川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

常総バイパス

日曜日、強風。目の痒さにくしゃみ。今日はひどい。本来マスクはこういう時にしていたものだ。

f:id:guangtailang:20220306120206j:imageHさんが大陸で恋しがっていたもののひとつは温泉で、こっちに彼女が戻ってきてどのタイミングで行こうかと考えていたが、昨今感染者も高止まりしているから、宿泊は控えましょうと彼女から言ってきた。それで守谷にあるきぬの湯へ。ここは2回目で、前回はマスクをしていなかったから3年くらい前か。そんなにあいだが空いている感じがしない。わたのはらに浸かったのを妙に鮮明に覚えているし、Hさんがフルーツサラダをここで初めて見、自分の料理に活かして今でも食卓に上っている繋がりもあるからか。

f:id:guangtailang:20220306150727j:image朝9時15分出発。僕は平日・休みに関係なく7時半前に起きているから問題ないが、こっちに戻ってからなかなか起きてこないHさんは寝ぼけ眼だ。NHKの「小さな旅」を見る僕の横で腰を振って腕を交互に伸ばす変な体操をして目を覚そうとしている。今朝は宮崎県の港が舞台で、メイツ、メイツと仲間のように言うからどんな字を書くのかと思ったら目井津だった。 

10時、守谷SAのスタバに寄って時間を潰す。出がけにもうちょっと厚めの方がいいんじゃないかとHさんに言い、結局いかにもイギリス風の緑がかったグレーの格子柄コートを着てきて正解だったろう。北関東(平野)は東京に輪をかけて風が強く、僕がシャツにモールスキン上着を羽織っただけなのは、寒さに弱ければキツかったはずだ。

谷和原ICで降りて予約時間より30分早く到着したが、ちはやぶるに入室させてくれた。Hさんは堪能していた。僕はすぐのぼせてしまうので、短時間出たり入ったりを繰り返して部屋にいる時間がはるかに長かったが。互いにパンツ一丁で飯を食った。この開放感がよい。

f:id:guangtailang:20220306150653j:imageいちにち戻る。土曜日。午前中にひとつ契約があり、それをやっているあいだにお客さんの子どもが飾ってある東武バスのサイドミラーをへし折った。そりゃ、幼児にしてみればこれほど退屈な時間もないだろう。親たちはなにやら真面目腐った顔で男の話に耳を傾け、自分は関心の埒外に置かれている。男の喋る言葉のひとつとて聞き取れやしない。サイドミラーのひとつやふたつへし折りたくなるのもわかる。

f:id:guangtailang:20220306172034p:image午後。飲み物をこぼしてしまい、濡れた場所を拭いている。まるで服務員のよう。僕のリアルチャイを優先したために自分のものが疎かになってしまったのだ。2時半に浅草のフグレンカフェでMと会う。螺旋階段を上りあらわれた彼女は少し道に迷って顔を紅潮させている。左手首にYesの3文字を新たに刻んでいた。10日くらい前、Mが精神状態を随分落としていたことがあった。そのことが関係しているのかもしれない。その時、死ぬとか自殺とか簡単に言葉にしないでくれと諫めた。心の中でそれら言葉の塊が凝っているのもよくない。人間は言葉に操られて、そっちの方向に踏み出してしまわないとも限らないから。日光浴やマスターベーションをしようぜと言った。生の方向に向かえと。Yesならそっちだろう。

f:id:guangtailang:20220306150823j:imageそしてまた日曜日。守谷をあとにし、常総バイパスを北上する。この風景、これが関東平野だ、荒寥地方だ。道路の両側にひろがる茶色く味気ない大地。空中には高圧鉄塔の送電線が伸びる。クルマが左右に揺さぶられるほどの強風。天気がいいから右側にくっきりと浮かび上がった筑波山がせめても気持ちを和ませる。

道の駅しもつまで買い物。野菜が高いとHさんが騒ぐが、僕がセレクトした小ぶりのいちごは美味だと言ってほとんど食ってしまった。写真は道の駅しもつま展望台から筑波山を望む。

f:id:guangtailang:20220306150832j:image雨だからやめましょうという女性によるデートの断り文句(ドタキャン)があるが、風が強いからもう帰りましょうという文句が日曜日の午後に出た。僕も目の痒みとくしゃみが辛かったのでそれにのった。ただ、時刻はまだ2時であまりに早く、途中、常磐道を流山ICで降りて適当なコインパーキングにクルマを入れ、強風に一度エディバウアーのお帽子を飛ばされながら、駅からペデストリアンデッキで繋がる商業施設の上島珈琲店でダブルネルドリップコーヒーゼリーを食べた。お豆さんふたつでした。

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