昨夜、NHKでやっていた井上陽水のデビュー50周年を特集した番組の中で語られた言葉のうち、今朝起きても印象に残っているものを念のため書き留めておこう。なお、正確性は欠くと思う。
松任谷由実。自分がデビューした当時、おんな陽水とかおんな拓郎と呼ばれ、自分は独自の音楽表現をしているのにと不満だったが、ある時、陽水と出会い、彼の音楽を聴いてみると、なるほどと腑に落ちるところがあった。陽水と自分の音楽の基底にあるものはセンチメンタルやメランコリックといった感情であり、これらはある意味「贅沢」なものである。食うや食わずで覚えるものではない。
宇多田ヒカル。自分の父親と似たところのある陽水には親戚のおじさんのような親近感がある。歌詞にはさまざまなタイプのものがあるが、陽水と自分の歌詞における言葉の配置は、建築伽藍を組み立てるようなものではなく、「香水をつくる」様に香りの濃度をコントロールし、受け手がふわっとそれを嗅いで感情を抱けるような作詞をしており、同じグループに属していると自分では思っている。
リリー・フランキー。陽水は同じ筑豊出身の先輩であり、その関係性には独特のものがある。陽水も陰で遮二無二に努力してはいるのだろうが、そういうものを人前ではみせない「大人の粋」を自分は学んだ。陽水の音楽には時代性がない。だから、古びない。ユーミンもそうだ。50年経ったらふつうは古びる。当時の別の音楽は軒並み古びてしまった。