川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

ひと夏の思い出─トワイライトの水辺

f:id:guangtailang:20220816221032j:image霧降高原の1445段(天空回廊)をゼーハーいいながらも休まずに登り切ったことを46の夏の記念としたい。この時はお天気で、上の方は汗を乾かす気持ちいい風が吹いていたが、翌朝大笹牧場へ向かう時に通ったら一帯霧に包まれていた。Hさんは麓の小屋でタオルマフラーを買ってヨーグルトを飲み休憩。

f:id:guangtailang:20220816221044j:imageこのノルウェーワッフルを食ったあと、隠れ家という名の建物でMを傷つけてしまう。自分が年老いてもこの出来事は決して忘れないだろう。彼女に苦痛と煩わしさを与えたことに責任を感じるし、僕自身ショックを受けた。Mに実際会って謝罪する機会を今日現在まだ得ていない。

f:id:guangtailang:20220816221019j:image北千住のブルースタジオでダニエル・シュミットの映画を3本順にやっている。東京西高東低と言われるミニシアターで気焔を吐いていると言っていいだろう。『書かれた顔』(1995)を観る。僕がこの映画館に来た中でもっとも多くの客が入っている。数えたら13人。女性が多い。女形に扮していない時の坂東玉三郎の所作でさえ美し過ぎて見惚れるが、なんといっても大野一雄のトワイライトの水辺でおこなわれる舞踏が白眉。この世のものとは思われない、とはこういう時に使う言葉か。

大学時代の友人の友人が菊川に新しく映画館をオープンさせようとしているが、その意気を素晴らしいと思う。クラウドファンディングでちょびっとだけ応援させてもらった。こけら落としゴダールの80〜90年代の作と知って、強靱な姿勢に感嘆しつつもにやにやしてしまう。

f:id:guangtailang:20220816221036j:imageブラウンスイス牛のいる風景(1日目)。

f:id:guangtailang:20220816221023j:imageふつうの牛のいる風景(2日目)。

f:id:guangtailang:20220816221039j:image在酒店门口。

f:id:guangtailang:20220816221027j:image大笹牧場にはふつか連続行ったが、この時霧降高原道路には濃霧が出ており、フォグランプを点けて走った。対向車は急に姿をあらわす。不意に霧の中から大野一雄があらわれ舞踏をはじめたらそれはそれで絵になるなあと思いながら。

f:id:guangtailang:20220816221319j:image日程の都合が2度合わず、そのあいだ申し訳なさは募り、なぜだか己の中に焦燥と怒りの感情が芽生えてしまう。これは無論Mに向けられたものじゃない。では誰、或いは何に? 謝罪のテンションの持続がむつかしい? 自己撞着のようだが理不尽な感情を抱く自分にか。どうにも気持ちが落ち着かなくて、夜半に酒を飲んだいきおいで「足裏の写真を送ってください」とラインを送り、最初は「笑笑」と返ってきただけでふて寝しようとスマートフォンをヘッドボードに置いたが、ほどなくしてそれが震え、Mから写真が送られてきた。幼稚な僕は少し泣いた。