川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

尚仁沢湧水

f:id:guangtailang:20190915235759j:image尚仁沢湧水に至る原生林。人気なさそうに写っているがけっこう人と行き違う。1kmちょっとの道程とはいえ、散歩感覚で踏み入ると驚くことになる。アップダウンは多いし、足元は岩石や倒木や根っこで躓きやすい。靴は泥濘で汚れる。

f:id:guangtailang:20190915235920j:image15日、晴天。時間は少し遡る。栃木県矢板市(人口3万1千6百余)と塩谷町(人口1万5百余)の境界上にある尚仁沢湧水。出発地からおよそ160km、東北道をひた走る。昨日、地元のホームセンターに行った時、ふとポリタンクが目に入り、その瞬間に容器を湧き水で満たしたい欲望が湧いた。齢43、それまでわざわざ湧き水を汲みに行くなどという発想を持ったことはなかったのだが、サブリミナルな何かに刺激されてのことだろうか。いずれにしろ思い立ったが吉日、即座に10Lのものを購入し、帰宅後、関東地方の湧水の名所を検索し始めた。そこにHさんが寄ってきて、明日の仕事がなくなったと言うので、それなら一緒に行くかと誘った。

朝、ポリタンクをトランクに積み込む際、まじまじと容器を眺めながら、展示してあったのは防災コーナーかアウトドアコーナーか、どちらだったのだろうなどと思った。

f:id:guangtailang:20190915235937j:imagef:id:guangtailang:20190915235948j:image湧水近辺の施設、尚仁沢はーとらんどでダムカレーを食らう。Hさんの注文したふつうカレーとの差があり過ぎるので、素揚げ野菜をいくつかあげる。1,000円と600円。ちなみにこの場所はスマホの電波が圏外だった。

f:id:guangtailang:20190916000108j:image渓流沿いをゆく。木道や階段、案内板が整備されている。流れる水のあまりの清冽さに、ふたりして何度も手を浸け、悦ぶ。

f:id:guangtailang:20190916000215j:imageペットボトルの元の水を捨て、流れる水を掬う。ごくごく飲む。

f:id:guangtailang:20190916000331j:imagef:id:guangtailang:20190916000355j:imageゴール地点周辺。カランカランとどこかで熊鈴が鳴っている。そういえば熊出没の注意喚起の看板が立っていた。ただ最近は熊鈴の効果はないという説もある。

f:id:guangtailang:20190916000432j:imageこれはスタート地点の脇に立っていた看板で、尚仁沢に至るまでの道すがら、のどかな田園風景の中にこれに類する看板をいくつも見かけた。発端は以下のようなことらしい。

東京電力福島第1原子力発電所事故で発生した放射性物質に汚染された「指定廃棄物」の栃木県内の最終処分場を巡り、環境省井上信治副大臣は30日、同県塩谷町役場を訪れ、塩谷町を候補地に選んだと福田富一県知事と見形和久町長に伝えた。井上副大臣は「詳細調査を実施させてほしい」と要請したが、見形町長は水源地があることなどから建設には「反対する」と述べた。
井上副大臣塩谷町上寺島寺島入の国有地を候補地として提示。候補地の調査や住民説明会の開催などへ協力を要請した。31日には県内の市町村長会議を開き、石原伸晃環境相が説明する予定。
指定廃棄物は放射性物質濃度が1キログラム当たり8千ベクレルを超える焼却灰や下水汚泥、稲わらなど。栃木県内で処理される指定廃棄物は1万トン規模で、現在は170カ所に分散して保管されている。
栃木県の最終処分場を巡っては環境省が2012年9月、矢板市の国有地を候補地として提示した。ただ住民の反対運動が起こったため撤回に追い込まれた経緯がある。
環境省は宮城、千葉、茨城、群馬各県にも最終処分場を建設する計画。宮城県については1月に調査候補地を提示した。】(2014年7月30日付 日本経済新聞

f:id:guangtailang:20190916000443j:imageはーとらんどに隣接する尚仁沢名水パーク(東荒川ダム親水公園)に引き返し、ポリタンクを満タンにする。他の汲み人を見て思ったが、ポリタンクをあとふたつ用意して来てもよかった。ただ、大五郎のような容器を10本以上持ってきてそれらをあたりにばら撒き、我が物顔で容器を蛇口に突っ込み、次から次に湧き水を汲むじじいには周囲も鼻白んでいた。注意喚起の看板も立っているが、このあたり自分もマナーをわきまえねばならない。

f:id:guangtailang:20190916000644j:image時間的にぎりぎりなのは承知の上で山縣有朋記念館を目指すが、やはり間に合わず。農道の先のどん突き、そこからさらに奥まった鬱蒼とした中に建っているのを確認したので、他日余裕をもって訪問したい。

f:id:guangtailang:20190916003117j:image帰りは断続的な渋滞に巻き込まれ、午後8時半帰宅。