2012年7月16日、蘇州。上海~蘇州は100kmちょっとで日帰りで行ける。水郷、シルクの博物館等廻って昼飯レストランの席に座るやいなや、服務員がどんどん皿を運んできて、ひとりでは到底食べきれない量となった。と、すかさず楽器を持ったおばちゃんがやってきて笑顔で何か言っている。当時の私では全然聴き取れなかった。ガイドも他所に行っていない。曖昧な対応をしているうちにおばちゃんは座り、琵琶(ピパ)を奏で始めた。音色も何を聴いていなかった。なぜいきなりこんな展開になってしまったのか、そのことに動揺していた。周囲をみると他の客は演奏にまったく関心がないようだった。今ならこれしきに動揺はしないのだが、5年前は違った。劉海のおばちゃんはスパンコールをきらきらさせながら気持ち良さそうに奏でている。
演奏が終わると、案の定、金銭を要求された。拍手などする気も起きない。記憶がはっきりしないのだが、こんなにとるのかという金額だったと思う。こちらが日本人だと思って、ふっかけたのだろう。
移動のクルマに戻り、王老吉(ワンラオジー)を飲んで、気持ちを落ち着けた。
*劉海(刘海[儿]) 切り揃えて額に垂らした前髪