川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

セクシー・ダイナマイト・アクション

晴天。冬の天気は安定している。昨日もゆりかもめ台場駅で降りると、例の自由の女神像の立つ広場やレインボーブリッジの背景は、涙ぐましいブルーの空だった。

裸でシャワーを浴び、蟻の門渡りベビーパウダーを叩き込むと、午後2時半過ぎに外出。福建喫茶で遅い昼食。店に入ると先客が数人おり、皆、入口に背中を向けて座っている。奥のいちにんは瓶ビールを呷っていて、耳が赤黒く変色していた。しばらくして、それが仕事上で面識のある生活保護受給者の爺さんだとわかった。ひどく無口な印象があったが、この店ではママを相手に怪気炎を上げている。その手前もジャージ姿の爺さんが座っており、場末感はいや増すばかりだが、おれはこういう雰囲気が嫌いじゃない。有線で「長崎は今日も雨だった」が流れている。今日も餃子はなかった。

f:id:guangtailang:20190120200014j:image『薔薇の標的』(村川透・1980)をDVDで。劇中で、主演の舘ひろしが29歳だと喋るセリフがあるが、実年齢ということか(役名も野本宏で、〝ひろし〟である)。ジャケットに「舘ひろしセクシー・ダイナマイト・アクション」と謳われる通り、この映画は何よりも若き舘ひろしを楽しむものだ。逆に云えば、ストーリー自体は凡庸な復讐劇で、みるべきものはあまりない。映像は仙元誠三なので、スタイリッシュ。音楽は羽田健太郎で、ハマの雰囲気に合っている。現在でもハズキルーペのCMなどでそのダンディぶりをみせつけている舘ひろしは、かつて大根役者と呼ばれていたことがあり、自らもそう自認していたらしいが、これをみるとそんなこともない気がする。たしかに一本調子で、ニュアンスには欠けるのかも知れないが、アクション俳優はそういうところがあるものだろう。それを云うなら現在の若手役者でどれだけの者が、セクシーでダイナマイトなアクションを決められるというのか。

f:id:guangtailang:20190120195612p:plain余計な装飾を省いたシンプルな客室。

f:id:guangtailang:20190120195704p:plain鰐を連想させる野性味溢れるフェイス。

f:id:guangtailang:20190120195743p:plain埠頭に佇む男と女。いつの時代にもある風景。

f:id:guangtailang:20190120195834p:plain松田優作舘ひろしの共演。変な歌を唱って無心する松田。あくまでクールに取り合わない舘。「ハマのミュージシャン、舐めんなよ」という松田のセリフが今も耳にこびりついている。この翌年の『ヨコハマBJブルース』(工藤栄一・1981)に繋がっていく。

f:id:guangtailang:20190120213432j:imageまるで『シティーハンター』のようなジャケットだが、無論こちらの方が早いのだ。