川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

殺風景

幼少の頃、家族そろってクルマで東京駅の地下駐車場に潜ることがあり、駐車したのち父親の先導で八重洲地下街への階段を上った。時間帯は夕方とか夜だったろうか。どこかに行った帰りだったかも知れない。コンクリートの殺風景な階段空間から鉄の扉を開ける…

キャンパスノート

引っ越し後の片付けをしていると、謎のノートが出てきた。キャンパスノートに別のノートに己が手書きした文章のコピーを貼り付けるという奇妙な行為の記録である。読むと谷崎潤一郎の小説或いは谷崎に関する批評文を筆写したものだ。繰る頁、こんなのが延々…

長椅子を運べ

長椅子を運べ、とHさんの命令が下り、新居からクルマを取りに行き、マンション前に廻し、7階からえっちらおっちら運ぶ。重くはないが、いちにんで運ぶものでもないだろう。着替えてさえいないから、スーツにコートのままだ。1階でエレヴェータを待っていた人…

ゴマのナン

15日。今日も今日とて引っ越しの細々したモノを新居に運ぶ。部屋の中は乱七八糟(ルアンチーバーザオ)だ。文字通り足の踏み場もない。時を同じくして三重の桑名から名古屋へ引っ越す準備をしているE氏もツイッターで呟いている。 「おれは部屋の片付けをし…