川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

涼菓

私の好物、若あゆ。外側のカステラ生地と中身の求肥の組み合わせ、かたち、そして目と鰭の簡素な焼印がすぅき。

f:id:guangtailang:20180601221243j:imagef:id:guangtailang:20180601221322j:imagef:id:guangtailang:20180601221343j:image今日の午前中、川沿いの土手を自転車で走っていると、あたかも高原の夏のような爽やかな空気を感覚して、気持ち良さに思わず目をつむった。このまま自転車を道脇に倒し、青々とした芝生の斜面に躰を横たえ、空を眺めつつ微睡みたい。そんなふうに夢想しながら老人の客のもとへ向かった。

道路にできた複雑な影。

f:id:guangtailang:20180601221403j:imagef:id:guangtailang:20180601221422j:imagef:id:guangtailang:20180601221445j:image関東も来週梅雨入りするというが。日本の風土に砂漠で生まれた一神教は似合わない、やはり自然にやおろずの神います、そんなふうに考えているうち老人の客の家に到着した。

夜は業界支部の偉い人たちと会食。かつて支部事務所の近くにじゃじゃ馬という良心的な居酒屋があって皆でよく利用したのだが、そこがなくなり、あとに華座という中国人の服務員が接客する店が入った。私は昨晩が初めてだったが、店内を見廻すと内装がじゃじゃ馬から一新され、瀟洒なつくりに、随分金をかけて直したんだなあという率直な感想が口を衝いた。紹興酒を2杯か8杯呑んだところで、隣りに座っていた青年会会長のK氏に、「今の店員さんが中国のどこ出身か当ててみてよ」と持ち掛けると、「ジーリンですよ、ジーリン」と言い切った。次の注文を取りに彼女が来たとき、「中国のどちらのご出身ですか?」と私が問うと、「吉林省です。寒いところですね」とはにかみながら答えた。うんうんと傍らでK氏が頷く。「ここのお店は、ほか四川省広東省、いろいろいます」と流暢な日本語でつづける。「そうなんだ。だからこういう料理も出るんだね。また来ますからよろしく」とこちらもいくらか砕けた口調で挨拶した。彼女が去ってから、「知ってたのか。そりゃ正解するさ」と独り言ちて、私はワイングラスに注がれた紹興酒を呷った。