川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

金海湾

13日。久々に気の置けない友人たちと午後2時から呑み食べ、そして語らい、すでに夜の8時半を廻った頃、痛飲の域にも達していたが、Hさんの状態がいよいよ気になり始め、浮き足立った。

というのも、朝から体調がすぐれない、とHさんがぼそり呟き、それでもパジャマ姿で、あたしはベッドで休んでいるから、あなたは楽しんでらっしゃいと送り出してくれ、くしゃみを連発しているし、風邪のひき始めみたいだから薬を飲んだ方がいい、今日は昼間からだしあんまり遅くならないよ、などと私も云って、家を出たのだ。

友人宅で催された宴も酣で、頃合いを見計らって立ち上がり、帰り支度を始めた埋立地に住むKに倣うように私も立ち上がった。すると、江戸川附近に住む泰然として博識のF、栃木南部から来たかいなぢからが自慢のHも帰る素振りをみせている。結局、先に帰路についたのはこの4人だった。帰宅すると、私は2階の和室にひっくり返り、なぜか「悲しみは雪のように」を唱っていた。3階の寝室からHさんが降りてきて、一瞬立ち止まり、階下に行ったかと思うと、熱い緑茶を持ってきてくれた。私は息を喘がせながら、シエシエと云った。

14日。私は寝坊したが、Hさんはどうしても西川口に用事があると云って出かけた。体調は昨日よりいくらかマシなようだった。午後から私も外出し、上野のヨドバシで細々したものを買っていると、Hさんから微信にメッセージが来て、今日は忙しくて晩飯をつくりに帰れないから、あなたが西川口に来て一緒に食べましょう。それで西川口(シーチュアンコゥ)に向かった。

彼女の会所のドアを開けると、早くも知った顔2、3人と目が合った。といって彼女らは会所の人間ではなく、客として来訪しているのだ。ひとりは上海人、ひとりは浙江人、ひとりは福建人で、皆、Hさんの知り合いだった。それで私も面識があるのだ。Hさんがなにやら熱心に説明しているのでだいぶ待たされたが、会所の反対側の線路沿いにある店に連れていってもらった。 

f:id:guangtailang:20190114200326j:imagef:id:guangtailang:20190114200336j:image水爆肚(茹でセンマイ)。結局、タレがうまいを連呼していたのは昨日の富田林出身のJだが、この料理もゴマ風味のタレがうまい。見た目ほど辣いタレなわけでもない。

f:id:guangtailang:20190114200352j:image酸菜鱼片(漬物と魚の煮込み)。これが食いたくて西川口に参上したと言っても過言ではない。2日連続で花椒を食らう。というのも、昨日は日本人のSEなのに水煮鱼をつくってくれるTがいた。茹でセンマイもそうだが、西川口はヴォリュームがすごい。

f:id:guangtailang:20190114200400j:image半分食ってから撮った海蛎煎蛋(福建風牡蠣のタマゴ焼き)。海鮮チヂミのようだが、これを注文したのは先ほどの福建人である。それで結局、今夜は彼女にごちそうになってしまった。Hさんも本調子ではないから、食っていたのはほぼ東京下町の照り上がったおっさんである。

f:id:guangtailang:20190114200407j:image地瓜饺子(さつまいも餃子)。といって、中にピーナッツが入っており甘いのだ。これも福建の料理らしい。

f:id:guangtailang:20190115141503j:imagef:id:guangtailang:20190115162256j:image福建省のお土産。紅棗夾核桃(干し赤棗と胡桃のサンド)。産地は河北省滄州市になっている。スポンジを噛んでいるような奇妙な歯応えだが、うまい。

【補遺 2019.2.5】

上記の紅棗夾核桃が入っている袋は、福建特産、山海珍味とあるが、内容物とは関係がない。その辺にある適当な袋を流用したに過ぎない。袋の開口部から貝の干物が出てきた。プレスされて格子模様がついている。