川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

パンクチュアル

ティンダーを駆使して外国人女性と頻繁に会っている日本人サラリーマンのブログを覗くのだが、彼がよく書いているのが外国人女性と待合わせをする際は常に相手の1時間の遅刻を覚悟せよ、または甘受せよ。相手は悪びれもせずにあらわれる。ひどい場合には平気ですっぽかして音沙汰なし、あっても謝罪と程遠い子どものような言い訳をする。それすらもこちらは冷静に対応せよ。マッチングアプリでの端緒、関係構築する前の話だから日本人女性でもあり得ることだろう。ともかく彼のようなその道の熟達者は肝に銘じている事柄らしい。

f:id:guangtailang:20221113173926j:image僕は時間に堅い方だと思うが、Hさんは輪をかけて堅い。同棲前にデートの待ち合せをした際、毎度その堅いのに感心したわけだが、7年以上経った現在も少しも変わらない。誰かと約束のある場合、待合わせ場所まで電車を乗り継いでどれくらいかかるのか等何度も訊かれる。そして1時間で着くところを余裕をもって1時間半前に出発する。彼女の美質と思う。

公私の区別なく基本的に時間を守るのが日本人とは定説だろうが、Hさんのような外国人女性も当然いる。浙江省で会う彼女の親族も皆ちゃんと時間を守る。公共交通機関が日本ほどパンクチュアルな国家は少ないとしても、すっぽかす、または謝罪なしに言い訳するのは国民性というよりその人間の問題じゃないか。

f:id:guangtailang:20221113173929j:imageMもまた時間に堅い女性だ。5分程度遅れることはたまにあるが、事前にラインのメッセージが届く。彼女の考えとして、待合わせ場所にちょうどに着くように設定しているんじゃないか。だから、駅の構内や慣れない街で迷った時には若干遅刻することになる。といって、仕事柄もあるかもしれないが、僕は5分を遅刻とは思っていない。10分を過ぎて15分に差し掛かるくらいのところで遅刻と考えるか。それでもまだ先方があらわれず、連絡もないとする。会社に電話を入れ、あと15分待つと告げる。30分が経過してあらわれなければ、その場をあとにする。プライベートだとそれよりもうちょっとだけ待つかもしれない。

f:id:guangtailang:20221113173933j:imageHさんが醉蟹(ズイシエ 酔っ払い蟹)をたのんだつもりが醉虾(ズイシャー 酔っ払い蝦)がくる。上海老妈(シャンハイラオマー)の聞き違いだろうか。巣鴨は上海家庭料理大吉缘での出来事である。午後1時に行ったが、席数が少ないこともあって混み合っている。上海老妈は見るからにてんてこ舞い。まあこれはこれで食べようとなった。独特の黒い光沢。酒のあてに向くような塩辛く濃厚な味道。

奥の座席には妙齢の中国人女性4人組がおり、聞き取りやすい普通話で女子会をやっている。そう、話の内容はまさに女子会だった。こちらには僕の両親もいたのだが、父親が彼女らに興味津々である。〈美人タイプの娘がふたりいる〉と隣りで呟くからそれには取り合わず、〈言葉聞かなかったら日本人と見分けつかなかったろう〉と応じた。

f:id:guangtailang:20221113173936j:image蝦に比べたらやや明るい色の醉蟹もきた。が、歯の悪い父親は甲羅のみそを啜るのみで、母親は食べる気がしないと手をつけなかった。Hさんがむしゃむしゃと脚をかみ砕く。4人組のテーブルにも大闸蟹(ダーヂャーシエ 上海蟹)が連なって乗っている。蟹もだが彼女らもかなり酔っ払っているようで頻繁に哄笑が起こる。そのたび父親がちらちら見ている。Hさんはまるで気にしていない。他にもやたらたのんで会計はかなりいってしまったが、父親が支払った。