今日、新元号が令和であると発表された。日活ロマンポルノ、『夫婦秘戯くらべ』(1976・監督 武田一成)をFANZA動画で。【以下、ネタバレあり。役名では呼ばず、俳優の名で呼んでいます】
冒頭、中丸信が新宿の雑踏で夫婦円満の秘訣についてインタヴューしている。この人は現在も中丸新将という名で活躍しており、シャープな顔立ちの、いわゆる都会的なルックスというやつなのだが、この映画ではラジオDJ且つインポテンツである。
中丸の妻、谷口香織は看護婦なのだが、この白衣は完全にコスプレだろう。映っていないが丈もミニである。リアリティを度外視してセクシー衣裳につく。70年代半ばにすでにそういうものが確立されていた。病院の屋上で人に聞かれたくない話をするのも現在まで連綿と引き継がれている。右は岡本麗。
ラジオの公開録音をする中丸。この時に前回雑踏で話を聞いた宮下順子をオーディエンスの中に再びみかけ、追いかける。
夫婦円満の秘訣はずばりセックスで、初老の夫と毎晩しているという彼女に、性生活が破綻の危機にある中丸は是非とも秘密を教えてほしいと懇願する。それを聞いてにこやかな宮下。
宮下の夫、小松方正は自ら調合した強精飲料、ワインにはちみつ、バター、鹿の角の粉末などを混ぜた液体を宮下の躰に垂らし、それを舐めまわす。彼女は「焦げる」と喘ぎ、それは「燃える」を凌ぐものだ。中丸はこの寝室の窓外の庇にたやすく身を隠し、その光景をのぞき見している。セキュリティも何もない。中丸は自らの恢復を感じる。
中丸の中学時代の同級生、三上寛はスキーの事故で骨折し入院しているが、その病院が中丸の妻、谷口が看護婦をしているところで、怪物的なイチモツをみた谷口の同僚、岡本から求婚されることになる。尿瓶2杯分用を足すし、こうなってくるともうコメディとして観るしかない。
本人として歌手として出演している。
自らの恢復を感じた中丸だったが、今一歩のところで果たせなかった。この後、さらにコメディ的なインポテンツの原因が明かされるのだが、数箇月前に中丸と小松が自動車事故を起こし、その衝撃がもとで中丸は不能になったというのだ。良心の呵責を感じた小松は中丸を自宅寝室に招き入れ、押入の中から自分たちの秘戯をのぞき見させ、恢復の手助けをする。こんなアホな役回りをシャープな顔立ちの中丸にやらせるから余計滑稽でおもしろい。
これがその寝室。火急の用事で外出した小松のいないあいだに宮下が押入の中に潜む中丸を見つけてしまう。済みません、面目ない、しかしこれは真剣な悩みなんですと何度も頭を下げる中丸にほだされたのか、宮下は中丸を受け入れる。一度だけよ、と。彼は恢復し、彼女は焦げる。
テレビショウの司会者に昇格した中丸はゲスト歌手に三上を呼ぶ。
コメディであるからして最後は大団円だったね。中丸のシャープな顔と、小松の下駄のような顔。