川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

岬②

2日目も冴え冴えしない予報が出ていたのだが、朝、カーテンを開けると陽があった。海の上は青空が覗き、山の方は一面どんよりしている。朝飯を食い、多々戸浜を散歩してチェックアウトすると下田海中水族館へ向かった。これはホテル内の広告を見たHさんのリクエスト。天然の入り江を利用したおもしろい構えの水族館で、個人的にも楽しめた。

f:id:guangtailang:20190723083036j:plain駐車場から撮る。この階段を下って、館の入口へ達する。Hさんがイルカやシャチが好きなのは流線形の滑らかな躰もそうだが、なによりツォンミン(聰明)だからだという。この頃からじっとり汗ばむほどの陽気となる。

f:id:guangtailang:20190723083120j:plain入口脇の水槽でウミガメのじいさんが泰然と揺らいでいる。ちなみにここは藤田観光が経営する民間の水族館。

f:id:guangtailang:20190723083201j:plain向こうの白いドーム状の建物は船なんだそうだ。以下、水族館の公式サイトより抜粋。「アクアドームペリー号は、総排水量1,300トンの船です。この中には水量600立法メートルの大水槽があり、伊豆の海の再現をテーマに魚類や無脊椎動物、海藻など50種10,000点もの生物が暮らしています。」

f:id:guangtailang:20190723083449j:plainカマイルカのショー。ちなみにイルカの鳴き声といいますが、彼らに声帯はありません。頭上の呼吸孔を震動させることによってあの鳴き声のような高い音を出しているのです。

f:id:guangtailang:20190723115941j:plainカマイルカのジャンピング。身体能力で中空の赤いボールをキックする。人間様のダンクシュートで感嘆している場合じゃない。

f:id:guangtailang:20190723120016j:plain入り江に繰り出してイルカと触れ合う人々。

f:id:guangtailang:20190723120156j:plain昼前、西伊豆雲見温泉へ達する。以下、松崎町観光協会公式サイトより抜粋。「世界的にも貴重なセミクジラの骨格標本を展示している雲見くじら館。このセミクジラは、昭和52年(1977年)雲見漁港内に迷い込み砂浜へ乗り上げてしまった。住民の海へ返す努力も及ばず翌日に衰弱死したとされています。体長11.5メートル、体重22トンの未成熟個体であり、世界的にも貴重なセミクジラだとわかったことから、骨格標本とすることになり、解体されて海岸に埋められ、4年後の昭和56年(1981年)に発掘され。その後、昭和58年(1983年)に骨格標本を展示する雲見くじら館が開館されました。」

f:id:guangtailang:20190723120255j:plain骨格の内側に入ると迫力がある。壁面に当時の様子が白黒写真で展示されている。迷い込んだセミクジラ、解体されるセミクジラ、埋められるセミクジラ等。我々が入館したことを確認して、上階のおばさんが説明のアナウンスを流す仕様。

f:id:guangtailang:20190723120346j:plain松崎町(人口6千2百余)はなまこ壁が有名で歴史ある観光地だが、月曜日だから余計に人気が少なく、町ががらんとした印象だった。Hさんも印象が希薄だったらしく、早々とクルマに乗った。

f:id:guangtailang:20190723120544j:plain西伊豆の断崖沿いを走る国道136号線を北に向かい、午後1時半、土肥八木沢温泉附近のドライブインのような眺めの良い定食屋に入り、手長エビを食べる。甘エビなどと違い、殻がしっかりと堅い。窓の外は駿河湾で、その向こうに富士山が望めるはずなのだが、雲に覆われて見えない。店を出ると雨がぱらついていた。ちょうど東京を出発した時のように。

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