川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

諸暨今昔

昨日の夕方5時半頃、強風になぶられた髪を手の腹で撫でつけながらパソコンに向かっていると、ドアが開いて父親の友人T氏が顔を覗かせた。長身痩躯の彼は長い腕を差し出して、「これ、ヴェトナムのお土産。お好きだと聞いていたんだけどなかなか渡せなくて」…

『ジャンプ』

愛している女がある日、りんごを買ってくると言って出かけたきり男の前からいなくなり、音信も途絶える。男はしゃにむに捜索を始め、手がかりはぽつぽつ見つかりはするものの、女の居場所までは辿り着けず、なぜ自分の前から女がいなくなったのかその理由も…

サラダピッツァ

2005年7月。その頃ぼくはまだ独身で、夏の土曜日の昼下がり、両親、弟と一緒に買い物に行き、その後食事などしたものだった。 江東区東陽町の東京イースト21に当時あったスーパー、生活創庫(現在はサミットに変わっている)で雑貨を買い、大通りを渡ったと…

「空の怪物アグイー」

長篇小説は繰り返し読んだりほとんどしないが、50頁くらいの短篇小説で2回、気に入って8回くらい読んだやつはある。最初学生の頃に読んで、その後忘却していた小説を何かのきっかけで想起し、本棚の奥から文庫本を引っ張り出してきて、働くおっさんになって…