幼少の頃、家族そろってクルマで東京駅の地下駐車場に潜ることがあり、駐車したのち父親の先導で八重洲地下街への階段を上った。時間帯は夕方とか夜だったろうか。どこかに行った帰りだったかも知れない。コンクリートの殺風景な階段空間から鉄の扉を開けると地下街の華やぎが目に飛び込んでくる。何かいい匂いも漂ってくる。その時の映像、感覚を今朝方、夢にみた。私や弟が小学校低学年と保育園児として、昭和50年代後半、あの時の父親は今の私よりもだいぶ若かったのだ。ヨドバシアキバ5階の丸福珈琲店でケーキセットを食べる。引っ越し以来、本格的に一息つけた時間だ。丸福のコーヒーは濃い目なので好み。
雨も上がったようだし、そこから徒歩で御徒町の多慶屋、インテリア雑貨館に移動する。Hさんは無論、ドゥオチンウー(多庆屋)と発話する。彼女が店内を廻っているあいだ、私はジェル枕の素材見本を手で押したり揉んだりしている。なんともクセになる気持ちいい感触だから。
帰宅後、飯田市天竜峡の市田柿を食う。私はふつうの柿をあまり食べないが、市田柿のミルフィーユを食べることを念願としている。それと、船橋屋のもちぱい。日持ちしないので飯田で食うのがよかろうが、宿まで待ち切れずにクルマの中でむしゃむしゃしてしまい、パイ生地が散らばったのは良い思い出だ。
午後9時過ぎ、用あって以前のマンションに行く。まだ解約していないのだが、すでに疎隔感が生まれている自分にちょっと驚く。3年半住んでも、がらんどうだとそうか。やはり、人がいなきゃただの箱だな。