川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

紹興のひと

f:id:guangtailang:20210920183349p:image連休には過去にもこうゆうことが2回か8回あった気がする。それがいつどこでとゆうところまでは憶えていないが。特に天候の悪い休日が過ぎ、晴れ渡った翌日など雨後の筍のように人出が凄く、それを捌く方も大変は大変だ。今日みたいに。

洗濯物を干していた時のわたしの思いつきで、今日は東京ドームシティに行こうと思うんだけど来ますかとHさんに問うと、彼女の仕事の学習が終わったらつき合うという。それで正午まで待ち、昼飯を向こうで食うことにした。外は夏の陽射しがぶり返している。Hさんがわたしのトートバッグに日傘とポカリスエットを放り込む。電車もけっこう混雑していた。魚を食べようとエレベーターで和食の店に上ると、入口にすでに4、5組の客が待っていた。ボードに名前を書き、わたしたちも待つ。この進みが遅い。連休だし、昼時だし、ソーシャルディスタンスだししょうがないかなどと言ってみる。結局、30分以上待たされた。正面に遊園地が見えるカウンター席に案内され、魚の定食とアジフライの単品を注文する。料理が出てくるのも遅い。で、やっと来たと思ったら鶏肉の定食である。「いや、ふたりとも本日おすすめの魚の定食ですけど」「申し訳ございません。今、確認して参ります」とヒョロッとしたあんちゃんは素早く厨房にも戻る。オーダーを取り来たのはおばさんだった。結局、店の間違えでそこから料理をつくることになり、アジフライだけ先に食う。「さっきの鶏肉の定食、一人分しか来なかったろ。ふつう同じ定食たのんだら二人分一緒に出てくるよな。そこからおかしい」などと言いながら、遊園地のスカイフラワーというらしいアトラクションの上下運動を眺めて待つ。さっきレジにいた店長とおぼしき人が来て、「大変申し訳ございません。飲み物を無料で提供させていただきますので…」云々と言うので、ホットとアイスのコーヒーをお願いする。涙ぐましいブルーの空に向かって乗り物が上がってゆく。

f:id:guangtailang:20210920183413j:image食後、天野尚氏のネイチャーアクアリウムの展覧会を覗いてみる。ここも入口のところに行列ができていて、並ぼうとしたらコロナ追跡の関係で小紙面に個人情報を書かされる。順番になり金を払うと、発券機の不具合で一枚しか券が出てこないので少し待ってくれと可愛らしい女の服務員が言う。Hさんはすでに入場しようとしており、事情を察して苦い顔をしている。連休ってこうゆうことが頻発するよな、スムース遮断機が次々下がってくるように、とわたしはこの時思い始めた。ほどなくして奥から別の服務員がもう一枚を持ってきた。人出の多いところじゃなく、たとえば北茨城の海岸線を歩き、海鮮(メヒカリの唐揚げか)でも食べた方がよかったかなとHさんに言いかけたが、そうよ、あなたの選択がおかしいと言われそうでやめた。

f:id:guangtailang:20210920183447j:image小石川後楽園も昨日と同じ回遊式庭園なので彼女は気に入るだろうと思ったが、勿論悪くはないが浜離宮の方が好みらしい。あの水上バスでアクセスするのがたしかにいいんだよな。来園者はわたしたちのような年代かそれ以上かと思ったが、20代のカップルも数多く見かけた。ちなみにここでもコロナの入場制限のため、携帯で登録が必要だった。

f:id:guangtailang:20210920183522j:imageほんまもんの西湖の近くで生まれ育ったひとが、紹興出身の朱舜水が設計した日本庭園の橋の脇を歩いているのをおもしろく感じ、マスクの中でニヤニヤする。さすがに鋭く、石畳の階段の組み方を見て、「これ中国にありますよ」と言った。「そりゃ、あると思います。当然に。当時─江戸時代というんですけど─の日本人は中国文化をもろめちゃ模倣したんですから。ありがとうございます」と言ってみた。この場合、わたしの地元にありますよということでいいと思う。

f:id:guangtailang:20210920183541j:imageそんな紹興出身の人も現代日本のミルク珈琲黒糖が大好きで。今日は一万歩を超えたということで、アップルパイとコーヒーゼリーもたのんでしまう。ネルドリップで淹れたコーヒーのゼリー、ちゃんと苦くてうまかった。午後6時帰宅。