)の二本立て。前者は藤田監督のデビュー作。主役平田重四郎の面構えが全編通していい。白黒画面が余計精悍にみせているのか。ナイフで腹を刺され、這う這うの体で部屋にたど…

愛情砂漠

池袋新文芸坐で藤田敏八『赤い鳥逃げた?』(1973)。やっと観られた。劇中で29歳と言いながらとてもそうは見えない味のある原田芳雄が歌う「愛情砂漠」が耳に残るな。水上温泉の露天風呂の岩場でヌードの背中をみせているのも桃井かおり本人なのだろうな。…

山口百恵

山口百恵(シャンコウバイホィ)といえばある年代以上の中国人はだいたい知っている。彼女が主演した『赤い疑惑』(1975)が1984年に日本のドラマのさきがけとして中国大陸で放映されたから。『血疑』と題され、これが一大ブームを巻き起こした。 当時少女だ…

天秤棒担ぎと若い女

『ルアンの歌』(1998)。原題は《扁担・姑娘》で、天秤棒担ぎと若い女ということになる。はじまってしばらく、場末感の漂う川沿いのバラック小屋でふたりの男が生活しているさまが映されるが、これが高平(ガオピン)と东子(ドンズ)という同郷の出稼ぎ労…

任逍遥

リッチー・レン(任賢齊)の「任逍遥(レンシャオヤオ)」。 私が初めて覚えた中国語の歌。ジャ・ジャンクー(贾樟柯 ジア・ヂャンクァー)監督『任逍遥(邦題 青の稲妻)』(2002)の主題歌。山西省大同という地方都市の若者を描いた、日本の70年代映画のよ…

高い鼻梁と藪睨み

藤田敏八『八月はエロスの匂い』(1972)をDMM.R18 で。 日活ロマンポルノ、藤田監督のエロス三部作の第一作。冒頭、デパートの宝石売場の陳列のなんとチープなことよ。ここからもう昭和の匂いがぷんぷんしてくる。主演の川村真樹の高い鼻梁、むささび童子の…